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制度と倫理日米の医療

日米の医療 制度と倫理

A5判 274ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-87259-261-0 C3036
奥付の初版発行年月:2008年11月 / 発売日:2008年11月中旬

内容紹介

医療保険制度、医学と治療、遺伝子研究なども含めた広義の意味での医療において、日米両国間には共通点と相違点が交錯している。
本書では、その日米両国の医療分野における歴史的展開と現状を、「制度」と「倫理」という二つの切り口から分析する。


目次

第Ⅰ部医療と制度
第1章 医療制度の現状 (高山一夫)
1 医療保障面からみた米国の医療制度
2 米国の医療提供システムと医療費
3 米国医療から何を学ぶか

第2章 アメリカの民間医療保険制度の起源 (山岸敬和)
−国家、医師会、第二次世界大戦
1 1930年代までのアメリカ医師会と医療保険
2 第二次世界大戦と医療保険
3 公的保険への代替としての民間保険

第3章 1950年「社会保障制度に関する勧告」の再検討 (杉田米行)
1 社会保障制度の勧告に対する従来の評価とその問題点
2 社会保障制度審議会設立までの経緯−公的扶助が戦後社会保障の始まり
3 社会保障制度審議会の議論
4 社会保障制度審議会の影響とその原因

第4章 福祉国家に関する意識の日米比較 (菊澤佐江子)
1 福祉国家論における日本と米国の位置づけ
2 福祉国家と医療をめぐる意識
3 データと方法
4 結果
5 考察

第5章 政府・企業・個人 (天野拓)− 現代アメリカにおける医療保険制度をめぐる対立の構図
1 現代アメリカの医療保険制度と政党政治−政府・企業・個人
2 クリントン政権の国民皆保険制度改革の失敗(199年代前半)
3 漸進的な改革へ(1990年後半)
4 ブッシュ政権期の改革(2001年以降)

第Ⅱ部 医療と倫理
第6章 医師の視点からみた研究倫理 (田代志門) −金沢大学附属病院無断臨床試験訴訟を事例として
1 争点としての「研究と治療の区別」
2 訴訟の概要と意義
3 医師側の主張と論理構成とその批判的考察

第7章 遺伝子医療時代における倫理規範と法政策 (瀬戸山晃一)−生命倫理学と法学の知的連携にむけて
1 遺伝子医療の進展が提起する主要論点
2 生命倫理学者と法学者の対話 −諸論文のレビュー−
3 生命倫理学と法律学の使命と知的連携

第8章 出世前診断の倫理問題 (徳永純)−遺伝子、胎児の資産分析の試み
1 市場の失敗
2 胎児の出生前診断を受ける親の損失
3 資産としての遺伝子、胎児とその価値変動
4  利害関係者の広がり
5 市場の失敗の要因

第9章 「脱医療化」する予測的な遺伝子学検査への日米の対応
−遺伝子病から栄養遺伝子的検査まで (武藤香織)
1 遺伝子学的検査とはなにか
2 ヒトゲノム計画の開始と遺伝子学的検査への規制
3 遺伝子差別の禁止に向けて
4 消費者に直接販売される遺伝子学的検査ビジネス
5 DTC検査への規制

第10章 HIV自宅検査をめぐる倫理学的一考察 (宮城昌子)
1 HIV自宅検査の事実的背景
2 HIV自宅検査の是非をむぐるこれまでの議論
3 HIV感染動向
4 問いの相対化−他の自宅検査との比較
5 検査機会の増大
6 監査の義務化

第11章 社会的構成概念としての脳死 (会田薫子)
ー合理的な臓器移植大国アメリカにおける脳死の今日的理解
1 二つの報告
2 二つの報告への反応と今日の脳死理解
3 納幹死の概念の今日
4 脳死の概念はやがて消える?



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