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 環流する「肯定の思想」柳宗悦とウィリアム・ブレイク

柳宗悦とウィリアム・ブレイク 環流する「肯定の思想」

A5判 656ページ
価格:12,000円+税
ISBN978-4-13-086048-2 C3090
奥付の初版発行年月:2015年01月

内容紹介

日本民藝館の創設者柳宗悦は,一方で18世紀イギリスの画家・詩人であったウィリアム・ブレイクの研究に情熱を注いだ.それはいかに柳の民藝を支え,成長させたのか.ブレイクとインド哲学との接点を探りながら,やがて時空を超えて柳に受け継がれる思想の潮流を綿密に描きだす力作.


目次

序章 柳宗悦とウィリアム・ブレイク——本書における問題の設定
  一 「肯定の思想」とは何か
  二 ウィリアム・ブレイク小伝
  三 先行研究の概観と本書の構成

第I部 柳宗悦『ヰリアム・ブレーク』の成立
 第一章 明治・大正期のブレイク書誌学者たち——外国文学との付き合い方
  一 柳宗悦——「自己本位」型の英文学研究
  二 ジェフリー・ケインズ——ブレイク学者柳宗悦との交流
  三 寿岳文章と山宮允——日本で編纂されたブレイク書誌
 第二章 明治期の英文学史諸本におけるブレイクの位置——忘れられた詩人という神話
  一 日本語による英文学史——坪内逍遥,浅野和三郎,栗原基,藤澤周次
  二 ラフカディオ・ハーンのブレイク講義——「英国最初の神秘主義者」
  三 和辻哲郎「象徴主義の先駆者ヰリアム・ブレエク」——翻訳の寄木細工
  四 『ヰリアム・ブレーク』と英文学史諸本——無理解という原動力
 第三章 「只神の命のまゝにその筆を運んだ」——神聖視される個性
  一 『ヰリアム・ブレーク』における「テムペラメント」——個性の表現としての芸術
  二 「テムペラメント」という言葉の由来——ウィリアム・ジェイムズとブレイク研究
  三 遍在する「宇宙意識」——神秘主義思想と心理学
 第四章 「謀反は開放の道である」——革命の思想家
  一 「近世に於ける基督教神学の特色」——新神学と社会主義
  二 初期柳の美術評論——革命の画家,個性の画家
  三 『ヰリアム・ブレーク』における革命思想——大逆事件の影

第II部 英国のブレイク愛好家とジャポニスム
 第五章 1900年代のブレイク愛好家の系譜——ロンドンとリヴァプールのボヘミアン
  一 バーナード・リーチ——芸術家志望の迷える若者
  二 オーガスタス・ジョンとジョン・サンプソン——漂泊に憧れた異端児たち
 第六章 ロセッティ兄弟のブレイク熱とジャポニスム——「直観」の芸術という跳躍台
  一 ロセッティ兄弟のブレイク論——「直観」と預言者の情熱
  二 ロセッティ兄弟の日本美術論——「本能」の芸術としての浮世絵版画
  三 「直観」,あるいは「本能」とは何か——伝統に対抗する戦略

第III部 ブレイクによるキリスト教の相対化
 第七章 悪とは何か——『天国と地獄の結婚』とキリスト教
  一 神が悪魔か,悪魔が神か——変容する地獄の業火
  二 「地獄の格言」——旧約聖書「箴言」のパロディー
 第八章 神は人の心に宿る——非キリスト教文化圏へ広がる想像力
  一 『天路歴程』と地獄の巡礼——教えからの逸脱と自立への道
  二 反省する旧約聖書の預言者たち——神々が共存する世界
  三 リントラの怒りとインド——異教の神の義侠心

第IV部 ブレイクとインド哲学との出会い
 第九章 ブレイクのパトロン,ウィリアム・ヘイリー——インドへのまなざし
  一 エドワード・ギボン——ウィリアム・ヘイリーとウィリアム・ジョーンズの仲介者
  二 『一連のバラッドによせる挿画』第一作「象」——人命救助の物語
  三 トマス・アルフォンゾ・ヘイリーと象の浮彫細工——夭折せし息子のためのレクイエム
 第十章 トマス・アルフォンゾ・ヘイリーに捧げる追悼詩——ヘイリーとブレイクの共同作業
  一 『一連のバラッドによせる挿画』第四作「犬」——健康な青年という幻影
  二 『一連のバラッドによせる挿画』第二作「鷲」と第三作「ライオン」——トマス・アルフォンゾ・ヘイリーの思い出を偲んで
  三 ヘイリーに庇護された実り豊かな三年間——異文化に向けて開かれた窓
 第十一章 ゆるしの宗教と「利己心」——敵も隣人も愛するために
  一 革命家としてのイエス——教会からの自立
  二 分裂による堕落と独善性——「利己心」を滅却するということ
 第十二章 相互寛容を求めて——「イエスの宗教」の復興
  一 「状態」と「個人」を区別せよ——ゆるしのメカニズム
  二 ブレイクと新プラトン主義——時宜を得ぬ出会い
  三 ブレイクの「東洋的色調」——インド哲学からの影響

第V部 異文化理解とは何か
 第十三章 柳宗悦とローレンス・ビニョン——比較文化研究の実践者
  一 大英博物館東洋部長ローレンス・ビニョン——日本美術論とブレイク論の二重奏
  二 ハーヴァード大学の柳宗悦——「比較しつゝ話していく方法」
  三 東京帝国大学のローレンス・ビニョン——「詩と絵画を並べて扱うという方法」
 終章 「肯定の思想」という潮流に乗って
  一 ブレイク研究から民藝へ
  二 民藝に宿る宗教性
  三 「肯定の思想」による個性の相互保障

あとがき/注/明治・大正期におけるウィリアム・ブレイク関連文献参考年譜/図版一覧/引用文献/事項索引/人名索引


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