大学出版部協会

 

 インドネシアの泥炭湿地から熱帯バイオマス社会の再生

講座 生存基盤論4
熱帯バイオマス社会の再生 インドネシアの泥炭湿地から

A5判 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-205-9 C3340
奥付の初版発行年月:2012年12月 / 発売日:2012年12月下旬

内容紹介

グローバルな自然環境・政治・経済の変動は,人間圏に偏重した従来の発展パラダイムの見直しと,湾岸産油国に資源利用から経済情勢まで強く依存する現状の社会システムの構造を超え,経済の脱化石資源化が唱えられている.スマトラ州リアウの泥炭湿地での実地調査から,熱帯バイオマス社会の再構築をはかり,新しい発展を模索する.

著者プロフィール

川井 秀一(カワイ シュウイチ)

京都大学生存圏研究所教授.専攻:森林科学.
京都大学木質科学研究所助手,助教授,教授を経て現職.農学博士.2004年「日本の森を育てる木づかい円卓会議」議長(日本木材学会主催).著書に『図解 木材・木質材料用語集』(東洋書店), “Life Cycle Assessment of Preservative-treated Wood: A Case Study of Wooden Bridge”, Doboku-Gakkai Ronbunshu, No.755/VII―30,45―56(共著,2004). “Manufacture of Oriented Board Using the Mild Steam Treated Some Plant Fiber Bundles”, Journal of Wood Science, 54(共著,2008).

水野 広祐(ミズノ コウスケ)

京都大学東南アジア研究所教授.専攻:インドネシア地域研究,農業経済学,労働経済学.
京都大学経済学部卒,京都大学博士(農学).アジア経済研究所研究員,東南アジア研究所助教授・教授・所長を経て現職.主要著作に『インドネシアの地場産業―アジア経済再生の道とは何か?』(地域研究叢書No. 7,京都大学学術出版会,2005年,)Populism in Asia(共編,Kyoto CSEAS Series on Asian Studies 2, NUS Press Singapore in association with Kyoto University Press, 2009),Direktori Serikat Pekerja/Serikat Buruh Indonesia.(Directory of Trade Unions in Indonesia),(共編Akatiga Pusat Analisis Sosial, Bandung, 2007).

藤田 素子(フジタ モトコ)

京都大学東南アジア研究所研究員.専攻:鳥類生態学,景観生態学,物質循環.
横浜国立大学大学院環境情報学府博士課程修了.博士(環境学).京都大学生存圏研究所ミッション専攻研究員,京都大学東南アジア研究所特定研究員(グローバルCOE)を経て現職.主要著作に,“Landscape Effects on Ecosystems: Birds as Active Vectors of Nutrient Transport to Fragmented Urban Forests versus Forest Dominated Landscapes”,Ecosystems,(共著,Vol.12,2009),『カラスの自然史』(共著,北海道大学出版会,2010年),『生態系の暮らし方―アジア視点の環境リスク―マネジメント』(共著,東海大学出版会,2012年).

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口絵
本講座の刊行によせて
地図

序章 熱帯バイオマス社会を見る視点 [水野広祐・藤田素子・渡辺一生・川井秀一]
 1 「熱帯バイオマス社会」の展開―人と自然の相互関係の歴史的変遷―
 2 バイオマス社会の総合的把握
 3 住民林業の提唱
 4 本書の構成

第1編 熱帯バイオマス社会論の射程

第1章 東南アジアの土地政策と森林政策 [水野広祐・R. クスマニンチャス]
 1 東南アジアの土地政策と林業政策
 結論
第2章 東南アジア熱帯多雨林の生物多様性 [藤田素子・鮫島弘光]
 はじめに―人と生態系との関わりの歴史と未来
 1 インドネシア熱帯多雨林の生物の多様性
 2 熱帯多雨林の生物多様性の減少
 3 熱帯多雨林の生物多様性を維持する仕組み
 まとめ―生物多様性保全の経済的持続性にむけて
第3章 東南アジアにおける熱帯造林地のバイオマス評価 [川井秀一・渡辺一生]
 1 はじめに
 2 東南アジアの森林の現況
 3 木材利用の変遷―天然木から造林木の利用へ
 4 森林および樹木のバイオマス蓄積
 5 二酸化炭素吸収源としての森林の役割
 6 森林のバイオマスの推定評価と検証―ケーススタディ
 7 森林バイオマスのストックとフロー
 8 バイオマスの持続性評価

