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日本の中古の子どもたち「ちご」と「わらは」の生活史

「ちご」と「わらは」の生活史 日本の中古の子どもたち

B7 318ページ 上製
価格:4,058円 (消費税:369円)
ISBN978-4-7664-0569-9(4-7664-0569-2) C3039
奥付の初版発行年月:1994年01月 / 発売日:1994年01月上旬

内容紹介

呼称と生育儀礼の分析から子どもを七歳を境に「ちご」と「わらは」に区分し、各発達段階における日本の中古の親子関係、遊びや玩具、教育の様子等を考察し、併せて当時の児童観の特質を浮き彫りにする。


加藤 理 (かとう おさむ)
1961年、宮城県仙台市生れ。早稲田大学教育学部教育学専修、早稲田大学大学院文学研究科教育学専攻修了。
白百合女子大学文学部児童文化学科講師。教育史学会、日本風俗史学会、日本児童学会、日本児童文学学会会員。

主要論文
発達・年齢観と「童」(日本児童学会紀要『児童研究』第68号)
童装束に現れる児童観の分析−十二世紀末までの貴族の童男・童女を中心として(日本児童文学学会紀要『児童文学研究』第20号)
「あまがつ」についての一考察(佐藤玩具文化財団紀要『玩具文化』第8号)
日本の古代における女子児童観の考察−教育および社会背景・思想的背景の分析をとおして(日本児童学会紀要『児童研究』第70号)
「あまがつ」とその歴史的変遷の考察−宮城県の郷土玩具との関係を中心に(日本風俗史学会紀要『風俗』第30巻3号)

目次

はしがき

序章 子どもの呼称
   一 「こ」と「こども」
   二 幼児に対する呼称−「みどりこ」と「ちご」
   三 「わらは」と子どもの髪型−「わらは」の成立事情と意味

Ⅰ部 子どもの発達と発達観
一章 誕生前後の生育儀礼と子どもの発達
   一 着帯の儀前後−困難な出産と胎児への認識
   二 産養から魚味始まで−生育困難な子どもへの思いと願い
二章 三歳前後の生育儀礼と子どもの発達
   一 着袴と着衣始−無事な生育への願いと躾けの開始
   二 産剃と髪垂−髪型の変化で表される意味と願い
     1 産剃と髪垂
     2 髪を削ぐことの意味−削り掛け玩具と禊ぎをもとに
   三 「あまがつ」から「こけし」まで−三歳までの子どもを守る信仰人形
     1 「あまがつ」の歴史的変遷
       (1)中古 (2)中世 (3)近世
     2 「あまがつ」から「こけし」へ−郷土玩具の中に残された中古の親の願い
       (1)「あまがつ」と「こけし」をつなぐもの−仙台おほこと赤けし
       (2)「あまがつ」の系譜に連なる「こけし」
三章 七歳前後の生育儀礼と子どもの発達
   一 読書始−大人への準備の開始
   二 戴餅と七歳まで−子ども時代における七歳までの特殊性
   三 三歳・七歳と「ちご」・「わらは」

Ⅱ部 「ちご」時代と生活
一章 大人と「ちご」の関わり
   一 「ちご」と親と乳母
   二 「ちご」の生活と教育
     1 「ちご」の教育−躾けと絵物語など
     2 「ちご」の生活−遊び・玩具と童謡と衣食住
       (1)遊びと玩具 (2)童謡 (3)「ちご」の衣食住
二章 かなしき者と捨てられる者−中古の「ちご」観
   一 かなしき者−愛情を注がれる子ども
   二 捨てられる者−子捨て子殺しと中古の児童福祉事情
   三 「神のうち」という考え方

Ⅲ部 「わらは」時代と生活
一章 成年礼後への準備
   一 必要とされた教養とその獲得
     1 男子の場合
     2 女子の場合
   二 「わらは」の教育−家庭内における生活の中での教育
     1 教育観
     2 生活の中での教育
     3 教育をとおしての「わらは」と親の関わり
二章 「わらは」の生活
   一 童殿上など
   二 「わらは」の遊び
     1 遊びの概観
     2 「わらは」の遊びと生活
       (1)「わらは」遊びの起源と特質−大人の模倣と物見
       (2)生活の中の遊び
   三 「わらは」の装束
     1 装束の概要
     2 「わらは」装束の寸法と服色
三章 中古の「わらは」観
   一 「わらは」を取り巻く政治的背景と理想的背景
     1 社会的・政治的背景
     2 思想的背景
   二 「わらは」と「かね」という語に現れた「わらは」観

図版出典・所蔵一覧
あとがき
索引


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