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感情の哲学入門講義

感情の哲学入門講義

四六判 240ページ 並製
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2719-6 C0010
奥付の初版発行年月:2021年01月 / 発売日:2021年01月下旬

内容紹介

感情と理性は対立する? 
ロボットは感情をもてる? 

「感情」にまつわる疑問に答える、まったくの哲学初心者にむけて書かれた入門書

私たちの生活の中心にある感情。
私たちは日々うれしくなったり悲しくなったりして過ごしています。
誰もがもつこの「感情」とはいったい何なのでしょうか?
本書は身近な「感情」をテーマにした哲学の入門書です。大学でおこなわれた全15回の講義をまとめたものなので、哲学を知らなくても、感情や人間がどういうものか、哲学がどういうものかわかる一冊となっています。

「本書は、感情や哲学に興味をもった人が最初に読む本を目指して書かれたものです。なので、この本を読むために、感情についても、哲学についても、予備知識は一切必要ありません。
 タイトルに「感情の哲学」と入っていますが、哲学だけでなく、心理学や脳神経科学、文化人類学、進化生物学など、さまざまな分野での感情研究も紹介します。つまり、できるだけ多くの観点から感情について考えてみたいと思います。そのため本書は、感情に興味をもつすべての人に向けて書かれています」
(「はじめに」より)

著者プロフィール

源河 亨(ゲンカ トオル)

2016年、慶應義塾大学にて博士(哲学)を取得。現在は、慶應義塾大学文学部・日本大学芸術学部・立正大学文学部ほか非常勤講師。専門は、心の哲学、美学。
著作に、『知覚と判断の境界線――「知覚の哲学」基本と応用』(慶應義塾大学出版会、2017年)、『悲しい曲の何が悲しいのか――音楽美学と心の哲学』(慶應義塾大学出版会、2019年)。訳書に、ジェシー・プリンツ『はらわたが煮えくりかえる――情動の身体知覚説』(勁草書房、2016年)、セオドア・グレイシック『音楽の哲学入門』(慶應義塾大学出版会、2019年、共訳:木下頌子)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1講 ガイダンス
 1 日常のなかの感情
 2 哲学は何をするのか
 3 「感情」という言葉について
 4 各講義の概要

第2講 感情の本質は何か
 1 本質の見つけ方
 2 本質の候補
 3 思考の重要性

第3講 感情と身体
 1 ジェームス=ランゲ説
 2 根拠となる思考実験
 3 身体説の検討

第4講 感情と思考
 1 志向性
 2 身体と思考の組み合わせ
 3 どんな思考が必要なのか
 4 「感情の本質」まとめ

第5講 感情と価値/基本的な感情
 1 価値の客観性
 2 正しい感情と誤った感情
 3 基本感情
 4 感情価

第6講 複雑な感情/感情と文化
 1 感情の混合
 2 高度な思考に基づく感情
 3 文化の影響

第7講 無意識の感情/ロボットの感情
 1 感覚と無意識
 2 感情の役割
 3 ロボットは感情をもてるか
 4 意識のハード・プロブレム

第8講 他人の感情を見る
 1 他我問題
 2 「見る」とはどういうことか
 3 表情は感情の表象か
 4 表情は感情の部分

第9講 感情と気分/感情と痛み
 1 感情と気分を分ける基準
 2 なぜ憂うつになるのか
 3 痛みの感情的側面

第10講 感情と理性は対立するか
 1 感情は合理的でないのか
 2 VMPFC損傷
 3 二重過程理論

第11講 道徳哲学と感情の科学
 1 道徳的判断
 2 トロリー問題の二つのシナリオ
 3 功利主義と義務論
 4 道徳と二重過程

第12講 恐怖を求める矛盾した感情
 1 負の感情のパラドックス
 2 消去説 本当は怖がっていない
 3 補償説 恐怖と喜びを同時に抱く
 4 フィクションが関わる場合

第13講 感情とフィクション
 1 フィクションのパラドックス
 2 錯覚説 フィクションを現実と間違える
 3 ごっこ説 怖がるフリをしている
 4 思考説 思い浮かべて怖くなる
 5 二つのパラドックスを合わせる

第14講 感情とユーモア
 1 愉快な感情
 2 笑いとコミュニケーション
 3 ユーモアとは何か
 4 不一致と、あと何か

第15講 全体のまとめ
 1 感情をコントロールする
 2 読書案内

 あとがき
 文献一覧


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