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 小学校のフィールドから出会いと雰囲気の解釈学

出会いと雰囲気の解釈学 小学校のフィールドから

A5判
定価:4,800円+税
ISBN978-4-7985-0277-9 C3011
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年02月中旬

内容紹介

本書は,小学校の参与を通じて、私達の生きているところやその日々にとって,雰囲気とは何なのかを問い、そのための方法を求めるものである。雰囲気は、実体をもたないために心理学等の学問領域にとって取り扱いにくい事象・概念とされてきた。小学校で子どもたちや先生たちと共に過ごす日々のなかに生じた問いは、学問の制約を超えて雰囲気の意味と価値を問うことを促す。そしてその試みは、私達が今生きている場所で,何か大事なことを経験したとき,その性格を変質させたり,価値や意義を損なったりすることなく問い話し始める可能性を照らし出す。

前書きなど

「雰囲気」をテーマとして、心理的経験の意味を問う。

著者プロフィール

木下 寛子(キノシタ ヒロコ)

九州大学教育学部卒業、九州大学大学院人間環境学府都市共生デザイン専攻博士課程単位修得退学。
博士(人間環境学)(九州大学)。九州大学大学院人間環境学研究院学術研究員をへて近畿大学九州
短期大学准教授、および九州大学大学院人間環境学研究院学術共同研究員。専攻は環境心理学。

主要著書・論文
「雰囲気が言葉になる時 : 小学校の日々から始まる雰囲気の解釈学的現象学」(質的心理学研究16号、 2017年)
『文化心理学』(共著、木戸彩恵・サトウタツヤ 編、ちとせプレス、2019年)
『質的心理学辞典』(共著、能智正博・香川秀太・川島大輔・サトウタツヤ・芝山真琴・鈴木聡志・藤江康彦 編、
  新曜社、2018年)ほか

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 問う行為を学びなおすことに向けて:小学校のフィールドから

 1.1 本書のめざすところ
 1.2 本書の構成
 1.3 小学校の日々へ:最初期の参入の過程から
  1.3.1 小さな小学校:九州大学教育学部「教育学フィールドワーク」の試み
   (1) 小学校の風景
   (2) きっかけ
   (3) 二つの心得
  1.3.2 「靴」をめぐって見えてくる小学校の日々の始まり
   (1) 靴と身の置きどころ
   (2) 空回りの連続
   (3) スリッパから上靴へ
   (4) 「何でもやる」以前に「ここ(学校・教室)に居続けること」
    (a) 小学校に成員外の者が訪れることの意味
    (b) 当面めざすは「居続けること」
    (c) 二つの心得の受け取りなおし
    (d) その後の展開:小学校の日々に与することへ
  1.3.3 小学校の日々への参与:「小学校に居る」こと
  1.3.4 本書で取り上げる出来事とその提示の仕方

   第Ⅰ部 雰囲気の問いをめぐる状況

第2章 学級の雰囲気に関する心理学的研究の概観:測定から解釈へ

 2.1 雰囲気研究概観のめざすところ
  2.1.1 見通しと方針:学級の雰囲気の研究を取り上げることの意味
 2.2 諸研究概観
  2.2.1 先駆的研究:「場の理論」とアイオワ実験
   (1) 実験に託されたもの:民主主義のリアリティと場の理論
   (2) アイオワ実験の特徴:研究者の経験を不可欠のものとすること
   (3) 雰囲気概念の曖昧さとのつきあい方
  2.2.2 学級雰囲気研究(類型論的研究)の始まり:測定方法開発の試み
   (1) 相互作用分析
   (2) SD 法・モラール尺度
  2.2.3 教室は集団研究の「草刈り場」ではない
  2.2.4 学級風土研究(特性論的研究)の展開
   (1) LEI
   (2) CES
   (3) 国内での学級風土研究の展開:CSS とCCI
   (4) 特定の状況・目的のための学級風土質問紙
 2.3 対象の把捉から場の解釈へ
  2.3.1 学級雰囲気研究の概括
   (1) 雰囲気の対象化
   (2) 学級雰囲気研究のパースペクティブ
  2.3.2 展望と課題
   (1) 雰囲気概念の空白
   (2) 展望と課題:測定から解釈へ
  2.3.3 総 括

第3章 雰囲気を問う道筋を求める意味

 3.1 雰囲気の意味解釈とは
  3.1.1 本書全体を通じた問い:雰囲気とは何か
  3.1.2 雰囲気を問う道筋を求める意味
 3.2 質的研究における雰囲気の意義とその記述:おのずと辿る対象化の道
 3.3 雰囲気をめぐる先生達の言動
  3.3.1 雰囲気をめぐる言動
  3.3.2 雰囲気への言及に伴う躊躇
   (1) 「やっぱりそう思う?」
   (2) 躊躇するとき
  3.3.3 雰囲気への言及を避け、言い訳しながら話すこと
   (1) 「結果」がない、「感じたことにすぎないが」
   (2) 言及を控えるとき、言い訳するとき
  3.3.4 雰囲気をめぐる素朴な理解
 3.4 雰囲気を問う道筋を求める意味
  3.4.1 対象化が起こるところ
  3.4.2 雰囲気を問う道筋を求める意味
 3.5 雰囲気の対象化と共に生じる三つの問題

