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市民社会の比較政治学

叢書 21COE-CCC 多文化世界における市民意識の動態21
市民社会の比較政治学

A5判 368ページ 上製
定価:3,800円+税
ISBN978-4-7664-1363-2 C3331
奥付の初版発行年月:2007年06月

内容紹介

▼日本を含む東アジア及び東南アジア諸国、中東、インドの市民について、世論調査をもとにした「市民意識」の分析と、自発的に形成された「市民団体」の分析を行った。
▼先進国の社会問題や途上国の民主主義定着に重要な帰結をもたらす一般の人々の「市民」的態度や行動について、これまで実証研究中心であった比較政治学の立場から、体系的に整理、理解することを試みる意欲的共同研究である。


小林 良彰(こばやし よしあき)
慶應義塾大学法学部教授・同大学多文化市民意識研究センター長。法学博士。
1954年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
主要業績に、『選挙・投票行動』(東京大学出版会、2000年)、『現代日本の政治過程』(東京大学出版会、1997年)、『現代日本の選挙』(東京大学出版会、1991年)など。

富田広士(とみた ひろし)
慶應義塾大学法学部教授。
1950年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
主要業績に、『多文化世界における市民意識の比較研究——市民社会をめぐる言説と動態』(共著、慶應義塾大学出版会、2005年)、「エジプト、ザカリア・モヒエッディーン内閣期の開発政策——1965年〜66年」『法学研究』75巻1号(2002年)、『地域研究と現代の国家』(共編著、慶應義塾大学出版会、1998年)など。

粕谷祐子(かすや ゆうこ)
慶應義塾大学法学部准教授。博士(国際関係)。
1968年生まれ。カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課程修了。
主要業績に、“The Presidential Connection: Party System Instability and Executive Term Limits in the Philippines,” Ph.D. Dissertation, University of California, San Diego (2005), “Patronage of the Past and Future: Legislators’ Decision to Impeach President Estrada of the Philippines,” The Pacific Review, 18-4 (2005), “Measuring Party Linkage across Districts: Some Party System Inflation Indices and their Properties” (with Johannes Moenius), Party Politics, 10-5 (2004) など。

中谷美穂(なかたに みほ)
明治学院大学法学部有期専任講師。博士(法学)。
1972年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
主要業績に、『日本における新しい市民意識——ニュー・ポリティカル・カルチャーの台頭』(慶應義塾大学出版会、2005年)、「日本における新しい政治文化の兆し——住民投票運動を中心に」『選挙学会紀要』6号(2006年)、“New Political Culture in Japan,” Journal of Political Science and Sociology, vol.7 (Center for Civil Society with Comparative Perspective, 2007) など。

浜中新吾(はまなか しんご)
山形大学地域教育文化学部准教授。博士(政治学)。
1970年生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程修了。
主要業績に、『パレスチナの政治文化』(大学教育出版、2002年)、「中東諸国における非民主体制の持続要因」『国際政治』148号(2007年)、「首相公選制度下における分裂投票」『選挙研究』20号(2005年)など。

黒田安昌(くろだ やすまさ)
ハワイ大学名誉教授、ハワイ州高等教育機関留学支援センター特別顧問、國學院大学日本文化研究所共同研究員。政治学博士。
1931年生まれ。プリンストン大学大学院修了。
主要業績に、The Core of Japanese Democracy: Latent Interparty Politics (New York, New York: Palgrave McMillan, 2005), Chikio Hayashi and Yasumasa Kuroda, Japanese Culture in Comparative Perspective (Westport, Connecticut and London: Praeger, 1997), Japan in a New World Order: Contributing to the Arab-Israeli Peace Process (Commak, New York: Nova Science Publishers, Inc., 1994) など。

北川将之(きたがわ まさゆき)
日本学術振興会特別研究員PD。
1973年生まれ。上智大学大学院外国語学研究科博士課程満期退学。
主要業績に、「連邦制研究の展開」『国際学論集』46号(2000年)、「インドにおける地方レベルの民主化」『アジア研究』49巻3号(2003年)、「カルナータカ州——インド人民党の南部進出」『インド民主主義の変容』(共著、明石書店、2006年)など。

