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法典とは何か

法典とは何か

A5判 304ページ 並製
価格:2,860円 (消費税:260円)
ISBN978-4-7664-2187-3 C3032
奥付の初版発行年月:2014年10月 / 発売日:2014年10月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

そもそも法典って何? 法律と法典とは何が違うの?
この素朴でありながら、解答の難しい問いに対して、多面的な視点から「法典」の意義を探求する!
豪華執筆陣による、従来の法典の意味と今後について、読者に問いかける基礎法学入門書!

1 まず、私法体系の統合・解体・そして再編・再統合というプロセスを法典という視点から再構成。法典を主題にした総論的ないし歴史的観点から法を眺める(第1章~第4章)。
2 次に、法典編纂に対する各国の考え方の違いを対比。比較法的観点で各国の法文化を概観する(第5章~第8章)。
3 最後に、立法政策的観点から法典に対する対応のあり方を眺めることで、法典に体現される立法政策の意義や多様さを検討する(第9章~第12章)。

「法典とは何か」という問いかけにわが国の文献で正面から答えるものはない。とりわけ商法の解体、民法債権法の大改正という私法の重大な局面にある現在、法典とは何かを問いかける本書は、まさに時宜を得た内容。法学を学ぶ者すべてにとって重要な意味を持つ書籍!

著者プロフィール

岩谷 十郎(イワタニ ジュウロウ)

1961年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。
担当章:第2章「近代日本の法典編纂―その “始まり” の諸相」
主要著作として、『明治日本の法解釈と法律家』(慶應義塾大学法学研究会・2012年)ほか。

片山 直也(カタヤマ ナオヤ)

1961年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第4章「法典と一般的法原則―法秩序の重層構造と動態的法形成」
主要著作として、『詐害行為の基礎理論』(慶應義塾大学出版会・2011年)ほか。

北居 功(キタイ イサオ)

1961年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第1章「法統一のための法典編纂」
主要著作として、『契約履行の動態理論Ⅰ・Ⅱ』(慶應義塾大学出版会・2013年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

【編者】
岩谷 十郎(いわたに じゅうろう)
慶應義塾大学法学部教授。
担当章:第2章「近代日本の法典編纂―その “始まり” の諸相」

片山 直也(かたやま なおや)
慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第4章「法典と一般的法原則―法秩序の重層構造と動態的法形成」

北居 功(きたい いさお)
慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第1章「法統一のための法典編纂」

【執筆者】
加藤 雅之(かとう まさゆき)
1974年生まれ。神戸学院大学法学部准教授。
担当章:第3章「脱法典化と再法典化」
主要著作として、「不法行為法における損害要件の意義―フランス法における賠償原理と損害要件の関係から」私法72号119頁(2010年)、『判例にみるフランス民法の軌跡』(共著・法律文化社・2012年)ほか。

水津 太郎(すいず たろう)
1977年生まれ。慶應義塾大学法学部准教授。
担当章:第5章「ドイツ民法典と法典論」
主要著作として、「ドイツ法における物上代位の理論的基礎(1)~(4・完)」法学研究80巻3号21頁、4号45頁、5号25頁、6号33頁(2007年)、「代償的取戻権の意義と代位の法理」法学研究86巻8号33頁(2013年)ほか。

武川 幸嗣(むかわ こうじ)
1966年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。
担当章:第6章「フランスの諸法典」
主要著作として、「解除の対第三者効力論(1)(2・完)」法学研究78巻12号1頁(2005年)、79巻1号61頁(2006年)ほか。

木原 浩之(きはら ひろゆき)
1975年生まれ。亜細亜大学法学部准教授。
担当章:第7章「英米法における法典化運動」
主要著作として、「改正UCC第2編における『合意』を基礎とする契約法理(1)~(5・完)」亜細亜法学44巻2号210頁、45巻1号158頁、46巻2号148頁、47巻2号124頁、48巻2号116頁(2010~2014年)ほか。

前田 美千代(まえだ みちよ)
1975年生まれ。慶應義塾大学法学部准教授。
担当章:第8章「ラテンアメリカと法典化」
主要著作として、「独立期メキシコにおける法典化前提要件の生成―中世スペイン法思想とフランス啓蒙思想、立憲主義と民法典」『私権の創設とその展開 内池慶四郎先生追悼論文集』(慶應義塾大学出版会・2013年)ほか。

中田 邦博(なかた くにひろ)
1959年生まれ。龍谷大学大学院法務研究科教授。
担当章:第9章「ヨーロッパ(EU)私法の平準化―ヨーロッパ民法典の可能性」
主要著作として、『プリメール民法1 民法入門・総則(第3版)』(共著・法律文化社・2008年)、『ヨーロッパ私法の現在と日本法の課題』(共編著・日本評論社・2011年)ほか。

