社会を変える健康のサイエンス 健康総合科学への21の扉
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-13-063406-9 C1047
奥付の初版発行年月:2016年07月
人間・環境・社会は相互につながり,影響しあう存在である.そのつながりを「健康」を通して科学するために,文系・理系の壁を越えた新しい学問が健康総合科学である.東大医学部健康総合科学科のスタッフが結集して,健康を支えるための実践知の意義と面白さを紹介する,待望のテキスト.
目次
まえがき 健康総合科学へのお誘い
第I部 ヒトと環境の科学
1章 地球にやさしいと健康にやさしいのか?——気候変動と健康
0 この章の概要
1 気候変動は身近な問題?
2 気候変動の健康影響についてどんなことがわかっているか
3 健康影響に関する研究と気候変動への取り組み
4 気候変動について健康科学は何ができるのだろう
2章 遺伝子研究でヒトの健康は変えられるか?——ゲノム解析と医療
0 この章の概要
1 病気とゲノム・遺伝子の関係
2 薬の効き目は遺伝子で変わる? 肝炎治療薬の事例
3 病気のかかりやすさに関わる遺伝子:過眠症(ナルコレプシー)とは?
4 遺伝的リスクを知ることが病気の予防につながる
3章 新型インフルエンザが近未来に出現したら?——危機管理と健康
0 この章の概要
1 新型インフルエンザが大流行したら!?
2 鳥インフルエンザから新型インフルエンザへ
3 2009年の日本における新型インフルエンザへの対応
4 近未来の新型インフルエンザに備えるには?
4章 感染症の脅威とどう闘うか?——くすりの開発とグローバルヘルス
0 この章の概要
1 感染症の脅威が世界中に広がっている
2 数十億の人々が感染症で苦しんでいる
3 感染症のくすりと大村博士のノーベル賞
4 熱帯医学からグローバルヘルスへ
5章 あふれかえる化学物質の安全性を明らかにするには?——環境汚染化学物質とヒトの健康
0 この章の概要
1 化学物質による環境汚染問題の歴史に学ぶ
2 今後懸念される化学物質問題
3 因果関係を証明することの重要性
6章 放射線による影響には個人差があるのか?——放射線感受性と生体適応のしくみ
0 この章の概要
1 紫外線が怖い:色素性乾皮症の患者さん
2 紫外線や放射線とがん:希少疾患の遺伝子情報からわかったこと
3 放射線の健康影響になぜ個人差が生まれるのか
4 環境刺激に応答する生体:健康維持のメカニズム
第II部 ひとが生きることを支える科学
7章 医療で女性は幸せになったか?——母となることを支える助産学
0 この章の概要
1 安全な出産と1人1人が望む出産のかたち
2 出産と医療の関係
3 安全と安心の両立を目指す実際の取り組み
4 統計情報と研究成果に基づく妊産婦ケアの改善に向けて
コラム1 「こころの健康」を自分で保つ
8章 児童虐待を予防するには?——医療と行政の連携
0 この章の概要
1 繰り返される児童虐待のニュース
2 児童虐待を予防するために着目するもの:産後うつ病
3 児童虐待予防に向けた実際の取り組み
4 産後うつ病に対して看護学ができること・できないこと
9章 人生の最期を自分らしく過ごしてもらうには?——逝き方を支える終末期の看護
0 この章の概要
1 最期を迎えようとするBさん
2 自宅で最期を過ごしたい日本人
3 自分らしい逝き方に向けた訪問看護の実際の取り組み
4 最期まで「その人らしさ」を尊重するために
10章 ケアを支えるモノづくりとは?——看護学と工学の融合
0 この章の概要
1 車いすに座っていても床ずれになる?
2 褥瘡が人々の健康に与える影響
3 日本人高齢者に特化した車いすクッションの開発
4 モノづくりを通してケアを支える「看護理工学」
コラム2 テクノロジーで「みまもり」を変える
11章 被災者を支えるまちづくりとは?——地域診断に基づくコミュニティ・ディヴェロップメント
0 この章の概要
1 災害後の地域住民の健康を守る保健師
2 東日本大震災後の仮設住宅
3 地域の健康調査・改善プログラム開発に向けた保健師の実際の取り組み
4 地域診断に基づくコミュニティ・ディヴェロップメントが健康なまちをつくる
12章 看護職を惹き付ける職場とは?——患者のために力を発揮できる職場づくり
0 この章の概要
1 看護職は足りないのか?
2 増えているのに足りない看護職
3 マグネットホスピタル研究と魅力的な職場づくり
4 患者と看護職双方の幸せのために看護管理学が担うこと
コラム3 「我慢させない技術」を創りだす
第III部 人と社会の健康をつなぐ科学
13章 くすりの効果をどのように評価するのか?——生物統計学による科学的品質管理
0 この章の概要
1 頭痛薬は本当に効いたのか?
2 くすりの効果を科学的に証明するにはどうすればよいか?
3 科学的根拠に基づいた医療を支える科学とは?
4 真実を明らかにするために生物統計学・疫学を勉強しよう!
14章 メタボはなぜ悪いのか? 解消できるか?——肥満の健康科学
0 この章の概要
1 お父さんはメタボ?
2 なぜメタボはこわいのか?
3 メタボの診断基準はどう決めた?
4 内臓脂肪病としての生活習慣病に取り組む
15章 健康のために自由を制限できるのか?——ウェルビーイングを考える倫理学
0 この章の概要
1 ニューヨーク市で甘いソーダが禁止になった!
2 肥満は個人の問題か? 社会の問題か?
3 健康をめぐる「事実」と「価値」:社会的合意を築くには?
4 健康政策と人々の価値観をつなぐ倫理学の役割
16章 ストレスとどうつきあうか?——メンタルヘルスの科学と実践
0 この章の概要
1 ストレスで会社をやめてしまう人
2 職場や地域でストレスはどれくらい問題か?
3 職場のうつ病を減らすための取り組みとは?
4 メンタルヘルスとストレスについてもっと学びたい人へ
17章 人のつながりは健康に影響するか?——社会と健康の関係を科学する社会疫学
0 この章の概要
1 高齢者を孤立死が襲う!
2 人と人のつながりは健康によい?
3 孤立死を防ぐために地域で取り組めることは?
4 健康なコミュニティを目指して
18章 長寿日本はこれからも続くのか?——健康の社会経済学
0 この章の概要
1 高齢社会日本の未来はどうなる?
2 長寿日本の光と影
3 長寿日本の未来を拓くにはなにが必要か?
4 社会システムの見直しで健康長寿日本を!
19章 イノベーションが健康をどのように変えるのか?——バイオデザインによる技術開発
0 この章の概要
1 情報デバイスで世界を変えたい!
2 モバイルヘルスはこうして生まれる
3 チームがイノベーションを加速させる
4 未来を拓くバイオデザイン
20章 人類は塩とどうつきあってきたのか?——食を科学する栄養疫学
0 この章の概要
1 お父さん,しょうゆは控えめに!?
2 塩と人類の長い歴史
3 塩を賢く食べるための科学
4 毎日食べる食べ物と健康を科学する!
終章 健康総合科学とヒト・ひと・人
参考文献/索引/執筆者一覧
Science and Health for Social Change : 21 paths toward Integrated Health Science