大学出版部協会

 

ベクトル解析入門

工科系数学セミナー
ベクトル解析入門

A5判 132ページ 並製
価格:1,760円 (消費税:160円)
ISBN978-4-501-61920-6(4-501-61920-1) C3341
奥付の初版発行年月:2002年05月 / 発売日:2002年05月下旬

内容紹介

工学に必要なベクトル解析をわかりやすく解説

 微分積分学と線形代数学の初歩をすでに学び,初めてベクトル解析を学ぶ工科系の学生を対象に,ベクトルの基本事項から,曲線と曲面,ベクトル場,線積分と面積分を解説.古典力学,流体力学,電磁気学等の理解のために必須であり,CGにかかわる上でも重要であるGreen公式,Gaussの発散定理,Stokesの定理などの理解を目指す.練習問題を豊富に掲載してありテキストとして最適.

前書きなど

 本書は,ベクトル解析の分かりやすい教科書であることを目標に書かれたものである.想定した読者は,微分積分学と線形代数学の初歩(ベクトル,行列)をすでに学び,初めてベクトル解析を学ぶ工科系の学生諸君である.そのようなわけで,タイトルは「ベクトル解析入門」とした.
 本書では,ベクトルの基本事項から始め,曲線と曲面,ベクトル場,線積分と面積分の順に解説した.最終目標は,「積分定理」と総称される Greenの公式,Gaussの発散定理,Stokesの定理等を理解することである.これらは,古典力学,流体力学,電磁気学等の理解のために必須の内容である.また,曲線や曲面の取り扱いに慣れることは,コンピュータグラフィックスなどの仕事をする上でも重要である.
 本書のスタイルは,定義,定理,証明…などの従来の数学書のスタイルに従ったが,数学的に厳密に述べることにはこだわらなかった.定理の証明も,簡単な説明や例による説明で済ませたところも多い.読者が工科系の学生諸君であることと入門書であるという理由から,定義や概念をひと通り概観して計算技術を会得することを第一と考えたからである.本書を読み進むにあたっては,各節末に配した練習問題をすべて自分で解いてみることが大切である.
 高等学校での「数学B」,「数学C」や,大学初年次の線形代数学を十分学習した学生諸君は,第1章のベクトルの基本事項の大半の部分を省略して先に読み進んでもよいであろう.しかしながら,最近,高等学校における履修内容や大学の入学試験方法の多様化のためか,計算はできるものの論証や幾何学が苦手な学生諸君が多いように見受けられる.したがって,ベクトルについてひと通り学習済みの読者も,少なくとも第1章は問題を解いて,自分の理解度を確認されることを勧める.
 本書の執筆を強く勧めてくださった鶴見和之教授には,原稿を注意深く読んでいただき多くの助言をいただきました.心から感謝申し上げます.また,お世話になりました松崎真理さんをはじめとする東京電機大学出版局の編集部の方々にお礼申し上げます.

2002年4月
國分雅敏


目次

第1章 ベクトルの基本事項
 1.1 ベクトルの基本事項
    1 ベクトルの定義,和,スカラー倍
    2 一次独立性
    3 右手系,基本ベクトル
 1.2 内積,外積
    1 内積
    2 外積
 1.3 基本ベクトルと直交座標系
 1.4 直線と平面
    1 直線
 1.5 円,球面
 1.6 ベクトル値関数
第2章 曲線と曲面
 2.1 曲線
    1 平面曲線の例
    2 空間鵜線の例
 2.2 平面曲線の曲率
 2.3 点の運動
 2.4 曲面
第3章 ベクトル場
 3.1 スカラー場,ベクトル場
 3.2 勾配ベクトル場
 3.3 発散,回転
第4章 線積分,面積分
 4.1 線積分
 4.2 平面のGreenの定理
 4.3 面積分
 4.4 Gaussの発散定理
 4.5 Stokesの定理
付録A
 A.1 楕円,双曲線,放物線
 A.2 開集合,領域
 A.3 偏微分作用素と変数変換
 A.4 重積分の計算法の復習
    1 二重積分
    2 三重積分
練習問題の略解
索引


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