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 近代中国華南の民衆と国家闘う村落

闘う村落 近代中国華南の民衆と国家

A5判 504ページ 上製
定価:7,200円+税
ISBN978-4-8158-0998-0 C3022
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年09月上旬

内容紹介

互いに武力闘争を繰り返す城塞化した村落――。それは王朝交替や辛亥革命などを経ても変わらぬ、明末以来の基層社会の姿であり、共産主義へと向かう農民運動の凄惨な暴力に極まる。宣教師文書を駆使しつつ、初めてその生成・展開・終焉を跡づけ、新たな中国史像を提示した渾身の力作。

前書きなど

闘う村落
本書は、中国広東省の東端部に位置する潮州・汕頭から海豊・陸豊両県に至る沿海地域を主な対象として、明の中期(一六世紀前後)から一九二〇年代末、すなわち農民運動が終了するまでの歴史を、社会の基層部分に注目しつつ一定の観点から再構成しようとするものである。

少なくとも清代から民国期にかけて、中国南部の広東や福建の農村部はきわめて特徴的な様相を呈していた。宗族(そうぞく)と呼ばれる同族集団を核として、家々がびっしりと密集する形態の村落を形作り、その周りにはしばしば土塀がめぐらされ、武器を備え、城塞化していたのである。さらに、近隣の村落と激しい武力抗争を繰り返すのみならず、地方官にも抵抗する。華南農村のこうした姿は歴史的に形成されてきたものと考えられる。明代の、とりわけ中期から村落の凝集化、武装化が進行し、清代に至って村落間の抗争が本格化した。

これに加え、このような村々が強大村と弱小村、強大宗族と弱小宗族に分化し、人々は自分がどちらの側に属するのかを日常的に意識せざるを得ず、その対抗的緊張関係のなかで暮らすことになった。こうして、村落の武装化……

[本書「序章」冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

蒲 豊彦(カバ トヨヒコ)

1957年、岐阜県に生まれる。1981年、富山大学文理学部史学科卒業。1986年、京都大学大学院文学研究科中国語・中国文学博士後期課程単位取得満期退学。現在、京都橘大学国際英語学部教授。著訳書、『三竈島事件――日中戦争下の虐殺と沖縄移民』(共著、現代書館、2018年)、『南海の軍閥 甘志遠――日中戦争下の香港・マカオ』(編訳、凱風社、2000年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例
巻頭地図
序章
一 「闘う村落」の時代
二 史料と先行研究
三 本書の構成

第I部 華南農村社会の基本構造
第1章 村落と械闘
はじめに
一 明から清初へ
二 械闘と村落連合
三 紅黒旗の成立
四 抗捕抗糧
小結

第2章 西洋の到来
はじめに
一 キリスト教の伝来
二 布教ステーションの展開
三 汕頭開港から治安回復へ
四 教会と械闘
小結

第II部 変革期
第3章 日清戦争と教会
――高まる不安
はじめに
一 一八九〇年代
二 教会に押し寄せる人々
三 中国全土に広がる教会熱
四 社会的、政治的救い
小結

第4章 義和団事件から辛亥革命へ
――活性化する結社
はじめに
一 大峰会
二 黄岡の義和団事件
三 結社の成長
四 広東東部の辛亥革命
小結

第5章 青年と改革の時代
はじめに
一 秘密結社の消滅
二 青年の登場とYMCA
三 一九一〇年代
四 農民運動
小結

第III部 武装闘争のゆくえ
第6章 国共合作から東征へ
はじめに
一 農村の武装化
二 民間武装統制問題
三 東征と武力
四 越権行為
小結

第7章 海陸豊ソヴィエト政権
はじめに
一 農民運動と宗族
二 抵抗する強大宗族
三 人頭大会
四 群衆化路線の陥穽
小結

終章

あとがき

参考文献
図版一覧
索引
中文要旨


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