日本企業による欧米企業の買収と経営
価格：4,058円 (消費税：369円)
ISBN978-4-7664-0520-0(4-7664-0520-X) C3034
奥付の初版発行年月：1993年01月 ／ 発売日：1993年01月上旬
現今欧米企業を買収した場合の経営上の問題点が数多く指摘されている。本書は豊富な事例を用いてその実態を浮き彫りにし、その対応策についてのサジェスションを行っている。特に企業関係者にすすめる。
●1965年慶應義塾大学経済学部卒業、1967年同大学院経済学研究科修士課程、1972年同博士課程修了、1972年同大学ビジネス・スクール助手、1974年インディアナ大学ビジネス・スクールＤＢＡプログラム修了、同大学経営学博士の称号を受ける。1974年助教授、1975年フィリピンのAsian Institute of Managementの招聘により訪問教授として出講、１987年同大学院経営管理研究科教授。
●「救済融資とメインバンク関係」（慶應経営論集 第2巻第2号 1980）
「日本における被買収上場企業の特徴」（慶應経営論集 第4巻第1号 1982）
「銀行救済融資企業における再建過程の財務的評価」（慶應経営論集 第5巻第1号 1983）
「ケースブック 財務管理」（慶應通信 1986）
目次
はしがき
第１部 序論
第１章 研究の枠組みと調査方法
Ａ．研究の目的
Ｂ．調査標本企業と分析方法
Ｃ．企業買収による価値創造
１．企業買収の戦略明確化の過程
２．買収価格の決定過程
３．被買収企業の経営の再構築・統合過程
Ｄ．行動様式と文化的「コンテクスト」
Ｅ．研究調査結果の内容構成
第２部 企業買収に関する調査・研究文献の検討
第２章 企業買収価格の決定についての文献検討
Ａ．株主資本価値の評価についての見方
Ｂ．日本企業による企業買収価格の傾向
１．会計処理相違仮説
２．資本コスト相違仮説
３．準備可能キャッシュ・フロー仮説
４．戦略的価格仮説
５．経営陣の「自信過剰」仮説
Ｃ．まとめ
第３章 企業買収の成果についての文献検討
Ａ．企業買収の成果についての評価
Ｂ．企業買収の成功・失敗の割合とその判断基準
Ｃ．企業買収の成功・失敗の要因
Ｄ．まとめ
第３部 調査結果—企業買収前の意思決定
第４章 企業買収の目的・戦略
Ａ．概要
Ｂ．個々の目的・戦略の検討
１．ブランド・販売網の獲得
ａ．日本企業が被買収企業の位置する国に生産拠点をもっていない場合
ｂ．日本企業が被買収企業の位置する国に生産拠点をもっている場合
２．輸出市場の防衛
３．日本顧客への追随
４．製品・技術の獲得
５．ソフトウェアの獲得
６．現地での新規事業展開と新規事業の学習
７．天然資源の獲得
８．自社事業防衛
Ｃ．まとめ
第５章 企業買収価格の決定
Ａ．概要
Ｂ．個々の価格決定方法についての検討
１．現在価値法
２．利益または売上高の倍率法
３．資産時価評価法
Ｃ．戦略的価格の問題
Ｄ．通貨換算の問題
Ｅ．まとめ
第６章 企業買収資金の調達
Ａ．概要
Ｂ．資金調達額に占めるエクスティ・ファイナンス
Ｃ．資金コスト
Ｄ．まとめ
第４部 調査結果—被買収企業の買収後経営
第７章 被買収企業の買収後評価
Ａ．概要
Ｂ．肯定的評価
Ｃ．留保的評価
１．戦略的意義についての留保的評価
２．被買収企業の業績についての留保的評価
３．業績および戦略的意義の両面についての留保的評価
Ｄ．まとめ
第８章 被買収企業の再構築策
Ａ．概要
Ｂ．再構築策
１．縮小再建策
ａ．現地人社員のレイオフ