第2編 生存圏としての泥炭湿地 ―歴史・生態―

第4章 熱帯泥炭湿地の概観 [嶋村鉄也]
 1 泥炭湿地林の景観
 2 泥炭湿地林の形成と発達
 3 泥炭湿地林の植生
 4 泥炭湿地に含まれる泥炭
 5 泥炭湿地林の開発史 ―農地開発とその問題(メガライスプロジェクト)
 6 おわりに―熱帯泥炭湿地林研究の深化にむけて
第5章 泥炭地域の社会経済史 交易から土地開発,そして保全へ [増田和也・水野広祐・杉原 薫]
 1 はじめに―人々は泥炭地をどのように価値づけてきたのか
 2 泥炭地域という空間単位
 3 交易を通じた海域ネットワーク社会の形成と展開:1870年まで
 4 丘陵部におけるバイオマス生産の拡大と泥炭地域の再編:1870年―1960年代
 5 大規模開発の時代:1960年代半ば~1998年以降
 6 開発と保全のせめぎあい:1998年以降
 7 泥炭地の価値とその変化
第6章 泥炭地域の住民社会 ―人口構成と土地利用― [増田和也・R. クスマニンチャス・水野広祐]
 1 はじめに
 2 泥炭地域における在地社会の変動 ―小人口社会から多民族社会へ
 3 地域住民の泥炭地との関わり
 4 古くからの住民と移民における土地利用のちがい
第7章 熱帯泥炭湿地林の生態系とREDD+ [小林繁男]
 1 熱帯泥炭湿地林生態系
 2 熱帯泥炭地の諸特性
 3 土地利用の転換と泥炭の分解
 4 泥炭湿地林生態系におけるREDD+とセーフガード

第3編 リアウにおけるケーススタディ

第8章 インドネシア・リアウ州における調査地域の概要
   [鈴木 遥・鮫島弘光・藤田素子・渡辺一生・増田和也・水野広祐]
 はじめに
 1 対象地域の地理と社会
 2 ギアム・シアク・クチル-ブキット・バトゥ生物圏保全区(GSK-BB BR)
 3 おわりに
第9章 泥炭湿地林の減少とアブラヤシおよびアカシア林の展開過程 [渡辺一生・増田和也・川井秀一]
 1 はじめに ―人間活動の拡大にともなう泥炭湿地林の土地利用変化
 2 現状土地利用の把握
 3 現状土地利用の形成過程
 4 まとめ ―同地域に成立した新たなバイオマス社会の持続可能性
第10章 泥炭湿地における降水現象と地下水位変動 [甲山 治]
 1 はじめに―泥炭湿地開発と地下水位変動
 2 スマトラ島リアウ州における降水条件
 3 泥炭湿地における地下水位の変動
 4 まとめ―泥炭湿地における水文システムの理解に向けて
第11章 複合バイオマス生産と地域経済社会 [水野広祐・増田和也]
 1 調査対象および調査方法
 2 調査村の人々
 3 調査世帯の土地所有
 4 泥炭地におけるバイオマス生産
 5 放棄泥炭地
 6 農外就業機会
 7 階層別所得
 8 住民林業
 9 結論
第12章 土地利用の変化と生物多様性 [鮫島弘光・藤田素子・A. ムハマド]
 1 はじめに ―スマトラ泥炭湿地林の転換は生物多様性にどう影響するか
 2 調査方法
 3 結果―撮影頻度と観察頻度から見えるもの
 4 泥炭湿地林の転換は生物にどう影響するのか
 5 生物多様性保全にむけた泥炭湿地林のあり方
第13章 企業と小農のバイオマス生産 [渡辺一生・川井秀一・水野広祐・増田和也]
 1 はじめに
 2 企業と小農のバイオマス生産の現場
 3 企業と小農のバイオマス資源生産量の評価
 4 企業と小農のバイオマス蓄積量の評価
 5 まとめ ―地域固有のバイオマス生産体系を活かした泥炭湿地の保全
第14章 荒廃した泥炭湿地林生態系の修復 [H. グナワン・小林繁男]
 1 荒廃した森林の修復とは?
 2 荒廃泥炭湿地林の修復方法
 3 修復された森林の構造
 4 修復された森林の地球環境や地域住民への意義
終章 熱帯バイオマス社会の再生に向けて
   [藤田素子・水野広祐・川井秀一・渡辺一生・鮫島弘光
    増田和也・鈴木 遥・杉原 薫・小林繁男・甲山 治・嶋村鉄也]
 1 泥炭地開発による環境劣化
 2 利潤・生存・保全動機の共存の可能性
 3 諸動機の立体的構造からみえるバイオマス生産の現状
 4 三つの動機の最大化を目指して―住民林業の提案
 5 住民林業の実現に向けて
 6 学際的地域研究の意義

本書でもちいられている統一用語の解説
謝辞
執筆者紹介
索引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。