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 人間をめぐるイスラーム神秘主義の源流イスラームのアダム

イスラームのアダム 人間をめぐるイスラーム神秘主義の源流

A5判 288ページ 上製
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-7664-2712-7 C3014
奥付の初版発行年月:2020年12月 / 発売日:2020年12月中旬

内容紹介

▼最初に創造された人、アダムをめぐるイスラームの〈人間探究〉の系譜を辿る。

ユダヤ・キリスト教にも共通し、イスラームでは神に創造された「最初の人間」であるだけでなく、「最初の預言者」として重要な存在である「アダム」。イスラーム神秘主義者、スーフィーたちは、アダムを人間存在の原型・理想として把捉し、「人間とは何か?」という実存的な問いを解明しようとした。これまで顧みられなかったイスラームの「アダム」に「人間学」の視点から迫る、画期的な研究。

著者プロフィール

澤井 真(サワイ マコト)

天理大学おやさと研究所講師。1984年生まれ。専門は宗教学・イスラーム思想研究・天理教学。
天理大学人間学部宗教学科を卒業後、東北大学文学研究科博士前期課程へ進学。カイロ・アメリカン大学大学院修士課程修了後、東北大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD、イェール大学交換研究員、ハーバード大学客員研究員、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科特任研究員を経て、現職。主な論文に、“Izutsu’s Hermeneutical Perspectives of the Qur’anic Interpretation” (Anis Malik Thoha ed., Japanese Contribution of Islamic Studies: The Legacy of Toshihiko Izutsu Interpreted, Kuala Lumpur: IIUM Press, 2010), “Ibn ʿArabī on the Perfect Man (al-insān al-kāmil ) as Spiritual Authority: Caliph, Imam, and Saint”(Yasushi Tonaga ed., The Bridge of Cultures: Potentiality of Sufism, Kyoto: Kenan Rifai Center for Sufi Studies, Kyoto University, 2017)、「『をやのはたらき』とその意味――『おふでさき』の解釈学」(『天理大学おやさと研究所年報』26号、2020年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 序 宗教研究とイスラーム神秘主義
一 宗教学はいかにイスラームを理解してきたか
二 宗教学はイスラームをいかに理解すべきか
三 スーフィズムからイスラーム神秘主義へ──人間性の探求
四 イスラーム神秘主義における人間探求と「体験主義」
五 アダムからみた人間

  第Ⅰ部 クルアーンの内的な意味を求めて──アダム神話とその解釈
  学的想像力

 第一章 解釈学的想像力の場としてのアダム
一 アダム神話のコンテクスト
二 クルアーンにおけるアダム神話
三 ハディースにおけるイスラーム人間論

 第二章 アダム神話の追体験──「原初の契約」における始源への帰還
一 イスラーム神秘主義における神的合一の表象
二 自己の消滅と神との存続
三 「無始の永遠」への回帰体験とアダム神話
四 選良の一性と「原初の契約」

 第三章 イスラームの死生観と人間
一 「原初の契約」における神と人間──創造から終末まで
二 タバリ―のクルアーン解釈における人間
三 人間の生と死に関する五つの解釈

 第四章 名を与えられたアダム──生と死のはざまで
一 アダムに授けられた名前──イスラー思想における神名論
二 クシャイリーの神秘主義における神名論
三 『美麗なる神名注釈』における「生を与える者」と「死を与える者」
四 『神の徴しの精巧さ』における生と死

  第Ⅱ部 アダムにならいて──イスラーム神秘主義哲学における人間

 第五章 イブン・アラビー学派における存在的流出論の展開
一 存在の開けと「自己顕現」概念
二 初期スーフィーたちの「タジャッリー」概念
三 イブン・アラビーの「タジャッリー」概念
四 カーシャーニーの「タジャッリー」概念
五 『霊感の徒が示唆するところを知らしめる精妙さ』における存在顕現論

 第六章 霊的権威としての完全人間
一 『叡智の台座』における霊的権威の位置
二 霊的権威としての人間
三 完全人間論におけるムハンマドの形而上学的基礎づけ
四 聖者性と人間完成への道──預言者の継承者たち
五 カイサリーの完全人間論におけるカリフ
六 霊的権威としての聖者

 第七章 絶対存在から人間へ──神名の体現者としてのアダム
一 神名の臨在における「アッラー」
二 存在の開けにおける慈悲
三 存在の地平における神と人間
四 完全人間としてのアダムと神名の臨在

 第八章 完全人間論の展開──アダムをめぐる神秘主義的人間学
一 男/女の解消とイスラーム神秘主義
二 イブン・アラビーの人間観──完全人間という理念型
三 完全人間の存在論的顕れ
四 ムハンマドとアダム──最初の完全人間
五 人間を創り変える──アダムとイヴのあいだ




あとがき
主要参考文献

人名・著作名索引


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