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インド・日本・中国の「倫理」の足跡キリシタン時代の良心問題

キリシタン時代の良心問題 インド・日本・中国の「倫理」の足跡

A5判 324ページ 上製
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-7664-2852-0 C3021
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年10月下旬

内容紹介

▼断絶と連続のアジア布教史――。

16世紀以降、イエズス会のアジアにおける布教事業は、
インドから日本へ、日本から中国へと進められた。

宣教師たちはそれぞれの文化に適応しつつ、
新たな信者たちの「倫理」や「戒律」の基準をどのように修正していったのか――。

司祭の手引書から書翰集、聖人伝まで、膨大な史料を渉猟し、
連続性と断絶を明らかにする。

著者プロフィール

浅見 雅一(アサミ マサカズ)

慶應義塾大学文学部教授。1962年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所助手、同助教授などを経て現職。専門はキリシタン史。代表的な著書に『キリシタン時代の偶像崇拝』(東京大学出版会、2009年)、『フランシスコ=ザビエル――東方布教に身をささげた宣教師』(山川出版社、2011年)、『概説キリシタン史』(慶應義塾大学出版会、2016年)、『キリスト教と寛容 中近世の日本とヨーロッパ』(慶應義塾大学出版会、2019年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序説 良心問題とは何か
 一、本書の視角
 二、本書の構成

第一章 発見地の領有と異教徒の権利――ビトリア、グロティウス、フレイタスの議論
 一、はじめに 
 二、サラマンカ学派の言説
 三、グロティウス『自由海論』の言説
 四、フレイタスのインド洋領有論
 五、結び

第二章 キリシタン時代の神学と良心問題
 一、はじめに
 二、トマス神学の教育
 三、キリシタン時代の良心問題
 四、ヴァリニャーノの良心問題決疑論
 五、一七世紀以後の良心問題
 六、結び

第三章 信仰と奴隷制――インドにおける奴隷に対する授洗論
 一、はじめに
 二、インドにおける奴隷制
 三、インドの日本人奴隷
 四、結び

第四章 フランシスコ・ロドリゲスの日本の婚姻問題決疑論
 一、はじめに
 二、日本の婚姻問題
 三、神学的論拠の検討
 四、日本の特殊事例
 五、結び

第五章 キリシタン大名大友宗麟をめぐる良心問題
 一、はじめに
 二、祭具の貸与の可否
 三、宗麟の婚姻問題
 四、結び

第六章 イエズス会のインド史研究と日本書翰集の編纂――布教情報の伝達と整理を中心として
 一、はじめに
 二、インドおよび日本書翰集の印刷
 三、インド管区における書翰の保存と書翰集の送付要求
 四、マッフェイの『インド史』
 五、エヴォラ版『日本書翰集』の送付
 六、結び

第七章 「神学」に加えられた日本人の祖先崇拝――ペドロ・ゴメス「講義要綱」からの考察
 一、はじめに
 二、日本人の祖先の救済
 三、ゴメスの布教論
 四、禅宗の霊魂観とゴメスの霊魂観
 五、結び

第八章 キリシタン時代の良心問題に関する手引書について――マルティン・デ・アスピルクエタとその周辺
 一、はじめに
 二、良心問題の手引書
 三、ナバーロの手引書
 四、改訂版とキリシタン版
 五、結び

第九章 殉教の論理と潜伏の論理
 一、はじめに
 二、迫害下の信仰告白
 三、潜伏とコンチリサンの論理
 四、結び

第一〇章 キリシタン教会の殉教録と聖人伝――ヨーロッパから日本・中国へ
 一、はじめに
 二、聖人伝の系譜
 三、日本の殉教録と聖人伝
 四、殉教図の分析
 五、中国の殉教録と聖人伝
 六、結び

第一一章 艾儒略『滌罪正規』解題
 一、はじめに
 二、秘蹟と悔悛
 三、良心問題の事例集か
 四、結び

結論

初出一覧
図版一覧
あとがき
人名索引


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