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 生まれることの医学と倫理そして哲学第二の生殖革命へ

第二の生殖革命へ 生まれることの医学と倫理そして哲学

A5判 456ページ
定価:8,800円+税
ISBN978-4-8140-0123-1 C3047
奥付の初版発行年月:2020年10月 / 発売日:2020年10月下旬
発行:京都大学学術出版会  
発売:京都大学学術出版会
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内容紹介

第一の生殖革命と言われる体外受精で,すべての不妊を解決したわけではない.ヒト生殖細胞の造成さえも技術的な可能性が見えてきた時代,生命の誕生をどう理解し,規制の基準は何に依拠すべきか.最新の科学知見と,古代の生命観まで遡る哲学史も踏まえた考察により,技術と倫理の止揚を求める.生殖発生医学の未来を見通す一冊.

著者プロフィール

森 崇英(モリ タカヒデ)

京都大学名誉教授
NPO法人・生殖再生医学アカデミア・理事長
医療法人愛寿会・同仁病院・理事長/病院長

1933年,徳島県に生まれる.1960年,京都大学医学部卒業.米国留学・生殖内分泌学と生殖免疫学の研究に従事し,1981年に徳島大学医学部産科婦人科学教授に就任,翌1982年,我が国最初の医学倫理委員会の設立に参画.1983年から京都大学医学部婦人科学産科学教授.1993年には,第8回世界体外受精会議会長を務める.
1997年より,醍醐渡辺クリニック・不妊センター長,日本生殖再生医学会・理事長,国際体外受精学会(ISIVF)・初代会長などを歴任,現在に至る.
この間の研究に対し,1970年に近畿産科婦人科学会・学術奨励賞,日本医師会・医学研究助成賞を,1997年には国際不妊学会創立30周年記念功労賞を,2005年にはアメリカ生殖免疫学会Blackwell/Munksgaard賞を受賞.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 生殖補助医療
1 生殖補助医療体系の樹立
2 日本産科婦人科学会によるART臨床実施体制の整備
3 本邦における生殖医学関連学会の展開
4 体外受精関連の国際学会
5 本邦ARTの特徴
6 卵丘細胞・卵子複合体
7 卵丘細胞・卵子複合体の排出機序
8 卵成熟と解糖系
9 卵母細胞の成熟―核成熟と細胞質成熟
10 加齢卵子の現状と対策
11 加齢に伴う卵子の数減少加速と質劣化
12 加齢卵子におけるミトコンドリア機能の低下
13 卵子の染色体異常―染色体不分離
14 胚の形態評価とタイムラプス評価
15 着床前胚診断
   ―遺伝子診断(PGD)と遺伝子スクリーニング(PGS)
16 オンコファティリティー―卵巣組織の凍結保存
17 核置換(Nuclear Replacement)
18 ミトコンドリア・オーグメント療法
19 小副卵胞の自然周期採卵法
20 まとめ

第2章 生殖細胞の内分泌
1 卵胞発育におけるアンドロゲンとエストロゲンの2次元制御
2 卵胞成熟のエストロゲン制御
   ―FSH/A系+LH/E系によるダブルトラックE産生
3 卵胞閉鎖のホルモン制御
   ―ゴナドトロピン・アンドロゲン制御
4 インヒビンとアクチビン
5 卵子由来GDF9
6 卵子由来BMP-15
7 卵胞活生化法
8 ヒト卵子幹細胞からヒト卵子の再生
9 脱落膜化細胞
10 多嚢胞卵巣症候群
11 まとめ

第3章 生殖細胞の免疫
1 免疫反応の性差
2 黄体機能の特性
3 月経黄体
4 妊娠黄体
5 抗透明帯抗体
6 精子不動化抗体
7 妊娠成立の免疫機構
8 制御性T細胞(Treg)
9 免疫原性妊娠合併症
10 まとめ

第4章 生殖細胞と体細胞の再生
1 分子生物学から生命科学の展開
2 生殖質説
3 リプログラミング(初期化)現象の発見
4 リプログラミング(初期化)の理論と方法
5 能動的リプログラミングと受動的リプログラミング
6 クローン技術の展開―生殖様式と遺伝型式の相関
7 胚性幹細胞の樹立
8 体細胞核移植―胚性幹細胞
9 ES細胞から生殖幹細胞の分化誘導
10 ヒトES細胞の課題と克服
11 ヒト体細胞核移植クローン胚誘導の困難性
12 ヒト体細胞核移植の改良法
13 生殖クローニングと治療クローニング
14 ミトコンドリア病の予防的治療―紡錘体置換法
15 ミトコンドリア病の発症後治療―体細胞遺伝子治療
16 体細胞核移植法の不妊治療への応用可能性
17 人工多能性幹細胞
18 iPS細胞における4因子の機能
19 幹細胞システム―幹細胞とニッチ
20 卵子幹細胞
21 精子幹細胞(前精原細胞)から機能精子のin vitro誘導
22 まとめ

第5章 生殖細胞のエピジェネティクス入門
1 エピジェネティクスとは
2 エピジェネティクス現象の存在証明
3 エピジェネティクスの機能系
4 DNAメチル化と脱メチル化
  ―ゲノム・インプリンティング・サイクル
5 小分子RNA
6 転写因子とエピゲノム
7 生殖系列のゲノム決定機構と発生様式
8 生殖細胞のゲノム特性
9 生殖細胞のエピゲノム特性
10 真胎生発生における遺伝子刷り込み
11 性分化調節機構の進化とエピジェネティクス
12 配偶子形成におけるエピジェネティクスの新展開
13 胚発生におけるエピゲノムの新展開
14 X染色体不活性化
15 胞状奇胎と卵巣奇形腫
16 インプリント遺伝子異常症候群
17 ゲノム編集
18 まとめ

