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日本中世における野生の価値狩猟と権力

狩猟と権力 日本中世における野生の価値

A5判 484ページ 上製
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-8158-1106-8 C3021
奥付の初版発行年月:2022年12月 / 発売日:2022年12月上旬

内容紹介

日本の歴史において、狩猟はつねに権力と結びついていた。なぜ「野生のキャプチャー」がそれほど大きな政治性を帯びたのか。古代から近世まで、天皇・公家や武士たちが実践した鷹狩・巻狩などを通観し、殺生禁断や、暴力と儀礼をつなぐ広範な狩猟文化を探究する中から、列島の人間と動物の関係を問い直す。


目次

序 章
1 日本中世における狩猟をめぐって
2 隣接諸分野における狩猟の研究
3 本書の方法と視座について
4 本書の構成

第I部 狩猟と王権

第一章 王朝における古典的狩猟文化の形成
はじめに
1 古代の王権と狩猟
2 平安王朝の変化と鷹狩の卓越化
3 野行幸から鷹飼渡へ
4 摂関・天皇・院
おわりに

第二章 武家首長の狩猟と殺生禁断
はじめに
1 源頼朝の狩猟と殺生禁断
2 幕府政治の展開と狩猟
3 殺生と新制
4 室町の王権と狩猟
おわりに

第三章 新たな天下と狩猟
はじめに
1 室町殿と信長の狩猟
2 豊臣政権と狩猟
3 徳川の王権と狩猟
おわりに

第II部 鷹狩文化の政治性――鷹道・鷹書・鷹の家

第四章 王朝文化としての鷹狩とその禁止
はじめに
1 殺生禁断と鷹狩の禁止
2 鷹狩をめぐる葛藤
3 野鳥の飼養とその禁止
おわりに

第五章 鷹狩と鵜飼の比較史
はじめに
1 共通点
2 相違点
おわりに――近代化のなかで

第六章 鷹書の世界――戦国期の書目から
1 鷹書の研究史
2 鷹書のなかの鷹書

第七章 『鷹狩記』と公家の「鷹の家」――鎌倉時代の鷹書とその流布
はじめに
1 基盛の家系と『基盛朝臣鷹狩記』
2 『基盛朝臣鷹狩記』の諸本
3 『《原》鷹狩記』は誰の著作か
おわりに

第八章 持明院基春考――室町・戦国期の鷹道とその家業化
はじめに
1 基春の生涯
2 基春と書物
3 持明院家文書の誓詞群
4 『尊卑分脈』の注記
おわりに――選択された家業

第九章 神を称する武士たち――京都諏訪氏と鷹道
はじめに
1 諏訪の神氏をめぐって
2 「神氏系図」と鷹道
おわりに

第III部 獣猟と中世社会――武力・生業・儀礼

第十章 出土鉄鏃と武士の職能
はじめに
1 出土した鉄鏃
2 矢の分類と出土鉄鏃の評価
3 武士の狩猟とその目的
4 荒野と猪鹿
5 「堀内」と中世のシシ垣
おわりに

第十一章 武家の狩猟と矢開の変化
はじめに
1 『吾妻鏡』の矢口祭
2 矢開の獲物
3 変化の時期
おわりに
【史料翻刻】鹿之矢開之事

第十二章 『狩詞記』の史的位置
はじめに――『後狩詞記』と『狩詞記』
1 『狩詞記』の成立
2 『狩詞記』を読む
3 狩猟文化の階層差
おわりに――獲物としての鹿

第十三章 村の狩猟とその継承
はじめに
1 狩猟と合戦
2 民俗のなかの村の狩猟
3 村の武器と身体――継承の契機
4 村の相撲――訓育される侍の身体
5 村の弓矢行事
おわりに

第十四章 狩猟神事の盛衰――焼き狩りと落とし穴
はじめに
1 狩猟神事とその遺跡
2 焼き狩りと神事
3 狩猟神事の衰退と落とし穴

第十五章 狩庭を立てること
はじめに
1 庭を立てる
2 市庭・立庭
3 網庭
4 狩庭
おわりに


あとがき
初出一覧
図表一覧
索引


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