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 価格形成の歪みを解き明かす日本型IPOの不思議

日本型IPOの不思議 価格形成の歪みを解き明かす

四六判 256ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2816-2 C3034
奥付の初版発行年月:2022年03月 / 発売日:2022年03月中旬

内容紹介

▼新興企業も投資家も健全に育つ市場へ
▼リスクに見合った値付けこそ「貯蓄から投資へ」を促す鍵である。

日本の新興企業のIPO(新規株式公開)では、公募価格で新株を購入した投資家が「高騰」した初値で売り抜き、多大な利益を得る現象がしばしば起こる。しかし、それほど人気の銘柄なら、なぜ公募価格が上がらないのか? そうすれば、上場する企業は、ビジネスを成長させるために、より多くの資金を調達できるはずなのに…。
本書は公募価格の「値付け」に着目して、この“不思議な” 現象の原因を明らかにし、日本の成長戦略に不可欠な証券市場改革に一石を投じる。

著者プロフィール

金子 隆(カネコ タカシ)

慶應義塾大学名誉教授
1953年生まれ。1975年慶應義塾大学経済学部卒、80年同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学商学部助手、助教授を経て1992年教授。2013~2015年商学部長兼大学院商学研究科委員長。専門はコーポレート・ファイナンス。
主要業績に、“Auctions versus Book Building of Japanese IPOs,” (with R. H. Pettway, Pacific-Basin Finance Journal, vol.11, no.4, 2003), “Relative Importance of Economic Factors in the U.S. and Japanese Stock Markets,” (with Bong-Soo Lee, Journal of the Japanese and International Economics, vol.9, no.3, 1995), “International Bank Capital Standards and the Costs of Issuing Capital Securities by Japanese Bank,” (with R. H. Pettway and M. T. Young, Journal of Banking and Finance, vol.15, no.3, 1991),『IPOの経済分析――過小値付けの謎を解く』(東洋経済新報社、2019年)、『アジア金融危機とマクロ経済政策』(分担執筆、吉野直行編、慶應義塾大学出版会、2004年)等。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに――何かおかしい日本のIPO

第1部 IPOの基礎知識――歪みを理解するために

第1章 IPOの仕組み
 1 IPOとは――基本的な概念と用語
 2 新規公開株の配分方法
 3 公開価格の決定方式
 コラムA 引受手数料率の実際
 コラムB 抽選配分比率に関する10%ルール

第2章 新興企業にとってのIPO
 1 企業が株式を公開する目的
 2 IPO以外の選択肢
 3 IPOに頼らざるを得ない日本の新興企業
 4 IPOに頼らなくて済む米国の新興企業
 5 なおさら問われる値付けの適切性

第3章 IPOの特性
 1 IPOのリターンが高いことの意味
 2 IPOに固有のリスクとそれに見合うリターン
 3 正当なプレミアム 対 余分なプレミアム
 4 IPOにおける利益相反の可能性

第2部 どのように歪みが生じているのか――データの提示

第4章 現行方式下の日本だけ突出して高いリターン
 1 入札方式との比較
 2 同じ方式を採用している欧米諸国との比較
 3 異常に高いといわざるを得ない日本のリターン

第5章 公開価格と初値のどちらに原因があるのか
 1 初値に関する通説と誤解
 2 ベンチマークとなる株価の求め方
 3 ベンチマークと比較した公開価格と初値
 4 なぜ初日に新たな買いが入るのか
 5 企業属性に着目した説明の限界

第6章 小規模IPOほど極端に高くなるリターン
 1 発行規模別分布の日米比較
 2 発行規模別リターンの日米比較
 3 市場別に試算した機会損失額
 4 入札方式とのコスト比較

第7章 不自然なほど低く設定された仮条件
 1 日本の公開価格決定方式:簡単なレビュー
 2 仮条件と公開価格の決め方に関する日米欧の違い
 3 想定発行価格と仮条件の関係
 4 仮条件と公開価格の関係

第3部 なぜ歪みが生じているのか――原因解明の試み

第8章 解明すべき不思議な現象
 1 観察事実のまとめ
 2 若干の準備的考察

第9章 日本型利益相反仮説
 1 新たな解釈の試み
 2 主幹事の動機
 3 仮説に基づく観察事実の説明

第10章 仮説の裏付けとなる状況証拠
 1 検証に向けての基本的考え方
 2 仮説から導かれる予測
 3 予測と一致した現実
 4 暫定的結論
 5 利益相反行為が認識されにくい理由

第4部 IPO改革――歪みの解消に向けて

第11章 何をどう是正すべきか
 1 利益相反行為を引き起こしている6つの要因
 2 議論の叩き台としての是正案
 3 意味のある選択肢としての入札方式の復活
 4 上場検討企業は何をすべきか

第12章 新興企業も投資家も健全に育つ市場へ
 1 負の連鎖に陥っている日本のIPO
 2 値付けに必要とされる「市場」の視点
 3 成長戦略会議の実行計画をめぐって
 4 結び――新興企業も投資家も健全に育つ市場へ

あとがき
参考文献


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