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電気通信工学・技師・ナショナリズム「後進国」日本の研究開発

「後進国」日本の研究開発 電気通信工学・技師・ナショナリズム

A5判 386ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1168-6 C3021
奥付の初版発行年月:2024年08月 / 発売日:2024年08月下旬

内容紹介

「後進国」は、発明された技術の利用者にとどまるのか。鳥潟右一や八木秀次、松前重義など、移植や模倣を脱した戦前の技術者たちの系譜を、彼らを突き動かした要因や跳躍を可能にした条件ともども明らかにする。挫折した構想も見据え、技術史的達成と限界を冷静に分析した気鋭の力作。

著者プロフィール

河西 棟馬(カワニシ トウマ)

1990年 長野県に生まれる
2013年 京都大学文学部卒業
2020年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学
2022年 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院講師(現在に至る)
2023年 京都大学博士(文学)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 移植から「創造」へ
      —— 戦前日本における電気通信工学
     はじめに
     1 電気通信をめぐるヒストリオグラフィ
     2 後進国における研究開発という視角
     3 分析対象と使用資料
     4 本書の構成

第1章 2種類の「負債」
      —— 研究振興と国産振興言説の来歴
     はじめに
     1 日露戦争の戦後
     2 第一次大戦のインパクト
     おわりに —— 学習から競争へ

第2章 研究をする技術者の濫觴
      —— 創成期の逓信省電気試験所
     はじめに
     1 棚上げとされた「研究」—— ウィリアム・エアトンと教え子たち
     2 碍子試験から試験研究へ —— 電気試験所設立以前、1876-1891
     3 創成期の電気試験所 —— 浅野応輔と日露戦争、1891-1905
     おわりに —— 研究機関への傾斜

第3章 先端的研究への参入
      —— 鳥潟右一と無線通信、1906-1923
     はじめに
     1 無線電話研究の開始、1906-1909
     2 TYK 式放電間隙と無線電話の実用化、1910-1916
     3 真空管技術の衝撃と巻き返し、1916-1919
     4 電気試験所所長時代、1920-1923
     おわりに

第4章 基礎研究の場としての帝国大学工学部
      —— 八木秀次の研究論
     はじめに
     1 八木秀次の初期キャリア
     2 研究者から研究指導者へ —— 八木の教授留学、1913年2月-1916年6月
     3 研究指導者八木の「工学研究」論、1916-1924
     4 周囲との軋轢
     おわりに

第5章 電気を利用する通信法の研究
      —— 1920年代の東北帝国大学電気工学科
     はじめに
     1 「電気通信」というカテゴリ
     2 斎藤報恩会という僥倖
     3 「電気を利用する通信法の研究」の概観
     4 超短波通信システムの研究
     5 逆輸入現象の考察 —— 東北帝大の成果はなぜ自国では活かされなかったか
     おわりに —— 八木転出後の東北帝大電気工学科

第6章 ナショナリズムによる産官学統合
      —— 東亜通信網構想の展開
     はじめに
     1 ナショナリズムと技術
     2 導入から開発へ —— 1920年代の産業界・官界
     3 朝鮮海峡における実験 —— 自主技術の実装
     4 「提案」とその受容
     5 研究開発体制と技術システムの相互形成
     6 研究開発体制の制度化と東亜通信網
     おわりに

終 章 帝国日本の技術ナショナリズム

 付 録
 あとがき
 索 引


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