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 レヴィナス哲学の新たな広がり個と普遍

個と普遍 レヴィナス哲学の新たな広がり

A5判 422ページ 上製
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-588-15122-4 C3010
奥付の初版発行年月:2022年01月 / 発売日:2022年01月下旬

内容紹介

20世紀の倫理学に根源的な転回をもたらしたレヴィナス。そのいまだ汲み尽くされざる可能性について、東方/東洋の伝統思想やユダヤ思想史からの視点、ケアや医療分野での応用、現代哲学からの新たな解釈という全3部からアプローチした国際シンポジウムの記録。仏、米、墺やイスラエル、韓国など海外の研究者、日本のベテランから若手まで総勢20名による多彩な論考が、これからの倫理の扉をひらく。

著者プロフィール

杉村 靖彦(スギムラ ヤスヒコ)

1965年生。京都大学大学院文学研究科教授。現代フランス哲学・宗教哲学。著書に『ポール・リクールの思想』(創文社、日本宗教学会賞受賞)、共編著に『渦動する象徴──田辺哲学のダイナミズム』(晃洋書房)、Philosophie japonaise : le néant, le monde et le corps(J. Vrin)、訳書にグロンダン『ポール・リクール』(白水社)、グレーシュ『『存在と時間』講義』(共訳、法政大学出版局)ほか。

渡名喜 庸哲(トナキ ヨウテツ)

1980年生。立教大学准教授。現代哲学・社会思想。著書に『レヴィナスの企て』(勁草書房)、共著にArrachement et évasion : Levinas et Arendt face à l'histoire(J. Vrin)、訳書に『レヴィナス著作集1・2・3』(共訳、法政大学出版局)、ナンシー『フクシマの後で』(以文社)、ベンスーサン『メシア的時間』(共訳、法政大学出版局)、デリダ『最後のユダヤ人』(未來社)ほか。

長坂 真澄(ナガサカ マスミ)

1976年生。早稲田大学国際学術院准教授。宗教哲学、独仏現象学。共著にRencontrer l’imprévisible(Le Cercle herméneutique)、『リクール読本』(法政大学出版局)、Bergson Jankélévitch Levinas(Manucius)、『ハイデガー事典』(昭和堂)、共訳書に『マルク・リシール現象学入門』(ナカニシヤ出版)、『ハイデガー──存在の問いと歴史(ジャック・デリダ講義録)』(白水社)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

■執筆者

馬場智一(ババ トモカズ)
1977年生。長野県立大学グローバルマネジメント学部准教授。哲学、倫理学、思想史、哲学プラクティス。著書に『倫理の他者──レヴィナスにおける異教概念』(勁草書房)、共訳書にデリダ『哲学への権利 1』(共訳、みすず書房)、バディウ『世紀』(藤原書店)ほか。

ハノック・ベン=パジ(Hanoch Ben-Pazi)
バール・イラン大学ユダヤ研究学部教授。著書にZionism According to Levinas(Ha-Kibbutz ha-Meuchad)、Emmanuel Levinas : Educational Contract : Responsibility, Hopefulness, Alliance(Ha-Kibbutz ha-Meuchad)(ヘブライ語)ほか。

キム・ヒョンジュン(Kim Heonjoong)
ソウル科学技術大学校非常勤講師。主な論文に『倫理的自己──エマニュエル・レヴィナスとチャールズ・テイラーの倫理思想における自己』(パリ=ナンテール大学博士論文)。

レア・カルマンソン(Leah Kalmanson)
ドレーク大学哲学・宗教学専攻准教授。大陸哲学、芸術哲学、東アジアの哲学および宗教学。著書にCross-cultural Existentialism(Bloomsbury)、共著にA Practical Guide to World Philosophies(Bloomsbury)、共編著にLevinas and Asian Though(Duquesne University Press)ほか。

合田正人(ゴウダ マサト)
1957年生。明治大学文学部教授。思想史。著書に『レヴィナス』『レヴィナスを読む』(ちくま学芸文庫)、『ジャンケレヴィッチ』(みすず書房)、『田辺元とハイデガー』『吉本隆明と柄谷行人』(PHP新書)、『フラグメンテ』(法政大学出版局)、『思想史の名脇役たち』(河出書房新社)ほか。

小手川正二郎(コテガワ ショウジロウ)
1983年生。國學院大學文学部准教授。フランス近現代哲学、現象学。著書に『甦るレヴィナス』(水声社)、『現実を解きほぐすための哲学』(トランスビュー)、共著に『フェミニスト現象学入門』(ナカニシヤ出版)、共訳書に『評伝レヴィナス──生と痕跡』(慶應義塾大学出版会)ほか。