第4章 雰囲気そのものを問う道筋の模索:現象学の二つの試みを通じて

 4.1 問う行為と現象学
  4.1.1 歪めず損なわずに問う道筋
  4.1.2 現象学概念
  4.1.3 現象学の先例に学ぶ
  4.1.4 心理学とその近接領域における現象学的な試み
 4.2 発達─現象学的アプローチ(間主観的アプローチによる関係発達論)
  4.2.1 方法上の三つの特徴
   (1) 生活世界からの新たな発達心理学の構想
   (2) 間主観性
   (3) 反省と還元
    (a) 「関与しながらの観察」と還元
    (b) エピソード記述と反省
    (c) 還元と反省の行為に見出される現象学的な性格
  4.2.2 発達─現象学的アプローチの到達点:関係発達論と問いの在り方
   (1) 発達論としての到達点:関係発達論
    (a) 関係発達論の構築
    (b) 日常的な養育者の営みの在り方と意味
    (c) 発達論の到達点
   (2) 方法上の到達点:問いの基本的な在り方とその刷新
    (a) 主体・認識・対象概念の刷新
    (b) 類的な者による問う行為
    (c) 方法上の到達点:発達論・人間理解のパラダイム転換
   (3) 陥穽としての雰囲気
  4.2.3 小 括
 4.3 リュムケの「出会いの現象学」
  4.3.1 精神医学において出会いの経験を問う意味:診断行為の根拠を問う
  4.3.2 出会いの現象学の具体的展開
  4.3.3 到達点:問う行為としての出会いの現象学
   (1) 問いの形
   (2) 問う行為の在り方
   (3) 認識主体から行為者へ
  4.3.4 小 括
 4.4 二つの試みが示す可能性

   第Ⅱ部 雰囲気を問う道筋

第5章 雰囲気が言葉になるとき:小学校の日々から始まる雰囲気の解釈学的現象学

 5.1 雰囲気を対象化せず問う道筋
  5.1.1 第Ⅰ部の要約:雰囲気を問う道筋を求める意味とその手がかり
   (1) 雰囲気を問う道筋を求める意味
   (2) 本章の問題
   (3) 雰囲気を問う道筋の手がかりとしての解釈学と現象学
  5.1.2 雰囲気を問う道筋にどう着手するか
   (1) 素朴な理解(先入見)への態度のとり方
   (2) 雰囲気が言葉になるとき:雰囲気を問う道筋の端緒
   (3) 未精製の問い
 5.2 雰囲気を問う道筋の予備的理解
  5.2.1 出会いの解釈学:参与の基本性格
   (1) 「会えてうれしい」
   (2) 出会いの解釈学
  5.2.2 解釈という行為:「出会いの解釈学」の展開
   (1) 「やっちゃった」から始まる話
   (2) 「話す」ことに実現する「解釈」と解釈学的現象学
  5.2.3 小学校の日々から始まる雰囲気の解釈学的現象学
 5.3 雰囲気が言葉になる出来事から始まる道筋
  5.3.1 教室に拒まれた
  5.3.2 愚痴めいたお喋りの意味:原因、経緯、背景の列挙と断念
  5.3.3 「言葉になった」後に始まった話の意味
   (1) 話はどう展開しなおされたのか
    (a) 雰囲気の開顕性
    (b) 小学校の日々をめぐる理解の更新
    (c) 雰囲気の意味をめぐる驚き
    (d) 雰囲気が言葉になる出来事の意味
 5.4 雰囲気を問う道筋を求める試みの到達点
  5.4.1 雰囲気を問う道筋
   (1) 辿ってきた道筋と雰囲気の理解
   (2) 雰囲気の記述と伝達
   (3) 雰囲気を問う行為:「出会いの解釈学」の展開に従い「待つ」こと
  5.4.2 学校にとっての雰囲気の意味:「ここに居ること」と「居られなくなること」

第6章 出会いと雰囲気の解釈学:「出会いの解釈学」が照らし出すもの

 6.1 問う行為の可能性を受け取りなおすことに向けて
 6.2 雰囲気を問う試みの総括
  6.2.1 雰囲気の意味
  6.2.2 雰囲気をめぐる知の新たな可能性
  6.2.3 対象化せずに問う道筋:「出会いの解釈学」の可能性
 6.3 「ある場所に居る」ことの基本性格としての「出会いの解釈学」
  6.3.1 「出会いの解釈学」が照らし出す「ある場所に居る」ことの意味
   (1) 日々に出会いなおす経験
   (2) 出会いと雰囲気:「出会いの解釈学」の意味の広がりと深さ
   (3) 「ある場所に居る」ことをめぐる三つの様相
  6.3.2 ある場所に居て問う行為と解釈学
 6.4 「出会いの解釈学」が照らす問う行為の可能性と参与の意味
  6.4.1 参与の意義:損なってはならないものの在り処
  6.4.2 参与が可能にする「問う行為」
  6.4.3 参与の場に生まれる言葉の可能性
 6.5 おわりに:途上としての本書の道筋
  6.5.1 問う行為が本領を発揮するところ
  6.5.2 学校のなかでの対象化する行為の展開とその意義
  6.5.3 学校・教室にとっての対象化せずに問う行為の意味
  6.5.4 書かれたものとしての本書の試みの限界/臨界点
  6.5.5 結 び

 文  献
 あとがき
 索  引


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