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自己にたち返る学び教育を原理する

キャリアデザイン選書
教育を原理する 自己にたち返る学び

A5判 212ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-588-68007-6 C1337
奥付の初版発行年月:2013年04月 / 発売日:2013年04月上旬

内容紹介

教育という言葉には、近代社会の成立と結びついた歴史的な概念と、発達に向けて働きかける営み一般という二つの意味がある。本書は、歴史(異なる時代・異なる社会)のセンスを磨くこと、自己を疑うこと・相対化すること、当事者意識をもつことという三つの柱を軸に、多くの事例やエピソードをまじえて「教育はいかにして成り立っているのか?」を深く広く探求するためのガイドブック。

著者プロフィール

筒井 美紀(ツツイ ミキ)

1968年生。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員、京都女子大学現代社会学部准教授を経て2010年4月より法政大学キャリアデザイン学部准教授。専攻は教育社会学、労働社会学。近著に、「労働(法)教育論争 現場を見る研究の視線/研究を見る現場の視線」(『ふり返り教育理論講座論争から見えてくる日本の教育』、アドバンテージサーバー、2013年)、「学習指導案作成・7つの勘違い『教育実習事前指導』受講生への添削指導から」(『法政大学教職課程年報』Vol.10、2013年)、『仕事と暮らしを取りもどす社会正義のアメリカ』(共著、岩波書店、2012年)、『仕事と若者』(共編著、日本図書センター、2010年)など。

遠藤 野ゆり(エンドウ ノユリ)

1978年生。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。山口大学教育学部講師を経て2012年4月より法政大学キャリアデザイン学部講師、2013年4月より同准教授。専攻は現象学的教育学、教育実践学、児童福祉。近著に、「発達障害のある不登校児の集団への馴染みがたさについての現象学的考察」(『法政大学キャリアデザイン学部紀要』Vol.10、2013年)、『家族と暮らせない子どもたち』(共著、新曜社、2011年)、「授業における教師の子ども理解」中田基昭編著『現象学から探る豊かな授業』(分担執筆、多賀出版、2010年)、『虐待された子どもたちの自立』(単著、東京大学出版会、2009年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 まえがき

序章 「教育を原理する」ってなんだ?

第1節 おっと,それは勘違いだよ!
1-1 しばしば教員志望の学生は……
1-2 実習生はどう見られたか?
1-3「教育実習成績報告表」とは
1-4 評価の分布と「総合評価」= A の決め手
1-5「教科指導の技術」を左右するものはなにか
1-6 本節の結論

第2節 教育原理って学んでいいことあるの?
2-1 教育原理を学ぶことと教職につくことの溝
2-2 良い教師になるための要素
2-3 思いこみを疑う
2-4 ルーツを探る
2-5 多様な教育への対応というメリット
2-6 不可能性としての子ども理解への対応というメリット
2-7 歴史を学びなおす
2-8 当事者意識をもつ

第1章 古代・中世ってなんだ?

第1節 歴史をざっくりつかむコツ

第2節 古代:政治・学問・教育はここから始まっ
2-1 古代に起きた出来事と有名人物
2-2 古代の社会階級
2-3 古代の文化
2-4 古代の教育

第3節 中世:キリスト教に覆われた社会
3-1 中世の流れと教会権威の隆盛
3-2 中世の社会構造とその変化
3-3 中世の文化と教育

第2章 近代・現代ってなんだ?

第1節 近代:地下水は溜まる
1-1 近代の始まりと大まかな流れ
1-2 近代初期の社会
1-3 近代中期の社会
1-4 近代初期・中期における教育の変化
1-5 二重革命

第2節 近代と現代のあいだ:産業革命から帝国主義へ
2-1 いかに19 世紀を概観するか
2-2 社会階級の視点から19 世紀をつかむ
2-3「支配階級」「庶民階級」の複雑化
2-4 労働者階級の要求と行動
2-5 支配階級の反応
2-6 帝国主義的競争の展開と階級闘争の(一時的)沈静化

第3節 現代って結局,いつからなの?
3-1 大きく二期に区分する
3-2 本章のまとめ

第3章 公教育ってなんだ?──啓蒙の勝利でも歴史の進歩でもなく

第1節 一体この間なにが起こったのか?

第2節 モノづくり方式でやる子どもの教育?
2-1 日曜学校
2-2 週日学校と助教法
2-3 週日学校の教育効果とそれへの批判

第3節 庶民の教育なんて国家の責任じゃない
3-1 支配階級の社会観・人間観・教育観
3-2 支配階級内での思惑と取引
3-3 労働者階級の教育要求
3-4「庶民へのより高度な教育は有害だ」という理屈

第4節 国家が教育に本腰を入れたのはいつ?
4-1 国家が教育に本腰を入れたきっかけは?
4-2 飢えた子どもたちの教育は不可能
4-3「庶民に対するより高度な教育は有益だ」
4-4 新教育(進歩主義教育)
4-5 本章のまとめ 「現代公教育」のために

第4章 子どもって・おとなってなんだ?──相互関係的出来事としての教育

第1節 子ども期の発見
1-1 子ども時代の特別さ
1-2 子ども時代はどのような意味で特別か
1-3 学齢期ってなんだ?
1-4 小さいおとな
1-5 子ども時代と相対化されるおとなの時代

第2節 「発達」って「個性」って「障害」ってなんだ?
2-1 発達や個性を重視した教育はすばらしいか7
2-2 発達概念の成立
2-3 個性とはなにか
2-4 発達の多元性
2-5 発達論や個性論から学ぶこと

第3節 おとな? 大人? オトナ?
3-1 おとなとしてのふさわしい役割ってなんだ
3-2「出口」をめぐる授業
3-3 情緒的つながりと知的理解
3-4 教師の仕事
3-5 本章のまとめ だれでも良い教師になれるのか

第5章 「教育を原理する」力はついたのかなぁ?──テキスト読解演習

第1節 うるわしき母性愛?
1-1 本節の目的
1-2 テキスト
1-3 抜粋
1-4 設問
1-5 本節のまとめ

第2節 ソヴィエトの教育理論?
2-1 本節の目的
2-2 テキスト
2-3 抜粋
2-4 設問
2-5 本節のまとめ

第3節 時代に合った教育?
3-1 本節の目的
3-2 テキスト
3-3 抜粋
3-4 設問
3-5 本節のまとめ

第4節 「学校を廃止しなければならない」?
4-1 本節の目的
4-2 テキスト
4-3 抜粋
4-4 設問
4-5 本節のまとめ

終章 「教育を原理する」ってこういうことか!

第1 節 自分を疑うことから始める

第2 節 社会を創る人間を創るために

 引用・参考文献
 読書案内
 索引

 あとがき


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