フローラ・バスティアーニ(Flora Bastiani)
トゥールーズ第二・ジャン・ジョレス大学哲学専攻准教授。CHU(トゥールーズ大学総合病院)医療倫理委員会メンバー。編著にBergson Jankélévitch Levinas(Manucius)、論文に「ケアにおける制約と状況──現象学的アプローチ」(Empan, 2019)ほか。

平石晃樹(ヒライシ コウキ)
1981年生。金沢大学学校教育学類准教授。フランス現代哲学、教育哲学。論文に「思考と外部性──社会を見いだす教育哲学」(『教育哲学研究』116号)、「倫理と教え──レヴィナスにおける〈問い〉とその〈無起源〉」(『理想』694号)、共著に『ワークで学ぶ道徳教育』(ナカニシヤ出版)ほか。

村上靖彦(ムラカミ ヤスヒコ)
1970年生。大阪大学大学院人間科学研究科教授。現象学的な質的研究。著書に『レヴィナス』(河出書房新社)、『ケアとは何か』(中公新書)、『摘便とお花見』『在宅無限大』(医学書院)、『子どもたちがつくる町』(世界思想社)、『交わらないリズム』(青土社)ほか。

ジャン=フランソワ・レイ(Jean-François Rey)
1948年生。大学教授資格者(哲学)。哲学博士。リール大IUFM・アルトワ大名誉教授。著書に『レヴィナスと政治哲学──人間の尺度』(法政大学出版局)、Lévinas : Le Passeur de justice(Michalon)ほか。

藤岡俊博(フジオカ トシヒロ)
1979年生。東京大学大学院総合文化研究科准教授。フランス哲学、思想史。著書に『レヴィナスと「場所」の倫理』(東京大学出版会、南原繁記念出版賞)。訳書にレヴィナス『全体性と無限』(講談社学術文庫)、『レヴィナス著作集1・2・3』(共訳、法政大学出版局)ほか。

樋口雄哉(ヒグチ ユウヤ)
1984年生。同志社大学ほか非常勤講師、同志社大学ライフリスク研究センター嘱託研究員。フランス哲学。論文に「レヴィナスにおける倫理と公正」(『倫理学研究』第44号)、共訳書にペリュション『糧──政治的身体の哲学』(萌書房)、ル・ラヌー『存在と力』(萌書房)。

平岡 紘(ヒラオカ ヒロシ)
1982年生。東京大学大学院人文社会系研究科研究員。哲学、倫理学。共著に『言葉の歓び・哀しみ』(東信堂)、『日本哲学小史』(中央公論新社)、論文に「〈私〉の唯一性──「私」と固有名の関わりから」(『ひとおもい』第3号)、「引き裂かれた現在」(『現象学年報』第34号)ほか。

佐藤香織(サトウ カオリ)
神奈川大学ほか講師。共著に『哲学の立ち位置』(東信堂)、『悪と暴力の倫理学』(ナカニシヤ出版)、論文に「デュフレンヌ『美感的経験の現象学』における「準‐主観」の問題」(『実存思想論集』36号)、訳書にシャリエ『無限者の痕跡─レヴィナスとヘブライ的源泉』(法政大学出版局近刊)。

クリスティアン・レスナー(Christian Rößner)
1983年生。リンツ・カトリック大学准教授。形而上学・哲学的神学、現象学・解釈学、フランス哲学・文学、道徳・宗教哲学。著書にAnders als Sein und Zeit : Zur phänomenologischen Genealogie moralischer Subjektivität nach Emmanuel Levinas(Bautz)、Der »Grenzgott der Moral«(Alber)ほか。

フランソワ=ダヴィド・セバー(François-David Sebbah)
1967年生。パリ・ナンテール大学教授。現象学。著書に『限界の試練──デリダ、アンリ、レヴィナス』(法政大学出版局)、L’Éthique du survivant. Levinas, une philosophie de la débâcle(Presses universitaires de Paris Nanterre)、共著に『フランス現象学の現在』(法政大学出版局)ほか。

ジャン=ミシェル・サランスキ(Jean-Michel Salanskis)
1951年生。パリ・ナンテール大学名誉教授。著書にLevinas vivant I, II, III(Klincksieck)、Le fait juif(Les Belles Lettres)、邦訳に「レヴィナスに対する諸反論について」(『現代思想 総特集:レヴィナス』)、「『全体性と無限』の諸地平」(『顔とその彼方』知泉書館)ほか。


■訳者

小野 和(オノ ワタル)
1987年生。明治大学大学院文学研究科博士後期課程。現代フランス思想。論文に「『全体性と無限』における概念の「志向的分析」」(『異境の現象学』明治大学)、「エマニュエル・レヴィナスの思想形成における「劇」の形象」(『文学研究論集』第48号)ほか。

吉野斉志(ヨシノ タダシ)
1983年生。京都芸術大学非常勤講師。フランス哲学、科学哲学。論文に「死と復活の意味──アグノンとレヴィナス」(『京都ユダヤ思想』第7号)、共編書に『西田幾多郎全集別巻 倫理学講義ノート 宗教学講義ノート』(岩波書店)ほか。