金 赫來(Kim, Hyuk-Rae)
延世大学国際学大学院教授。社会学博士。
1956年生まれ。ワシントン大学大学院修了。
主要業績に、Hyuk-Rae Kim et al., Modern Korean Society: Its Development and Prospect (Center for Korean Studies: University of California at Berkeley Press, 2007), Hyuk-Rae Kim et al., Mad Technology: How East Asian Companies are Defending Their Technological Advantages (London: Palgrave MacMillan, 2005), Richard Robinson, Hyuk-Rae Kim, Mark Beeson, and Kanishika Jayasuriya eds., Politics and Markets in the Wake of the Asian Crisis (London: Routledge, 2000) など。

ムスタファ・カーミル・アッサイード(Mustpha Kamel al-Sayyid)
カイロ大学政治経済学部教授。政治学博士。
1946年生まれ。ジュネーブ大学大学院博士課程修了。
主要業績に、“Slow Thaw in the Arab World,” World Policy Journal vol.8 / 4 (1991), “The Concept of Civil Society and the Arab World,” in Rex Brynen, Bahgat Korany

目次

巻頭言      安西祐一郎 
刊行にあたって  小林 良彰
序——比較政治学と市民研究   小林良彰・富田広士・粕谷祐子

第1部 総 論
第1章 比較政治のなかの「市民」   粕谷 祐子 
 はじめに 
 Ⅰ 市民文化
 Ⅱ 市民社会 
 Ⅲ 市民共同体
 結論

第2部 市民意識研究
第2章 トランスナショナル・アイデンティティの国際比較   小林 良彰・中谷 美穂
 Ⅰ 問題意識  
 Ⅱ トランスナショナル・アイデンティティに関する従来の研究 
 Ⅲ 仮説 
 Ⅳ 分析結果——トランスナショナル・アイデンティティ 
 Ⅴ 分析結果——トランスナショナル・アイデンティティの形成 
  1 オーストラリアにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成  
  2 日本におけるトランスナショナル・アイデンティティの形成 
  3 韓国におけるトランスナショナル・アイデンティティの形成 
  4 ロシアにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成 
  5 フィリピンにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成
  6 インドネシアにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成  
  7 シンガポールにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成  
  8 タイにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成
  9 バングラデシュにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成  
  10 レバノンにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成 
  11 トルコにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成 
  12 アジアにおけるトランスナショナル・アイデンティティの形成
 Ⅵ まとめ

第3章 中東諸国の市民文化   浜中 新吾
 はじめに
 Ⅰ アプローチの方法と分析概念
  1 市民文化概念とガバナンス
  2 ソーシャル・キャピタル
  3 宗教と政治
 Ⅱ 中東諸国の状況
 Ⅲ 実証分析
  1 市民文化とガバナンス——中東諸国の位置づけ
  2 ソーシャル・キャピタルおよび宗教と政治
  3 信頼・宗教・市民文化——相互の関連とガバナンス
 Ⅳ 考察

第4章 主要3宗派から見るレバノン市民の対外態度   富田 広士
 はじめに
 Ⅰ 世論調査の実施とデータについて  
  1 レバノンにおける世論調査
  2 調査結果と本章におけるデータ分析 
 Ⅱ 国民意識と地域アイデンティティ
  1 調査結果
  2 2006年レバノン戦争と市民意識
 Ⅲ 宗教・宗派と各国別対外態度 
  1 アメリカ 
  2 イギリス
  3 フランス
  4 ロシア
  5 エジプト
  6 トルコ
  7 イラン
  8 イスラエル
  9 シリア
  10 2004年秋以降のレバノン—シリア関係
 Ⅳ 政党支持と対シリア意識 
 おわりに 
  1 自己環境識別意識
  2 宗教・宗派と対外態度 
  3 政党支持と対シリア意識
 付録1 調査項目
 付録2 主要3宗派とのクロス集計

