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学校の先生・SCにも知ってほしい:不登校の子どもに何が必要か

子どものこころと体シリーズ
学校の先生・SCにも知ってほしい:不登校の子どもに何が必要か

四六判 224ページ 並製
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2238-2 C0077
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

▼本人、親、先生がこの苦悩を乗り越えるために

不登校をどのように理解し、どのようにかかわっていくべきか。
予防と支援の視点から、不登校支援に長年携わっている専門家たちが結集し、大切なポイントを伝えます。

 我が子が不登校になったときの親の悩みはとても深いものです。
 教師やSCは、予防教育をはじめ、不登校になったときの早期対応・専門機関との連携など、子どもや保護者への具体的支援が必要です。
 本書は、教育学・臨床心理学・精神医学の専門家が、不登校の現状を読み解き、不登校をどのように理解し、具体的にどう対応すればよいのかを、今、不登校のことで悩んでいる保護者、学校の先生やSCの方々のために、できるだけわかりやすくまとめたものです。
 本書が、我が子への対応や、児童生徒への教育実践を振り返るきっかけとなり、ひいては子どもたちの「生きる力」へとなれば幸いです。
(増田健太郎「はじめに」「おわりに」より)

著者プロフィール

増田 健太郎(マスダ ケンタロウ)

九州大学大学院人間環境学研究院教授。臨床心理士。教育学博士。専門は臨床心理学、教育経営学。教育と医学の会理事・編集委員。
1959年福岡県生まれ。九州大学大学院人間環境学研究科博士課程単位取得満期退学。小学校教諭、九州共立大学助教授などを経て現職。自由学園アドバイザー、NPO法人九州大学こころとそだちの相談室室長も務める。
著書に『信頼を創造する公立学校の挑戦』(共編著、ぎょうせい、2007年)、『教師・SCのための心理教育素材集』(監修、遠見書房、2015年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

(※〔 〕内は、担当章。)
【編著者】
増田 健太郎(ますだ けんたろう)〔序章、2章-3〕
九州大学大学院人間環境学研究院教授。臨床心理士。教育学博士。専門は臨床心理学、教育経営学。教育と医学の会理事・編集委員。

【執筆者】
滝川一廣(たきかわ・かずひろ)〔1章-1〕
学習院大学文学部心理学科教授。精神科医。専門は精神医学、児童青年精神医学、精神療法。名古屋市立大学医学部卒業。愛知教育大学教授、大正大学教授などを経て現職。
著書に、『「こころ」の本質とは何か』(ちくま新書、2004年)、『「こころ」はどこで育つのか 発達障害を考える』(洋泉社新書、2012年)、『学校へ行く意味・休む意味』(日本図書センター、2012年)、『子どものそだちとその臨床』(日本評論社、2013年)など。

大場信惠(おおば・のぶえ)〔1章-2〕
九州大学大学院人間環境学研究院実践臨床心理学専攻教授。臨床心理士。専門は臨床心理学。九州大学大学院教育学研究科修士課程修了。寿栄会本間病院児童・思春期相談室長を経て現職。
著書に『教育動作法』(共著、学苑社、2003年)、『心理療法の見立てと介入をつなぐ工夫』(共著、金剛出版、2013年)など。

五十嵐哲也(いがらし・てつや)〔1章-3〕
愛知教育大学准教授。博士(教育学)。専門は学校心理学。筑波大学大学院博士課程教育学研究科学校教育学専攻修了。北海道情報大学講師、愛知教育大学講師を経て現職。(2016年4月より名古屋大学心の発達支援研究実践センター准教授)
著書に『学校で気になる子どものサイン』(共編著、少年写真新聞社、2012年)、『事例から学ぶ児童・生徒への指導と援助〈第2版〉』(共編著、ナカニシヤ出版、2015年)など。

加嶋文哉(かしま・ふみや)〔1章-4〕
教育・不登校研究所「明日が見える」所長。不登校を考える親の会「星の会」代表。大分大学教育学部卒業。小学校教諭を32年間務め、2014年3月に退職し、研究所を大分県佐伯市に設立。

