石の物語 中国の石伝説と『紅楼夢』『水滸伝』『西遊記』を読む
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-588-49508-3 C1090
奥付の初版発行年月:2015年01月 / 発売日:2015年01月上旬
物語は石から始まる。『水滸伝』では石の下に封印されていた星の化身たちが解き放たれ、『西遊記』では孫悟空が石から生まれ、『紅楼夢』では天界で女神に見捨てられた石が人間界に下る。別名『石頭記』=「石の物語」の『紅楼夢』を織りなすテクスト相関性とは。もの言わぬ石が、古代からの石伝説やテクストが、時をこえて協奏し、いま〈石の物語〉として、新たな物語論、テクスト論、フィクション論を創造する。
ジン・ワン(ワン,J.)
(Jing Wang)
マサチューセッツ工科大学教授。マサチューセッツ大学アマースト校で比較文学研究によりPh.Dを取得後、デューク大学で中国語中国文学を担当した後、2001年よりMITで中国文化研究・比較メディア研究の教授を務める。邦訳に『現代中国の消費文化――ブランディング・広告・メディア』(松浦良高訳、岩波書店、2011年)がある。
廣瀬 玲子(ヒロセ レイコ)
専修大学文学部教授。専門は中国文学。主な著作・翻訳に「おおわれた真実――元雑劇「救孝子」「殺狗勧夫」試論」(『専修人文論集』第91号、2012年)、「誰も死なない――元雑劇「留鞋記」試論」(『中国哲学研究』第24号、2009年)、アンヌ・チャン著『中国思想史』(共訳、知泉書館、2010年)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
謝辞
第一章 テクスト相関性と解釈
テクスト相関的読解
石伝説の諸問題
第二章 石の神話辞典
意味論的考察
女媧と石
禹と社祭儀礼
雨乞い儀礼
封禅の儀――天子による天と地への供犠
石敢当――厄よけの石
文字を刻んだ石
石の生命力をめぐる民間伝説
鳴石――音を出す石
石言――もの言う石
照石と石鏡――光る石と石の鏡
点頭頑石――悟りを開いた天然の/無知な石
石女――石の女
石の神話辞典
第三章 石と玉――虚構性から道徳性まで
聖なる豊穣の石
美玉
道徳観の展開――潔と真
石と玉をめぐる真と仮の問い――道徳と形而上学
第四章 石の物語――矛盾と制約の諸問題
矛盾と制約の諸問題
通霊石と頑石――神知をもつ石と無知な石
過渡的状態(リミナリティ)としての石
『紅楼夢』に始まりはあるか
第五章 欲と空のパラドクス――テクスト相関のなかの石猿
好色な猿――中国とインドからの引用
民間伝承の石の過渡性
トリックスター
知恵のある石
第六章 文字を刻んだ石碑
結び
訳者あとがき
参考文献
事項索引
作品索引
人名索引