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 社会保障制度審議会と有識者委員の群像戦後日本社会保障の形成

戦後日本社会保障の形成 社会保障制度審議会と有識者委員の群像

A5判 340ページ
価格:7,040円 (消費税:640円)
ISBN978-4-13-056402-1 C3036
奥付の初版発行年月:2022年03月 / 発売日:2022年03月下旬

内容紹介

戦後日本の社会保障の形成において社会保障制度審議会(1949?2001年)が果たした機能と役割を分析し、その有識者委員――近藤文二、末高信、大河内一男、隅谷三喜男――の理念が勧告・建議を通じて社会保障の発展に及ぼした影響を論じる。日本の社会保障のあり方に示唆を与える社会政策史。

著者プロフィール

小野 太一(オノ タイチ)

政策研究大学院大学教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 戦後日本社会保障の理念と政策過程

第Ⅰ部 社会保障制度審議会の軌跡

第1章 社会保障制度審議会の創設
 第1節 設置の契機──ワンデル勧告(1948年)等の指摘
 第2節 制度審設置法閣議決定案の作成──日米の交錯した思惑
 第3節 法制上の主要論点
 (1)制度審の性質
   ①独立性の源泉──内閣総理大臣の所轄等
   ②能動性と受動性──自らの建議と「あらかじめ」の諮問
   ③役割の変遷の根源──所轄と権限の問題
 (2)審議対象の範囲
   ①法制定時の経緯──思惑が交錯したもう一つの論点 
   ②具体的な対象の内外──省庁との駆け引きと運用
 (3)定めのない設置期限
 (4)事務局の設置と幹事 
   ①事務局の設置──制度審の重要性の表れ
   ②幹事の扱い──後年の「実益」
 第4節 国会議員の参画──社会保障への理解と支持
 第5節 委員及び会長の選定──大内兵衛という牽引者

第2章 社会保障制度審議会が果たした役割の変遷
 第1節 制度審の審議スタイル──不文律の確立と継続
 第2節 制度審の果たしてきた機能と役割
 (1)所与の機能──設置法が付与した権限
   ①制度所管省庁から離れた立場からの提言等
   ②例年の諮問への答申
 (2)3期にわたり変遷した役割
 (3)データで見る変遷の様子
   ①勧告等の数
   ②起草委員のシェアの変遷
   ③国会での言及
   ④小委員会制の変遷
 (4)社会保障の成長・成熟と役割の変遷
   ①第1期 社会保障の「推進役に回った」時代(創設~国民皆保険・皆年金) 
   ②第2期 社会保障を「育成」する時代(総合調整~昭和の終期) 
   ③第3期 社会保障を「護る」時代(平成前期)
   ④社会保障の性質と役割の変遷
 (5)役割の変遷と政治構造の変質
   ①自民党内における部会・族議員の台頭、及び与野党の構図の固定化 
   ②日本医師会等の一時の「不在」
 (6)委員の属人性と役割の変遷──大内兵衛、近藤文二、今井一男

第3章 社会保障制度審議会の歴史の今日的意義
 第1節 制度設計の妙と政争の具からの隔離
 (1)制度設計に関わる点1──設置法と不文律の継続
 (2)制度設計に関わる点2──第2条第2項を設けた意義(定期的な答申の重み)
 (3)政争の具からの隔離 
 第2節 制度審の廃止とその後の社会保障政策の展開
 第3節 各論への貢献の分析

第II部 社会保障制度審議会委員における社会保障・社会政策の理念

第1章 日本における社会保障概念の確立──近藤文二による1950年勧告の起草
 序 1950年勧告に向けた理論的格闘
 第1節 社会保障概念を導いた論考の概観
 第2節 近藤の概念と1950年勧告
 (1)社会保障の範囲
   ①近藤の系譜的整理と社会保障の範囲
   ②1950年勧告と近藤の概念の関係
 (2)社会保険中心主義
   ①自主的責任の論理
   ②社会保険の社会事業化の防止
 第3節 時代状況の影響
 (1)公衆衛生(特に結核)と貧困の関連
 (2)社会主義との距離
 (3)GHQの意向
 第4節 近藤の論考の意義、及び今日的課題への示唆の追究

第2章 社会保険の本質及び接続領域
     ──末高信の社会保障概念と社会保険制度調査会(1946年設立)を中心とした活動
 序 末高の画期性と柔軟性
 第1節 末高の社会保障概念の分析
 (1)社会保険と社会保障の相違
 (2)幅広い社会政策概念
 (3)社会保険における保険事故の領域と限界
 (4)社会保険とその接続領域──社会保障の萌芽
 (5)ビバリッジ報告(1942年)と末高との近似性
 (6)末高の社会保険概念の変転
 第2節 終戦直後期の末高の活動
 (1)社会保障研究会、社会保険制度調査会と社会保障制度要綱のまとめ(1947年1 月まで) 178
 (2)社会保障制度要綱(1947年10月)への末高の評価
 (3)ワンデル勧告(1948年)への末高の共感
 (4)1950年勧告と末高──当初の批判,そして後の推進
 (5)米国へのシンパシー
 第3節 末高の論考と活動の評価

第3章 社会保障の基本理念としての生存権
     ──1950-60 年代における近藤文二、末高信、平田冨太郎の論争
 序 異なる生存権概念の捉え方
 第1節 第1期(1950年前後)における論争
 (1)生存権の具体化としての社会保障──末高の所論
 (2)基本的人権としての生存権──平田の所論
 (3)「生存権」を「生存権」として認めない資本制社会──近藤の批判
 第2節 第2期(1960年前後以降)における論争
 (1)国の努力義務としての生存権──近藤の提起
 (2)生存権を援用した社会保障──末高の所論
 (3)生存権を目的とする社会保障──平田の所論
 第3節 末高、平田の妥当性
 第4節 近藤の意図とその背景
 (1)純粋経済学的な視点の貫徹
 (2)社会保障充実のための負担の必要
 第5節 負担の合理性の意義,権利論の展開という課題

第4章 「労働力の保全・培養」から「新しい社会政策」へ
     ──1970-80 年代における大河内一男の転回と社会保障制度審議会
 序 「大河内理論」と社会保障制度審議会
 第1節 「大河内理論」の転回
 (1)基本的な考え方の提示
 (2)社会政策と社会保障の連続
 (3)ライフサイクル、非労働・消費生活、雇用関係以外の者 
 (4)「働く」を基本理念とした社会政策と社会保障、公的扶助、社会福祉の総合化
 (5)資本主義社会での人間観の一貫性
 第2節 大河内の転回の制度審への影響の検討
 第3節 「総合社会政策」の今日的有効性

補 論 1995年勧告と隅谷三喜男──大河内からの継承と発展、及び射程の限界
 序 理論的研究への注力
 第1節 会長就任前の隅谷と社会保障(理論への関心)
 (1)1960年代の隅谷と社会保障
 (2)社会保障の理論再訪(1980年の論考)
 第2節 「広く国民」の社会保障
 (1)「社会保障の新しい理論を求めて」(1989年及び1991年)
 (2)「広く国民」の社会保障
 (3)隅谷の理論の評価──生存権を超える水準の必要
 第3節 自立と社会連帯──大河内からの継承と発展
 (1)大河内からの継承と発展
 (2)理念や哲学の洞察──制度審の意義再訪
 第4節 新たな時代への展開と射程の限界
 (1)公的介護保険制度創設を提唱した意義
 (2)射程の限界──社会保障と雇用政策
 第5節 制度各論へのインパクト、隅谷の研究と信仰の関係という課題
 おわりに 制度審の指向性と委員の理念が共存する場

あとがき


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