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真実と伝説ドレフュス事件

叢書・ウニベルシタス1129
ドレフュス事件 真実と伝説

四六判 282ページ 上製
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-588-01129-0 C1322
奥付の初版発行年月:2021年06月 / 発売日:2021年06月中旬

内容紹介

文書改竄、証拠捏造で、国家が真実を隠蔽し、冤罪を作り出す。「世論を真っ向から分断するような論争があるとき、人々が考えるのはドレフュス事件である」。「国家の重大事件とは、ある過ちが犯されて起こるのではない。関係する権力者がその過ちの存在を否定し、あらゆる手段を使って、その存在をもみ消そうとするときに起こる」と著者は言う。ジャーナリズム、知識人、作家、軍人、政治家が果たした役割から、人種差別の問題、文学や映画まで多角的に検証し、現在もなお参照すべき先例として時事問題に応じて絶えず立ち現れる《事件》の全貌を明らかにする。

著者プロフィール

アラン・パジェス(パジェス アラン)

(Alain Pagès)
1950年生まれ。パリ第3大学名誉教授。ゾラ研究を牽引する世界的な研究者のひとりであり、特にゾラとドレフュス事件に関する研究で知られる。ゾラと自然主義文学に関する学術雑誌『カイエ・ナチュラリスト』(エミール・ゾラ友の会発行)の編集長を務める。ゾラとドレフュス事件に関する著作に、『エミール・ゾラ、ドレフュス事件における知識人』(Séguier, 1991)、『エミール・ゾラ 「私は告発する」からパンテオンまで』(Éd. Lucien Souny, 2008)、『ドレフュス事件における1日。「私は告発する」1898年1月13日』(Perrin, « Tempus », 2011)などがある。また、ゾラの『書簡集』(Garnier-Flammarion, 2012)のアンソロジーを出版しているほか、小説家の曾孫にあたるブリジット・エミール゠ゾラとの共編で、『ジャンヌ・ロズロへの手紙(1892–1902年)』(Gallimard, 2004)、『アレクサンドリーヌへの手紙(1876–1901年)』(Gallimard, 2014)を上梓し、後者は2015年にフランスで発表された未公開書簡を含む書簡集に与えられるセヴィニェ賞を受賞している。邦訳された著作に、『フランス自然主義文学』(文庫クセジュ、白水社、2013年)がある。

吉田 典子(ヨシダ ノリコ)

京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。D.E.A.(パリ第4大学)。文学博士(京都大学)。神戸大学大学院国際文化学研究科教授を経て、現在、神戸大学名誉教授。専門は19世紀フランスの文学と美術、および社会文化史。主な論文に「マネと〈自然主義〉―ゾラの美術批評・小説から見るフランス近代絵画」(永井隆則編『探求と方法』所収、晃洋書房、2014年)、「商業と美術――ショーウインドー絵画とゾラ、カイユボット」(喜多崎親編『パリⅠ――19世紀の首都』所収、竹林舎、2014年)など、主な訳書に、『セザンヌ゠ゾラ往復書簡 1858–1887』(高橋愛と共訳、法政大学出版局、2019年)、ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店――デパートの誕生』(藤原書店、2004年)、アラス『モナリザの秘密――絵画をめぐる25章』(白水社、2007年)など。

高橋 愛(タカハシ アイ)

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。D.E.A.(ストラスブール第2大学)。文学博士(大阪大学)。現在、法政大学社会学部准教授。専門は19世紀フランス文学。主な論文に「ゾラにおけるモニュメントを見る眼」(『CORRESPONDANCES コレスポンダンス――北村卓教授・岩根久教授・和田章男教授退職記念論文集』所収、朝日出版社、2020年)など、共著に『フランス文学小事典 増補版』(朝日出版社、2020年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第1章 いくつかのドレフュス事件を区別するべきか?
第2章 告発には証拠があったのか?
第3章 筆跡鑑定は決定的な役割を果たしたのか?
第4章 ゾラの「私は告発する」はドレフュス事件をあますところなく語っているのか?
第5章 クレマンソーが「私は告発する」というタイトルを提案したのか?
第6章 フェリックス・フォールはエミール・ゾラの「私は告発する」を読んだのか?
第7章 ドレフュス派が請願書の形式を考え出したのか?
第8章 アルフレッド・ドレフュスは「ユダヤ組合」によって擁護されたのか?
第9章 エドゥアール・ドリュモンが反ユダヤ主義を発明したのか?
第10章 アルフレッド・ドレフュスは悪魔島で「保養」していたのか?
第11章 エステラジーは「ヴェールの女」に助けられたのか?
第12章 ドレフュス事件は新聞連載小説として体験されたのか?
第13章 ゾラとピカールはドレフュス事件の英雄だったのか?
第14章 ドレフュス派の社会参加は感情に基づいていたのか?
第15章 社会主義者たちはドレフュス派だったのか?
第16章 世論はアルフレッド・ドレフュスの立場を擁護したのか?
第17章 日刊紙は二つの陣営に分かれていたのか?
第18章 第四のドレフュス事件は存在したのか?
第19章 ドレフュス事件はカラス事件に似ているか?
第20章 ドレフュス派の人々は自分たちの闘いを語ることができたのか?
第21章 文学はドレフュス事件に関心を持ったか?
第22章 ドレフュス事件は映画にとって良い主題か?
第23章 ロマン・ポランスキーはどのようにドレフュス事件を表現したのか?
第24章 ドレフュス事件にはいまだに解かれていない謎があるか?
第25章 ゾラは自身の社会参加の犠牲者だったのか?
第26章 アルフレッド・ドレフュスの大義のために闘う必要があったのか?

謝辞
訳者あとがき
年譜
参考文献
索引


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