石井雅巳(イシイ マサミ)
1990年生。慶應義塾大学大学院後期博士課程、日本学術振興会特別研究員DC2。哲学、倫理学。著書に『西周と「哲学」の誕生』(堀之内出版)、共訳書にハーマン『四方対象』(人文書院)、論文に「レヴィナスにおける反──歴史論の展開と変遷」(『倫理学年報』第70集、和辻賞受賞)ほか。

村上暁子(ムラカミ アキコ)
1984年生。慶應義塾大学文学部助教。現代フランス哲学、倫理学。共著に『入門・倫理学の歴史──24人の思想家』(梓出版社)、論文に「魂の身体性──レヴィナスにおける感受性の構造について」(『フランス哲学・思想研究』第22号)ほか。

松葉 類(マツバ ルイ)
1988年生。現代フランス思想、ユダヤ思想。論文に「レヴィナスにおけるデモクラシー論──国家における国家の彼方」(『宗教哲学研究』38号)、共訳書にアバンスール『国家に抗するデモクラシー』(法政大学出版局)、ビュルガ『猫たち』(法政大学出版局)ほか。

樽田勇樹(タルタ ユウキ)
1988年生。ドイツ哲学、宗教思想。論文に「初期ハイデガーにおけるギリシア的哲学概念の異化」(『アルケー』No. 29)ほか。

犬飼智仁(イヌカイ トモヒロ)
1989年生。明治大学大学院文学研究科博士後期課程。現代フランス哲学。論文に「レヴィナスにおける「最初の語ること」と神という語──哲学と宗教の交錯点」(『文学研究論集』第55号)、「レヴィナスにおけるメタファー論」(『文学研究論集』第50号)ほか。

伊藤潤一郎(イトウ ジュンイチロウ)
1989年生。日本学術振興会特別研究員PD。フランス哲学、キリスト教思想。論文に「ジャン=リュック・ナンシーと人格主義」(『フランス哲学・思想研究』第22号)、訳書にナンシー『あまりに人間的なウイルス──COVID-19の哲学』(勁草書房)、同『アイデンティティ』(水声社)ほか。

目次

序 【渡名喜庸哲】

第一部 レヴィナスと「東方/東洋」

東方イスラエリット師範学校校長としてのレヴィナスと伝統──世界イスラエリット同盟アーカイヴ所蔵文書を読む 【馬場智一】

東西のあいだの現代ユダヤ哲学──マルティン・ブーバーとエマニュエル・レヴィナス 【ハノック・ベン=パジ/小野 和/渡名喜庸哲 訳】

レヴィナスにおける〈東方〉についての極端な思考──ジュディス・バトラーからの批判に対して 【渡名喜庸哲】

孟子と顔の倫理──レヴィナス哲学から孟子の思想を読む 【キム・ヒョンジュン/吉野斉志 訳】

内部性とはなにか──レヴィナスとアジア思想における超越と内的経験 【レア・カルマンソン/石井雅巳 訳】

道徳と宗教をめぐる一考察──レヴィナスと清沢満之 【合田正人】

質料的現象学の限界における「社会存在」の重量──一九三〇年代のレヴィナスと田辺元 【杉村靖彦】

第二部 レヴィナスとケアの倫理

「子どもをもつ」とはいかなることか──反出生主義に抗するレヴィナス 【小手川正二郎】

倫理的ケアの関係はありうるのか──レヴィナスとともにケアを考える 【フローラ・バスティアーニ/村上暁子 訳】

享受と傷──〈同〉の内なる〈他〉としての主体性をめぐって 【平石晃樹】

住処の内破としての児童虐待──レヴィナス、アガンベン、そして民主主義の基盤 【村上靖彦】

母胎の震えのように──拠りどころ、専門能力としての医療 【ジャン=フランソワ・レイ/松葉 類 訳】

第三部 レヴィナスと新たな対話

利己愛から利益へ──レヴィナスとジャンセニスム 【藤岡俊博】

レヴィナスと「記憶不可能な過去」──カントおよびシェリングを経由して 【長坂真澄】

ジャン・ヴァールの下降的超越とレヴィナス 【樋口雄哉】

音と記号──「理性」をめぐるレヴィナスと現象学 【平岡 紘】

〈われわれ〉の存在論──レヴィナスとローゼンツヴァイク 【佐藤香織】

対話的差異の弁証論 【クリスティアン・レスナー/樽田勇樹 訳】

法、愛、現象学──リオタールとマリオンのあいだのレヴィナス 【フランソワ=ダヴィド・セバー/犬飼智仁 訳】

レヴィナスと「非存在論的な突破口」 【ジャン=ミシェル・サランスキ/伊藤潤一郎 訳】

あとがき 【杉村靖彦】
索 引


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