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文系大学院をめぐるトリレンマ

高等教育シリーズ177
文系大学院をめぐるトリレンマ

吉田 文:編著
A5判 236ページ 並製
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-472-40593-8 C3037
奥付の初版発行年月:2020年08月 / 発売日:2020年08月中旬

内容紹介

なぜ、文系修士課程修了者は労働市場で評価されがたいのか。その問題は「大学院教員」「雇用者」「大学院生」の3者間に存在する齟齬にあると仮定し、アンケートやインタビュー調査からその構造を解き明かしていく。国内の動向だけではなく、米国や中国での近年の動向もあわせて紹介、多様な視点を提供する。


目次

序章 学歴社会論と日本の大学院
1.本書の目的と分析の枠組み
2.社会科学系大学院政策の変遷
3.社会科学系修士課程の規模と学生の進路
4.各章の概要

第Ⅰ部
第1章 大学院の需要・供給の現況 ―マイクロ・マクロデータを用いた進学・就職・収入に与える影響要因の分析
1.研究の背景
2.大学院の現状と先行研究の検討
3.大学院への進学:分析
4.大学院の効果:分析
5.総括と考察

第2章 日本の教職労働市場をめぐるガバナンス改革―国立大学法人における教職大学院一斉移行の事例分析
1.序論
2.教職をめぐる不確実性とシグナリング
3.方法とデータ
4.シグナリング・ミスマッチ
5.結論

第3章 社会科学系修士課程大学院生の能力獲得―教員のレンズを通して
1.社会科学系修士課程と「高度専門職業人」の養成
2.先行研究と分析に用いるデータの概要
3.教員から見た大学院教育・研究の現状
4.要約と今後の課題

第4章 組織内弁護士の活躍と法曹養成の未来
1.法科大学院の登場と衰退
2.組織内弁護士増加の背景
3.女性が働きやすい職種としての組織内弁護士
4.組織内弁護士に求められる知識や技能
5.法科大学院における組織内弁護士の養成
6.まとめ

第Ⅱ部
第5章 企業の文系大学院修了者の採用行動
1.改革が評価されないのはなぜか
2.グローバル化の波は人材需要をどう変えるか
3.面接経験量という制約とレジャーランド時代の負債
4.おわりに─追体験という情報の可能性

第6章 文系大学院修士課程修了者の採用の論理―その幻想と現実
1.問題の設定
2.採用
3.職務内容と職務配分の方法
4.育成と処遇
5.結論と考察

第Ⅲ部
第7章 アメリカにおける文系修士課程の機能拡大

1.大学院教育と労働市場の関係 160
2.アメリカにおける大学院修士課程の歴史的展開─拡大を続ける修士課程
3.アメリカにおける修士課程の分野別分類
4.修士課程の専門職化の動向
5.歴史学における動向
6.日本の大学院教育に対する示唆

第8章 中国の大学院進学熱
1.なぜ大学院に進学するのか─大学院進学の思わぬ効果
2.誰 が何のために大学院に進学するのか─大学院進学をめぐる種々の思惑
3.研究者養成と高度専門職業人養成のプロセス─難航する養成の差別化
4.まとめ─ 絡み合う思惑の行方

第9章 中国における修士修了者の労働市場での評価
はじめに
1.修士卒の学歴の制度的な効用
2.修士課程の進学希望者が求めるもの
3.労働市場の需要
4.まとめ

終章 本書の要約と残された課題
1.本書のねらい・再考
2.トリレンマの発生状況
3.アメリカ,中国から学ぶこと
4.今後の課題

索引

(執筆者)
吉田文 序章、第6章、終章
村澤昌崇 第1章
村山詩帆 第2章
二宮祐 第3章
田中正弘 第4章
濱中淳子 第5章
福留東土 第7章
李敏 第8章
黄梅英 第9章


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