大学出版部協会

 

近代化と鋳造技術大砲からみた幕末・明治

大砲からみた幕末・明治 近代化と鋳造技術

四六判 254ページ 上製
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-588-31402-5 C1021
奥付の初版発行年月:2016年09月 / 発売日:2016年09月下旬

内容紹介

近代日本史の扉は、黒船の大砲によって開かれた。西洋列強に軍事的に対抗すべく、富国強兵を旗印に推し進められた明治の産業革命は、大砲製造を含む金属鋳造・加工技術の急速な発展の歴史でもある。幕末以降官民挙げて操業に着手し、草創期の数多くの日本企業が参与したにもかかわらず、敗戦をへてやがて忘れられた軍事技術の歴史を、鋳造工学研究の第一人者がひもとく異色の書。図版多数。

著者プロフィール

中江 秀雄(ナカエ ヒデオ)

1941年東京は両国に生まれる。両国小学校,両国中学校を経て,早稲田大学高等学院から早稲田大学理工学部に進学。1964年早稲田大学理工学部金属工学科を卒業し,大学院に進む。1970年工学博士,1971年1月日立製作所機械研究所入社。1983年4月早稲田大学理工学部教授,2012年早稲田大学名誉教授。長年,鋳物の研究と教育に従事し,日本鋳造工学会会長などを歴任。近年は鋳鉄製の大砲に魅せられ,趣味でその歴史を読み解いてきた。
著書に『新版 鋳造工学』『濡れ,その基礎とものづくりへの応用』(いずれも産業図書),『結晶成長と凝固』(アグネ承風社),『凝固工学』(アグネ),『状態図と組織』(八千代出版),共著に『材料プロセス工学』(朝倉書店),編著に『新版 鋳鉄の材質─鋳物技術者と機械設計技術者のための』(日本鋳造工学会)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

『大砲からみた幕末・明治』正誤表PDF
「正誤表」について。本書の刊行後、いくつかの誤表記または事実誤認の箇所を確認いたしました。いずれも編集部の不注意の結果であり、ご迷惑をおかけしました関係各位、読者の皆さまに心よりお詫びを申し上げます(2016年10月27日)。

目次

1 はじめに

2 鉄砲伝来から大砲まで
 一 鉄砲伝来
 二 火縄銃から大筒(大砲)へ
 三 わが国における歴史上の代表的大砲

3 わが国を取り巻く世界の情勢と大砲
 一 ペリー来航まで
 二 近代化への第一歩

4 溶解炉の変遷──甑から反射炉へ
 一 タタラとこしき──鑪と踏鞴、甑と鞴
 二 甑から反射炉へ
 三 青銅砲から鋳鉄砲へ

5 反射炉による鋳鉄砲の製造
 一 反射炉の位置づけ
 二 荷下鉄
 三 反射炉と甑による鋳鉄溶解
 四 和銑の甑での溶解
 五 実証実験

6 わが国の鉄──幕末の銑鉄と鋼
 一 タタラから高炉へ
 二 銑鉄、鋳鉄と鋼
 三 高炉の建設

7 幕末から明治の製鉄所・造船所・軍工廠
 一 幕末の製鉄所と鋳造所、造船所
 二 浦賀造船所
 三 横須賀製鉄所と横浜製鉄所
 四 東京砲兵工廠
 五 赤羽工作分局
 六 大阪砲兵工廠
 七 大阪砲兵工廠の鋳鉄砲
 八 大阪砲兵工廠での水道用鋳鉄管と自動車エンジンの鋳造
 九 呉海軍工廠

8 明治の製鉄─釜石から八幡へ
 一 幕末から明治へ
 二 釜石製鉄所の誕生
 三 官営八幡製鉄所の誕生

9 江戸時代以前に設立された鋳鉄鋳物工場
 一 鋳物の歴史
 二 石川島造船所(現在のIHIと、いすゞ自動車、日野自動車)
 三 長崎熔鐡所(現在の三菱重工、三菱造船)

10 明治時代に設立された鋳物工場
 一 池貝鉄工所
 二 クボタ
 三 新潟鉄工所
 四 住友金属工業
 五 日本製鋼所
 六 日立金属
 七 日立製作所
 八 豊田自動織機
 九 コマツ

11 おわりに

 あとがき
 索 引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。