松尾  弘(まつお ひろし)
1962年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第10章「開発における法典編纂」
主要著作として、『民法の体系(第5版)』(慶應義塾大学出版会・2010年)、『開発法学の基礎理論』(勁草書房・2012年)ほか。

高田 晴仁(たかだ はるひと)
1965年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第11章「『商法典』とは何か―法典化・脱法典化・再法典化」
主要著作として、『民法とつながる商法総則・商行為法』(共編著・商事法務・2013年)ほか。

鹿野 菜穂子(かの なおこ)
1959年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
担当章:第12章「消費者法と法典化」
主要著作として、『消費者法と民法』(共編著・法律文化社・2013年)、『基本講義 消費者法』(共編著・日本評論社・2013年)ほか。

目次

はじめに

第1章 法統一のための法典編纂
 Ⅰ 法典編纂って何?
 Ⅱ なぜ法典編纂なのか?
 Ⅲ 何のための法典編纂?
 Ⅳ 法典編纂はもう古い?
 Ⅴ それでも法典編纂?
 Ⅵ 誰のための法典編纂?

第2章 近代日本の法典編纂
―― その “始まり” の諸相 ――
 Ⅰ はじめに ―― 法典編纂を不可避とした条件
 Ⅱ 明治初期太政官制下の法典編纂
 Ⅲ お雇い外国人と法典編纂
 Ⅳ 法典編纂の技術と方法
 Ⅴ おわりに

第3章 脱法典化と再法典化
 Ⅰ 民法典の「危機」
 Ⅱ 19世紀 ―― 法典の時代
 Ⅲ 20世紀 ―― 脱法典化の時代
 Ⅳ 21世紀 ―― 再法典化の時代?
 Ⅴ あらためて法典とは

第4章 法典と一般的法原則
―― 法秩序の重層構造と動態的法形成 ――
 Ⅰ はじめに ―― 再法典化と「一般的法原則」
 Ⅱ 「法原則」(プリンシプル)と「法規範」(ルール)
 Ⅲ 「指導的法原則」と「矯正的法原則」
 Ⅳ 法認識と「法原則」
 Ⅴ 「法規範」(ルール)における「例外」の許容
 Ⅵ 法規範の拡張としての「法的擬制」
 Ⅶ 法規範の縮小としての「特段の事情」
 Ⅷ むすびに代えて ―― 法秩序の重層構造と動態的法形成

第5章 ドイツ民法典と法典論
 Ⅰ ドイツ民法典の成立
 Ⅱ ドイツ民法典の展開
 Ⅲ ドイツ民法典の危機
 Ⅳ プロイセン一般ラント法の立法技術
 Ⅴ ドイツ民法典の立法技術
 Ⅵ 現代法典論における立法技術
 Ⅶ 法典論と立法技術

第6章 フランスの諸法典
 Ⅰ 民法典の編纂・隆盛・激動
 Ⅱ 現代における法典化
 Ⅲ 法典、法典化そして「再」法典化とは何か?
 Ⅳ 結びにかえて

第7章 英米法における法典化運動
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 法典化の要請とその実践
 Ⅲ 新たな法典化の展開
 Ⅳ おわりに

第8章 ラテンアメリカと法典化
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 政治的独立と法的依存 ―― フランス民法典への隷属的法典化
 Ⅲ ラテンアメリカ内因性の自立的法典化 ―― フランス民法典からの
   脱却へ
 Ⅳ 結びに代えて ―― 独立期法典化の諸要因

第9章 ヨーロッパ(EU)私法の平準化
―― ヨーロッパ民法典の可能性 ――
 Ⅰ ヨーロッパ民法典の構想と共通売買法
 Ⅱ ヨーロッパ私法の形成をめぐる学説の動向
 Ⅲ ヨーロッパ共通契約法典への道程 ―― 指令、モデル法、規則
 Ⅳ EU私法の平準化への新たな道開 ―― 規則としての選択的法準則
 Ⅴ おわりに ―― 今後の展望

第10章 開発における法典編纂
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ ラオスにおける民法典編纂
 Ⅲ ネパールにおける民法典編纂
 Ⅳ おわりに ―― 進化する法システムと法典編纂

第11章 「商法典」とは何か
―― 法典化・脱法典化・再法典化 ――
 Ⅰ 「商法典」の現在
 Ⅱ ヨーロッパ大陸法諸国の動向
 Ⅲ 日本の商法典
 Ⅳ むすびに代えて ―― 法典の行方と商法学のあり方

第12章 消費者法と法典化
 Ⅰ はじめに ―― 消費者法をめぐる問題状況と課題の設定
 Ⅱ 消費者法の法典化に関する他国のモデル
 Ⅲ 日本民法改正と消費者法をめぐる議論
 Ⅳ 消費者法の法典化

索 引
執筆者紹介




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