第5章 マジョリティなきレバノン市民意識の深層構造   黒田 安昌
 はじめに
 Ⅰ 民主主義と市民社会 
  1 民主主義の発展
  2 市民社会の定義
 Ⅱ レバノンの市民社会
 Ⅲ データと分析法
  1 データの出所
  2 母集団
  3 サンプル
  4 データ分析方法
 Ⅳ データ分析の結果
  1 政治と地域社会への関心(態度)とその総合的中核
  2 市民社会参加活動範囲とその動機
  3 総括的分析の結果 
 おわりに  
  1 要約 
  2 理論・方法論的意義 
  3 実質的意義 
 付録 単純集計を含む調査票

第6章 インド農村における貧困層女性の市民意識——積極的差別是正措置・NGO・エンパワーメント   北川 将之
 はじめに
 Ⅰ 議論の構図
  1 エンパワーメントと市民意識
  2 「ジェンダーに敏感な」市民意識と「活動的」な市民意識
  3 事例と調査法
 Ⅱ 貧困層女性の市民意識
  1 市民意識の4類型
  2 市民意識と民主主義体制の安定
 Ⅲ 市民意識の志向性の形成
  1 個人属性・地域特性・女性エンパワーメント支援の影響
  2 NGOのエンパワーメント支援と地域特性の影響
 おわりに

第7章 フィリピンでの民主主義の定着と超憲法的政権交代をめぐる市民意識   粕谷 祐子
 はじめに
 Ⅰ 問題の所在
 Ⅱ フィリピン人の民主主義に対する態度
 Ⅲ 仮説
  1 主観的有力感
  2 市民社会
  3 損失の脅威
 Ⅳ 仮説の検証
 結論 

第3部 市民団体研究
第8章 韓国政治改革におけるNGO連合のジレンマと挑戦   金  赫來
 はじめに 
 Ⅰ 転換期における国家、市民社会、そして非政府組織
 Ⅱ NGO連合による2000年総選挙の政治改革運動
 Ⅲ 2000年総選市民連帯の運動 
  1 制度的限界
  2 組織的限界
  3 社会文化的限界
Ⅳ 2004年総選市民連帯の運動
おわりに


第9章 中東の市民社会 ムスタファ・カーミル・アッサイード
 はじめに 
 Ⅰ 市民社会概念をめぐる論争 
  1 論争の起点 
  2 論争の変遷
 Ⅱ 中東各国の市民社会状況
  1 国家と市民社会
  2 市民社会のキー・プレイヤー
 Ⅲ 市民社会の不満
  1 市民社会の綱領
  2 イランとトルコに見られる不満
 Ⅳ 結論——中東の市民社会のジレンマ

第10章 変容する政府系草の根組織——シンガポールにおける国家・市民社会関係   田中 善紀
 はじめに
 Ⅰ 国家・市民社会協力関係への模索 
  1 「政府・NGO関係」におけるNGOの役割 
  2 国家と市民社会の「相乗作用」
  3 国家・市場・市民社会の三角関係
 Ⅱ 政府系草の根組織の位置づけ
  1 「草の根組織」の由来と背景
  2 「草の根組織」の特徴と役割
  3 「草の根組織」の位置づけ
 Ⅲ 変容する政府系草の根組織——国家—市民社会協力関係の強化
  1 変化するニーズへの対応
  2 地域社会開発理事会の登場とその影響
 Ⅳ シンガポールにおける国家—市民社会関係——二元論の重要性
 おわりに

第11章 民主主義の定着・発展と市民社会——フィリピンにおける民間選挙監視団体の活動に注目して   五十嵐誠一
 はじめに 
 Ⅰ フィリピンにおける選挙の実態
 Ⅱ 市民団体の形成
  1 NAMFREL
  2 NASSA
  3 PPCRV 
 Ⅲ 市民団体の活動概況 
  1 選挙監視 
  2 非公式集計 
  3 有権者教育 
  4 選挙改革アドボカシー
 Ⅳ むすびにかえて

索引


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