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油圧制御システム

油圧制御システム

A5判 306ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-501-41490-0(4-501-41490-1) C3053
奥付の初版発行年月:1999年11月 / 発売日:1999年11月中旬

内容紹介

 油圧システムは,電動機や原動機の発生する機械的エネルギーを流体エネルギーの形態で所定の位置に伝達し,所要の形態の機械的動力として出力する,いわば動力の伝達制御装置である。本書は,油圧技術者の参考書,大学院学生の教科書として,油圧機器および油圧制御システムについて,理論と実際の橋渡しとなるよう基礎事項から応用までを解説。

前書きなど

 油圧システムは,電動機や原動機の発生する機械的エネルギーを流体エネルギーの形態で所定の位置に伝達し,所要の形態の機械的動力として出力する,いわば作動油を媒体とした動力の伝達制御装置である。伝達動力を制御しやすい流体エネルギーに変換しているため,マイクロコンピュータで流体制御弁を駆動し,高精度・高性能の制御システムが構成でき,装置の単位質量あたりの伝達動力が高く,大負荷を高速で,正確に駆動するのに適している。このため,航空機,船舶,自動車,工作機械,射出成形機,製鉄設備などに広く用いられている。
 本書では,機械系学部学生,大学院学生の教科書,または油圧技術者の参考書として,油圧機器,および油圧制御システムについて解説したものである。油圧システムの基礎,原理,解析手法は広い工学分野の理論に基づいているが,主として流体力学,制御工学の学問分野と関連が深い。油圧システムの理解に必要な流体力学,制御工学の基礎事項について正確な理解を促し,これらをいかにして実際の油圧システムに適用するかに重点をおき,理論と実際の橋渡しを心がけて基礎から応用まで記述したのが本書の特徴である。
 制御理論に関しては,多くの制御手法が開発され,油圧システムについても高度の制御理論の実用化に向けての研究が盛んである。しかし,本書はこのようなマイクロコンピュータによる制御理論の適用ではなく,高度な制御理論を適用する前提に必要な,油圧機器,油圧システムの静的および動的特性の解明,動力伝達の立場からのシステム要素諸元の決定,油圧サーボシステムの制御特性などについて,主としてハードウェア的立場から基礎事項に重点をおき記述したものである。
 また,執筆にあたって,全体を通して現今の油圧技術の趨勢がうかがいしれるように留意したが,筆者らの浅学のゆえに,はじめに意図したことがどの程度達成されたか,はなはだ心もとなく,思い違いや誤りの多いことをおそれている。読者諸兄の御叱正をお願いする次第である。
 おわりに,本書出版にあたり,東京電機大学出版局の植村八潮氏,石沢岳彦氏に大変お世話になった。ここに記して,深く感謝の意を表する。
 1999年11月

小波 倭文朗・西海 孝夫


目次

1 油圧システムの概要
 1.1 油圧システムの構成
 1.2 航空宇宙分野の油圧制御システム

2 油圧システムの流体力学的基礎
2.1 流体の物理的性質と油圧作動油
2.1.1 流体の物理的性質
  2.1.2 作動流体
  2.2 流れの解析に関する基礎理論
  2.2.1 流体の運動方程式
  2.2.2 連続の式
  2.2.3 運動量の理論
2.3 油圧システム要素内の流れ
  2.3.1 絞りを通る流れ
  2.3.2 油圧シリンダに流入出する損失
  2.3.3 管内の流れ
  2.3.4 管断面積の変化などによる圧力損失
  2.3.5 すきま内の定常流れ
 2.4 油撃
  2.4.1 剛体管路を仮定した場合の油撃
  2.4.2 管路の弾性を考慮した油撃
 2.5 キャビテーション
 演習問題

3 油圧システムの構成機器
3.1 油圧ポンプおよび油圧モータ
3.1.1 作動原理と構造
  3.1.2 油圧ポンプと油圧モータの効率
  3.1.3 油圧ポンプの特性
 3.2 油圧アクチュエータ
  3.2.1 油圧モータ
  3.2.2 揺動モータ
  3.2.3 油圧シリンダ
 3.3 油圧制御弁
  3.3.1 スプール弁とポペット弁の特性
  3.3.2 圧力制御弁
  3.3.3 流量制御弁
  3.3.4 方向制御弁
  3.3.5 複合弁と集合弁
  3.3.6 集積用弁
  3.3.7 電気油圧制御弁
 3.4 補機
  3.4.1 アキュムレータ
  3.4.2 冷却器
  3.4.3 油圧フィルタ
  3.4.4 油タンク
  3.4.5 管路および管継手
 演習問題

4 油圧制御システム
 4.1 電気油圧サーボシステムの構成
 4.2 制御工学の基礎
  4.2.1 ラプラス変換とラプラス逆変換
  4.2.2 線形システムの動特性
  4.2.3 定常偏差
  4.2.4 周波数応答
  4.2.5 制御システムの特性
  4.2.6 油圧機器の近似伝達関数の同定法
 4.3 油圧制御機器の動特性
  4.3.1 検出器およびサーボ増幅器
  4.3.2 サーボ弁
  4.3.3 油圧システムの動特性
  4.3.4 油圧システムの線形化近似伝達関数
  4.3.5 油圧システムの動特性計測
 4.4 油圧制御システムの設計
  4.4.1 駆動条件に適合する油圧サーボシステムの諸元
  4.4.2 油圧サーボシステムの制御特性
  4.4.3 制御系の特性補償
  4.4.4 油圧サーボシステムの設計例
 演習問題


付表
参考文献
演習問題の解答
索引

関連リンク

正誤表


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