小澤美代子(おざわ・みよこ)〔2章-1〕
さくら教育研究所長。専門は教育相談(不登校)。東京教育大学教育学部心理学科卒業。筑波大学大学院教育研究科カウンセリングコース修了。高等学校教諭、千葉県子どもと親のサポートセンター次長兼教育相談部長、千葉大学大学院教授を経て現職。
著書に『上手な登校刺激の与え方』(ほんの森出版、2003年)、『〈タイプ別・段階別〉続 上手な登校刺激の与え方』(ほんの森出版、2006年)、『子どもの発達を考える』(監修、社会保険出版社、2008年)、『生徒指導提要』(分担執筆、文部科学省、2010年)など。

石川悦子(いしかわ・えつこ)〔2章-2〕
早稲田大学教育学部講師、障がい学生支援室学生支援コ―ディネーター。東京都公立学校スクールカウンセラー。一般社団法人東京臨床心理士会副会長。臨床心理士、特別支援教育士。専門は学校臨床心理学、教育心理学。奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程在学中。
著書に『移行期の心理学』(共編著、ブレーン出版、1998年)、『学校が求めるスクールカウンセラー』(共著、遠見書房、2013年)など。

山崎 透(やまざき・とおる)〔3章-1〕
静岡県立こども病院こころの診療センター長。医学博士。専門は児童青年精神医学。山形大学医学部卒業。山形大学医学部精神医学教室、国立精神神経センター国府台病院、静岡県立こころの医療センター医療部長を経て現職。
著書に『ある少年の心の治療』(共訳、金剛出版、1997年)、『こどものうつハンドブック』(共著、診断と治療社、2007年)、『児童精神科の入院治療』(金剛出版、2010年)など。

田中英高(たなか・ひでたか)〔3章-2〕
OD低血圧クリニック田中院長。医学博士。専門は小児心身医学。大阪医科大学卒業。大阪医科大学小児科准教授を経て現職。日本小児心身医学会前理事長。2006年に同学会ODワーキンググループ代表として、小児科医向け「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」を作成・発表。ODの研究・臨床とともに、教育現場への認知・理解に努める。
著書に『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』(中央法規出版、2009年)、『起立性調節障害がよくわかる本』(監修、講談社、2013年)、『心身症の子どもたち』(合同出版、2014年)など。

近藤直司(こんどう・なおじ)〔3章-3〕
大正大学人間学部臨床心理学科教授。専門は児童青年精神医学、精神力動的精神医学。東海大学医学部卒業。山梨県立精神保健福祉センター所長、山梨県都留児童相談所所長、東京都立小児総合医療センター児童・思春期精神科部長を経て現職。
著書に『ひきこもりケースの家族援助』(編著、金剛出版、2001年)、『医療・保健・福祉・心理専門職のためのアセスメント技術を高めるハンドブック』(明石書店、2012年)、『医療・保健・福祉・心理専門職のためのアセスメント技術を深めるハンドブック』(明石書店、2014年)、『不安障害の子どもたち』(編著、合同出版、2014年)など。

遠藤季哉(えんどう・としや)〔3章-3〕
関東医療少年院医務課長。専門は児童精神医学。香川医科大学卒業。東京都立梅ヶ丘病院、東京都立小児総合医療センター児童・思春期精神科などを経て現職。
著書に『子どもの強迫性障害 診断・治療ガイドライン』(分担執筆、星和書店、2013年)、『不安障害の子どもたち』(共著、合同出版、2014年)など。

黒木俊秀(くろき・としひで)〔3章-4〕
九州大学大学院人間環境学研究院教授。医学博士。専門は臨床精神医学、臨床心理学。教育と医学の会理事・編集委員。九州大学医学部卒業。佐賀医科大学講師、九州大学大学院医学研究院准教授、国立病院機構肥前精神医療センター臨床研究部長・医師養成研修センター長などを経て現職。
著書に『現代うつ病の臨床』(共編著、創元社、2009年)、『精神医学の羅針盤』(共著、篠原出版新社、2014年)、『発達障害の疑問に答える』(編著、慶應義塾大学出版会、2015年)など。

