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 臓器をめぐる逡巡と規範生体臓器移植の倫理

生体臓器移植の倫理 臓器をめぐる逡巡と規範

A5判 304ページ 上製
定価:6,500円+税
ISBN978-4-7664-2716-5 C3012
奥付の初版発行年月:2020年12月 / 発売日:2020年12月中旬

内容紹介

なぜ、生きている人間から臓器を摘出してもいいのか?

脳死下移植・心停止下移植の件数と比べて圧倒的多数でありながら、いまだ十分な議論がなされていない生体臓器移植。その包括的な倫理的要件を提示する力作。

日本最多の臓器移植医療は一貫して生体臓器移植であり、今後さらに拡大する見込みである。
しかしながら、脳死下・心停止下からの移植は臓器移植法で法制化されているのに対し、生体臓器移植に関する法律はなく、また生命倫理学からの成果も限定的なものに留まっている。

本書は、哲学・倫理学分野の視座から分析を加えることで、「ドナーに危害を加える行為」である生体臓器移植における課題を解き明かし、その倫理的要件を提示する。切迫する医療現場に寄り添い、逡巡と規範を丁寧に析出する力作。

著者プロフィール

田村 京子(タムラ キョウコ)

1954年生まれ。1987年、慶應義塾大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。
博士(哲学)。現在、帝京平成大学薬学部教授。共編著に『現代医療論』(メヂカルフレンド社、2012年)、著作に「マザー・マシン」(菅沼信彦・盛永審一郎編『シリーズ生命倫理学第6巻 生殖医療』丸善出版、2012年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

 第一章 生体臓器移植はどのように研究されてきたか
第一節 本書の目的
第二節 先行研究と本書の進め方
 (一)生体臓器移植が脳死臓器移植ほど取り上げられないできた理由
 (二)先行研究の紹介
 (三) 本書の論点

 第二章 倫理はどのように語られるべきなのか
第一節 日常生活に根差した倫理
第二節 身体の倫理性
 (一)自律的人間観と身体
 (二)身体主体と共応主体
第三節 尊厳感覚と無危害原則
第四節 生体臓器提供の倫理的位置づけ

 第三章 臓器移植の大半を占める生体臓器提供
第一節 臓器移植の歴史と現状
 (一)臓器移植の歴史
 (二)生体臓器移植の適応と件数
第二節 臓器移植医療を支える医学的人体観
第三節 医師たちの思考とその変化
 (一)移植医療を推進した医師たちの思考
 (二)医師たちの倫理観の変化

 第四章 倫理指針を検討する
第一節 死体に関する法的規定との比較
 (一)死体に関する法的規定
 (二)死体臓器の移植に関する法と理念
 (三)生体からの臓器提供の特徴と種類
第二節 生体臓器移植に関する法的論点と倫理指針
 (一)法的論点
 (二)「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」
 (三)「日本移植学会倫理指針」

 第五章 なぜ臓器売買に反対しなければならないのか――社会的制約
第一節 臓器売買の現状と<公的臓器市場>制度案
 (一)世界規模の臓器売買
 (二)臓器売買の非倫理性
 (三)〈公的臓器市場〉制度案
第二節〈公的臓器市場〉の根拠
 (一)根拠① 自由意思の尊重
 (二)根拠② 臓器は売買の対象であるとする説
第三節 〈公的臓器市場〉反対論
 (一)搾取に対する批判
 (二)臓器を売買の対象とする説に対する批判

 第六章 利益と不利益の比較衡量――医療者の責務
第一節 無危害原則と臓器移植医療
 (一)生体臓器移植とデッド・ドナー・ルール
 (二)脳死問題
 (三)脳死・心停止下臓器移植と生体臓器移植
第二節 ドナーの不利益・利益とレシピエントの利益・不利益の比較衡量
 (一)ドナーの不利益・利益
 (二)レシピエントの利益・不利益
 (三)比較衡量の方法と内容
第三節 医療者の責務

 第七章 ドナーの逡巡と決定
第一節 自由意思への圧力と自発性
 (一)ドナー候補者の状況
 (二) 圧力と自発性
 付論 よきサマリア人ドナー
第二節 ドナーの自己決定
 (一)ドナーの動機及び心理
 (二)ドナーの決定の特徴
第三節 自己決定の尊重
 (一)自己決定の尊重原則
 (二)ドナー候補者の自己決定の尊重

 第八章 臓器提供の困難さに向き合うために
第一節 社会がすべきこと――生体臓器移植の法制化
第二節 医療者側の責務――ドナー・アドボケートと長期追跡調査
 (一)ドナー・アドボケートの導入
 (二)長期的追跡調査研究とその評価



あとがき
参考文献
索 引


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