第6章 マウス生殖細胞の発生
1 受精卵のリプログラミング・サイクルと個体発生能
2 マウス始原生殖細胞の経時的発生
3 マウスPGCの発生にかかわるサイトカインとエピゲノム
4 マウスPGCの発生における遺伝子発現
5 マウスPGCの分化を決定する2種の転写因子
6 生殖系列の雌型性分化
7 卵巣における生殖細胞の雌化機構の解明
8 生殖系列の雄型性分化
9 未分化型精原細胞から機能精子の誘導
   ―器官培養法による精子形成
10 精子幹細胞
11 マウス胚の初期発生―受精卵から始原生殖細胞の分岐まで
12 マウス配偶子形成過程におけるゲノムとエピゲノムの変動
13 マウス受精・着床・胚発生過程におけるインプリント再編
14 生殖細胞における減数分裂の分子機構
15 多能性幹細胞における多能性発現特性
16 GS細胞と多能性精子幹細胞
17 エピブラスト幹細胞
18 リセット細胞
19 マウスPGC発生系の体外再構築
20 マウス配偶子の人為作成
21 まとめ

第7章 ヒト生殖細胞の造成
1 ヒト生殖細胞誘導に用いる2種の多能性幹細胞
   ―胚性幹細胞と人工多能性幹細胞
2 ヒト生殖細胞の起源
3 ヒト始原生殖細胞
4 ヒト多能性幹細胞から生殖細胞の造成系へ
5 ヒト多能性幹細胞から生殖細胞誘導への展望と意義
6 ヒト多能性幹細胞の分化ポテンシャルとヒトPGCLCの定義
7 二重の生殖系列レポーターを備えたヒトiPS細胞の確立
8 ヒトiPS細胞から初期ヒト始原生殖細胞(BTAG陽性細胞)の直接誘導
9 初期中胚葉様細胞を介した初期ヒトPGCの間接誘導
   ―間接BTAG陽性細胞誘導
10 BTAG陽性細胞をヒトPGCLCと定義する
   ―グローバルな転写特性と経路
11 BTAG陽性細胞とCyPGCの遺伝子発現特性の比較
12 ヒトPGCLC特化に向うユニークな経路
13 ヒトiPSCとマウスEpiLCとの相同性
14 ヒトPGCLCのエピジェネティックな特性
15 ヒトPGCLCに対する表面マーカーの同定
16 ヒトPGCLC特化におけるBLIMP1の意義
17 ヒト生殖細胞特化に関する考察と総括
18 ヒト多能性幹細胞hPSCからキナーゼ阻害剤を用いたhPGCLCの誘導
19 ヒトiPS細胞からのヒト始原生殖細胞の誘導
   ―京都大学・科学技術振興機構(JST)共同発表
20 生殖系列への特化機構に関する最新知見
21 まとめ

第8章 生殖補助医療の生命倫理
1 生殖生物学の史的展開―ギリシャ時代の二人の医聖
2 精子学派と卵子学派の200年論争
3 体外受精時代の到来
4 日本における体外受精の初期展開
5 ヒト生命誕生における宗教と医学
6 医療に対する社会の不信感
7 体外受精に対するカトリック教会の否定論
8 イギリス国教会の肯定論とマックラーレンの前胚説
9 ワーノック委員会の歴史的使命
10 エドワーズ博士のノーベル賞受賞
11 徳島大学における体外受精プログラムの発足
12 体外受精の臨床応用における手続論
   ―主観主義から客観主義への転換
13 前臨床研究の必要性と重要性
14 徳島大学医学部倫理委員会
15 生殖医学の生命倫理論考
16 ヨーロッパにおける生命の始期を巡る論争
   ―経緯と顛末
17 生命倫理思想の系譜
18 ヒト生殖の尊厳
   ―生殖医学における生命の絶対観と相対観の止揚
19 生殖補助医療の倫理規範
20 まとめ

第9章 ヒト生殖発生の生命哲学
1 ヒト生殖細胞造成の規範を何に求めるべきか
2 「生まれること」の生命倫理
3 ヒト生命の始まり
4 ヒト生命発生の姿―点か線か円か,それとも
5 ヒト生殖細胞造成の是非論
6 始原生殖細胞の分化における転写因子T(BRACHYURY)の意義
7 生命倫理から生命哲学へのパラダイム・シフト
   ―体外受精とヒト胚造成との倫理落差
8 ヒト胚の人為造成に関する生命哲学論考
9 生命哲学における西と東の二人の巨匠
10 西田哲学の鍵となる概念
11 弁証法の起源と発展
12 西田哲学と生命科学が教える生命円環の対応
13 西田哲学における自己創出型生命発生論
14 西田生命哲学と生命発生科学の対比
15 ヒト胚造成の生命倫理―必要条件
16 ヒト胚造成の生命哲理―十分条件
17 発生生物学的生命観
18 生命科学的生命観
19 生殖発生医学の将来展望
20 まとめ

 あとがき
 索  引


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