目次

 はじめに ―― 「不登校ゼロ」は、本当によいことなのか(増田健太
 郎)

序 章 不登校の現状と取組み(増田健太郎)
 不登校児童生徒の実態 / 不登校児童生徒への対応

第1章 不登校の子どものこころと不登校支援
 1 不登校という行動の意味 ―― 精神科医の立場から(滝川一廣)
  1970~80年代前半の不登校 / 不登校への肯定的視点の登場 /
  現在の不登校支援

 2 不登校の子どものこころと援助(大場信惠)
  どんなときに不登校になるのか /
  心理テストの結果から不登校の子どものこころを感じる /
  不登校の子どもの気持ち ―― 溺れた人の気持ちから考える /
  不登校への援助について

 3 不登校児童が示す兆候(サイン)と対応(五十嵐哲也)
  最初に見られる兆候(サイン) / 長引いているときの兆候(サイ
  ン) / 復帰しかけているときの兆候(サイン) / 重篤な課題を
  抱えている不登校の兆候(サイン)

 4 保護者への不登校支援と、親の会の役割(加嶋文哉)
  「親の会」の発足 / 子ども支援は親の安心から / 二つの形の「親
  の会」 / 気持ちの共有 / 陰性感情を言葉にする / 支援を拒否す
  る親たちの心情 / 主体は子ども自身

第2章 学校、教師やスクールカウンセラーの対応
 1 上手な登校刺激の与え方と留意点(小澤美代子)
  不登校の全体像 / 「タイプ分けチェックリスト」 / 「状態像
  チェックリスト」 / 「回復を援助する関わり方チェックリスト」 /
  不登校の子どもたちへの適切な対応を願って

 2 スクールカウンセラーの関わりと心構え(石川悦子)
  初期対応 〝登校渋り〟 / 不登校の背景 / 相談室登校 /
  不登校対応の心構え / 不登校児童生徒数の推移 / スクー
  ルカウンセラー等活用事業

 3 学級経営と校長・担任の役割:いじめ問題への対応(増田健太郎)
  いじめ問題の変遷 / 「いじめ」という言葉で括られる問題 /
  事例からいじめ問題の対策を考える / いじめが起こったときの対
  応 / 「黄金の三日間」を有効に

第3章 不登校について医学的知見と対応
 1 不登校と身体症状の関係(山崎 透)
  不登校と身体症状 / 不登校と関連する身体症状の分類 /
  不登校の子どもたちの訴える身体症状への対応

 2 起立性調節障害が引き金となる不登校(田中英高)
  最近、子どもたちの体とこころに起こっていること /
  起立性調節障害(OD)とはどんな病気? 不登校とは違うのでしょ
  うか? /
  起立性調節障害の発症の仕組みは? /
  起立性調節障害はどんな方法で診断するのでしょうか? /
  起立性調節障害にはこころの問題が関係するのですか? /
  起立性調節障害の治療について簡単に教えてください /
  担任教師・養護教諭の対応のポイント /
  ODの診断治療ガイドラインとはどのようなものですか?

 3 発達障害と不登校・ひきこもり(近藤直司・遠藤季哉)
  子どもにとっての学校生活 / 自閉スペクトラム症と不登校のメカニ
  ズム / 物理的刺激の回避から生じるひきこもり / 特別支援教育の
  地域格差と不登校 / ひきこもりリスクの高いケースとは / ひきこ
  もりリスクの高いケースへの支援について

 4 不登校・発達障害のための薬の基礎知識(黒木俊秀)
  なぜ薬物療法を行うのか / 薬物療法には限界がある /
  薬物療法のメリットとデメリットをよく知る /
  〈参考資料〉基本的な用語、向精神薬の種類と効能、向精神薬の副作
  用

おわりに

 初出一覧
 執筆者紹介


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