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原子炉物理実験

原子炉物理実験

A5判 198ページ 並製
価格:3,630円 (消費税:330円)
ISBN978-4-87698-977-5 C3053
奥付の初版発行年月:2010年11月 / 発売日:2010年11月中旬

内容紹介

アジア地域の原子力教育拠点を目指して——世界でも稀有の研究炉として知られる京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)で35年にわたって行われた大学院実験コースを基に,原子力関連分野を専攻する学生や技術者の原子力教育および訓練の国際コースのテキストとして編纂.臨界近接や制御棒校正から炉物理基本パラメータの測定方法を網羅.

著者プロフィール

三澤 毅(ミサワ ツヨシ)

京都大学原子炉実験所教授.
京都大学工学部原子核工学科卒業(1984年),工学博士(京都大学,1989年).名古屋大学大学院工学研究科原子核工学専攻助手,京都大学原子炉実験所助教授,同准教授を経て現職.専攻:原子炉物理,原子力教育.

宇根崎 博信(ウネサキ ヒロノブ)

京都大学原子炉実験所教授.
大阪大学工学部原子力工学科卒業(1985年),エネルギー科学博士(京都大学,2001年).京都大学原子炉実験所助手,京都大学原子炉実験所助教授を経て現職.専攻:原子炉物理,原子力教育.

卞 哲浩(ピョン チョルホ)

京都大学原子炉実験所助教.
名古屋大学工学部原子核工学科卒業(1997年),エネルギー科学博士(京都大学,2000年).産業技術総合研究所特別研究員,京都大学原子炉実験所助手を経て現職.専攻:原子炉物理,原子力教育.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)
1.京都大学臨界集合体実験装置の一般説明
 1―1 京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の概要
 1―2 KUCA軽水減速架台(C架台)の概要
2.主要な構成要素
 2―1 燃料板,燃料フレーム
 2―2 制御・安全棒
 2―3 起動用中性子源
 2―4 検出器
 2―5 炉心タンク及び格子板
3.炉心の構成

第1章 臨界近接
1.実験の目的
2.核分裂の連鎖反応,中性子の増倍と臨界近接実験
 2―1 核分裂の連鎖反応:中性子増倍率と6因子公式
 2―2 未臨界の原子炉における中性子増倍
 2―3 逆増倍率と燃料装荷量との関係
 2―4 実際の臨界近接実験:逆計数率の測定
3.実験の方法
 3―1 実験の手順
 3―2 測定の手順
4.事前レポート
 4―1 事前レポート
 4―2 計算に用いる炉心モデル
 4―3 6因子公式に基づく臨界近接実験の数値シミュレーション
 4―4 反射体付き原子炉の2群拡散計算
5.実験レポート
 5―1 逆計数率曲線に関する考察
 5―2 事前レポートで求めた臨界枚数と実際の臨界枚数に関する考察
 5―3 無限厚さと見なせる軽水反射体厚さに関する考察
 参考文献
付録1A 原子炉物理の基礎知識
1.中性子と原子核との相互作用
 1―1 散乱反応と吸収反応
 1―2 核分裂反応
2.断面積
 2―1 ミクロ断面積
 2―2 マクロ断面積
 2―3 断面積のエネルギー変化
3.中性子束,反応率とバランス式(中性子拡散方程式)
 3―1 中性子密度,反応率と中性子束
 3―2 中性子密度のバランス方程式と中性子拡散方程式
付録1B バックリング及び中性子の漏れない確率の物理的意味
1.バックリングの物理的意味
2.6因子公式における中性子が漏れない確率の物理的意味
 2―1 熱中性子が漏れない確率
 2―2 高速中性子が漏れない確率
付録1C 2群拡散理論による臨界計算
1.バックリングを用いた拡散方程式の1次元化
2.炉心部の中性子束
3.反射体部の中性子束
4.臨界行列式
5.中性子束分布

第2章 制御棒校正
1.実験の意義と目的
2.実験の原理
 2―1 反応度と動特性方程式
 2―2 ペリオド法(Period method)
 2―3 制御棒落下法(Rod drop method)
 2―4 補償法(Compensation method)
3.実験の方法
 3―1 炉心構成
 3―2 ペリオド法
 3―3 制御棒落下法
4.実験レポート
 4―1 作業分担
 4―2 課題と検討項目
5.事前レポート
参考文献
付録2A 即発中性子平均寿命の比較
付録2B 遅発中性子の定数
付録2C ペリオド法の別の測定方法
付録2D 中性子源増倍法とインバース・カイネティクス法
付録2E 1次摂動論
付録2F 1次摂動論の応用(制御棒校正曲線)
付録2G 動特性方程式について

第3章 放射化箔法による反応率測定
1.実験の目的
2.測定の原理
 2―1 中性子放射化検出器の特徴
 2―2 放射化検出器による中性子束測定の原理
 2―3 放射化箔として金(Au)を用いた放射能測定の原理
 2―4 検出効率の決定
3.熱中性子束による放射化反応率の決定
 3―1 原子炉内における中性子スペクトル
 3―2 熱中性子による放射化反応率
4.実験の方法
 4―1 炉心配置
 4―2 金線および金箔の炉心への装着と照射
 4―3 金線および金箔の放射能測定
5.実験レポート
6.事前レポート
参考文献
付録3A 4πβ-γ同時計数法による反応率の絶対測定
1.4πβ-γ同時計数法の原理
2.4πβ-γ同時計数法による絶対測定法
付録3B HPGe検出器を用いた測定装置の概要と取り扱い上の注意事項

第4章 Feynman-α法による炉雑音測定
1.実験の目的
2.増倍体系における分散対平均比(Variance-to-Mean Ratio)
 2―1 減衰定数α
 2―2 反応度で表したYの表式
 2―3 Yのおよその大きさ
 2―4 Yの漸近的挙動
 2―5 遅発中性子での臨界時のY
 2―6 出力とYの関係
3.実験の方法
 3―1 実験装置
 3―2 測定の方法(1)
 3―3 測定の方法(2)
4.実験レポート
 4―1 実験レポート
 4―2 検討事項
参考文献
付録4A Feynman-α法の公式の導出法
1.定常状態
2.遅発中性子を考慮したとき
3.当初相関補正,空間依存性,核分裂計数管

第5章 パルス中性子法による反応度測定
1.実験の目的
2.実験の原理
3.実験装置
4.実験の方法
5.データ処理
6.考察
7.実験レポート
参考文献


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