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イギリス・モラリストの論争を読む人間は利己的か

慶應義塾大学三田哲学会叢書 ars incognita
人間は利己的か イギリス・モラリストの論争を読む

新書 106ページ 並製
価格:770円 (消費税:70円)
ISBN978-4-7664-2821-6 C0310
奥付の初版発行年月:2022年04月 / 発売日:2022年04月中旬

内容紹介

▼利己的であるのは悪いこと?
▼人間の本性をめぐるイギリス思想史のドラマを描く。

人間は生まれつき利己的であるのか、それとも、利他的で社会的であるのか――。人間の本性をめぐってイギリスで一七世紀から一九世紀にかけて繰り広げられた、トマス・ホッブズからハーバート・スペンサーまで主要な14人のモラリストたちの論争を描く。

第2期スタート
慶應義塾大学三田哲学会叢書
三田哲学会は創立100年を機に、専門的な研究成果を「生きられる知」として伝え、 公共の中に行き渡らせる媒体として本叢書の発刊を企図した。
シリーズ名は、ars incognita アルス インコグニタ。
ラテン語で「未知の技法」を意味する。
単なる知識の獲得ではなく、新たな「生きる技法としての知」を作り出すという精神を表現している。

著者プロフィール

柘植 尚則(ツゲ ヒサノリ)

1964年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科教授。博士(文学)。専門は倫理学・思想史。著書に『良心の興亡――近代イギリス道徳哲学研究』(ナカニシヤ出版、2003年/増補版、山川出版社、2016年)、『イギリスのモラリストたち』(研究社、2009年)、『近代イギリス倫理思想史』(ナカニシヤ出版、2020年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

1 ホッブズ
 人間は自己保存を目的とする/人間は必ず自分の善を意志する/人間は
 自分の善のために他人の善を欲する

2 シャフツベリ
 人間は自然に群れをなす/自然的情愛は人間を幸福にする/過度の自己
 情愛は人間を不幸にする/自己情愛は人間にとって必要である

3 マンデヴィル
 人間は利己的であるがゆえに社会的になる/利己心は社会に利益をもた
 らす/政治の巧みな管理が人間を従順で有用にする

4 ハチスン
 徳の知覚は利益の知覚と異なる/すべての徳は仁愛から生じる/自己愛
 は仁愛と共同しうる

5 バトラー
 自己愛は欲求・情念・情愛に優越する/自己愛と仁愛は一致する/良心
 と自己愛は一致する

6 ヒューム
 人間は利己的でも利他的でもある/利己心は自らを抑制する/人間は他
 人や社会の利益に共感する

7 ハートリー
 快楽や苦痛は連合する/共感や道徳感覚は連合によって形成される/利
 己心にも様々なものがある

8 スミス
 人間は共感を求めて自己愛を抑える/人間は良心によって自己愛を抑え
 る/徳への道と財産への道は一致する/個人の利益と社会の利益は一致
 する

9 リード
 利害の感覚と義務の感覚は理性的原理である/利害の感覚は義務の感覚
 に似ている/利害の感覚だけでは不十分である

10 ベンサム
 人間は快楽と苦痛に支配される/社会の利益は個人の利益の総和であ
 る/社会の幸福は統治の技術によって実現される

11 ミル
 人間は生まれつき利己的なのではない/人間は同胞との一体感によって
 社会的になる/法や教育が人間を社会的にする

12 シジウィック
 自己愛の原理と仁愛の原理は異なる/自己愛の原理と仁愛の原理は対立
 する/自己と他者は根本的に違う

13 ブラッドリー
 自己実現が目的である/実現される自己は社会的自己である/自己犠牲
 は自己実現の一つである

14 スペンサー
 利己性は利他性に先行する/利他性は利己性に劣らず本質的である/利
 己性と利他性は調和する

おわりに

あとがき


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