ｂ．事業・資産売却
２．拡大強化策
ａ．工場の新設・拡張と設備の増強
ｂ．品質・生産性向上による業績改善
ｃ．被買収企業への新製品の導入と親会社の販売網の活用
ｄ．日本の親会社の経営組織体制の一環としての再構築
ｅ．被買収企業による他企業買収等の事業展開
Ｃ．再構築策の問題点
Ｄ．まとめ
第９章 被買収企業内における現地人社員の行動様式
Ａ．概要
Ｂ．行動様式の相違
１．多い職務分掌と狭い規定はんい
２．命令型・命令待機型
３．行動スピードの相違
４．情報伝達の相違
ａ．縦方向の情報の流れ
ｂ．情報のシェアリング
ｃ．伝達すべき情報の内容
ｄ．文書による情報伝達
C．行動様式の変更
１．階級意識と平等化措置
２．経営哲学・企業文化の導入・修正
３．日本的行動様式の直截的導入
ａ．日本的アプローチの導入
ｂ．現地人経営幹部の反応
Ｄ．行動様式と行動結果
Ｅ．まとめ
第１０章 被買収企業におけるトップ経営者と派遣日本社員
Ａ．概要
Ｂ．トップ経営者を選択するにあたってのアプローチ
１．日本人を被買収企業のトップ経営者に起用するアプローチ
２．現地人を被買収企業のトップ経営者に登用するアプローチ
ａ．リエーゾンやアドバイザーによるサポート
（１）日本人のリエーゾン・アドバイザーの役割
（２）リエーゾン・アドバイザーを通ずる経営の問題点
ｂ．間接経営
（１）間接経営アプローチ
（２）間接経営方式の問題点
Ｃ．再建の遅れと現地人トップ経営者の更迭
Ｄ．被買収企業への派遣日本人社員
Ｅ．まとめ
第１１章 被買収企業に対する日本親会社の対応
Ａ．概要
Ｂ．日本の親会社のカウンターパート組織
Ｃ．日本の親会社の曖昧な指示
Ｅ．被買収企業と日本の親会社との間の相互関係についての認識
Ｆ．日本の親会社による被買収企業とのコミュニケーションの促進
Ｇ．まとめ
第１２章 被買収企業内での予算管理
Ａ．概要
Ｂ．被買収企業アプローチの踏襲
Ｃ．日本式アプローチの導入
１．被買収企業の現地人社員が未経験なための導入
２．予算制度についての認識の相違
ａ．予算制度における計画期間の長期化
ｂ．予算の作成アプローチ
ｃ．予算の達成義務
ｄ．日本式アプローチの問題点
Ｄ．まとめ
第１３章 被買収企業内での人事管理
Ａ．概要
Ｂ．被買収企業の現地人経営幹部の辞職・解雇
１．被買収企業の経営幹部の辞職
２．現地人経営幹部の解雇
Ｃ．現地人社員の採用とキャリア・パス
１．採用
２．昇進
Ｄ．報酬
Ｅ．人事考課
Ｆ．まとめ
第１４章 被買収企業内での生産管理
Ａ．概要
Ｂ．新しい機械設備の導入と製造現場での行動様式
１．現場主義の弱さ
２．変化への抵抗感
Ｃ．技術・開発
１．技術移転
ａ．技術移転の難しさ
ｂ．技術移転に伴う日本人エンジニア・サポート
２．開発・設計
Ｄ．品質問題
１．整理・整頓・清掃
２．品質調査
Ｅ．業務改善活動
Ｆ．労働組合問題の影響
１．多くの職種と低い融通性
２．先任権
３．日本企業の「グリーンフィールド」型対応策
Ｇ．まとめ
第１５章 被買収企業内での販売管理
Ａ．概要
Ｂ．販売についてのアプローチの相違
Ｃ．被買収企業の販売先の変化
１．販売拡張による変化
２．販売縮小による変化
Ｄ．日系競争企業の増加
Ｅ．ブランド・販売網の統合
Ｆ．まとめ
第５部 まとめ
第１６章 企業買収の枠組み
Ａ．概要
Ｂ．企業買収価格と株主資本価値の創造
Ｃ．被買収企業の再構築
Ｄ．被買収企業内のマネジメントの能力
Ｅ．親会社の国際経営組織への被買収企業の統合
Ｆ．まとめ