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日本北方地図史再考近世蝦夷地の地域情報

近世蝦夷地の地域情報 日本北方地図史再考

A5判 266ページ 並製
価格:3,190円 (消費税:290円)
ISBN978-4-588-38201-7 C1025
奥付の初版発行年月:2021年05月 / 発売日:2021年05月下旬

内容紹介

アイヌ民族の生活の場であり、諸外国にも和人にも未知の土地であった蝦夷地は、江戸幕府による支配以降、明治政府による開拓・植民政策の開始にいたるまで、さまざまな地図や測量図、風景絵図に描かれ、表象されてきた。「異域」であった北海道周辺地域の情報はどのように収集・把握され、一般の人びとにも「国土」の一部として認識されるようになったのか。日本の北方地図史の展開をたどる。

著者プロフィール

米家 志乃布(コメイエ シノブ)

1968年静岡県生。東京学芸大学教育学部卒業。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程比較文化学専攻中退。博士(人文科学・お茶の水女子大学)。法政大学文学部地理学科教授。法政大学第一教養部専任講師、助教授、法政大学文学部助教授、を経て現職。専門は歴史地理学。論文に「20世紀前半のシベリア・ロシア極東における植民都市と地図作製」(『法政大学文学部紀要』62、2011年)、「レーメゾフの『公務の地図帳』と描かれたシベリア地域像」(『法政大学文学部紀要』66、2013年)、分担執筆「ロシアの伝統文化・人の暮らし」(『ロシア』朝倉書店、2017年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに
 一 地図史と蝦夷地
 二 内国植民地論と北海道
 三 歴史地理学と日本北方の地図作製

第一部 日本の歴史空間と「蝦夷地」

第一章 ヨーロッパおよびロシアの地図にみる蝦夷地像
 一 ヨーロッパおよびロシアの地図と蝦夷地
 二 描かれた蝦夷地像の変遷とその問題点

第二章 日本図からみる蝦夷地像の変遷
 一 日本図における蝦夷地の登場
 二 幕府による地図作製と蝦夷地
 三 近世における刊行日本図と蝦夷地

第三章 日本図・蝦夷図にみる庶民の蝦夷地像
 一 刊行蝦夷図と蝦夷地のかたち
 二 節用集所載の地図にみる蝦夷地

第二部 「蝦夷地/北海道」における地域情報の収集と表象

第四章 日本における蝦夷図作製と地域情報
 一 蝦夷地の地図作製史
 二 蝦夷地沿岸図の作製と地域情報の収集

第五章 松前藩・江差沖の口役所収集の絵図にみる地域情報の把握
 一 絵図における情報の選択と把握
 二 絵図における情報の表象
 三 政治的権力のコンテクストからみた絵図情報の機能

第六章 東北諸藩の蝦夷地沿岸警備と地域情報の収集
 一 秋田藩の蝦夷地関係絵図と蝦夷地警備
 二 「マシケ御陣屋御任地面境内略図」に描かれた地域情報とその特徴
 三 作製主体と作製年代
 四 盛岡藩の蝦夷地関係絵図と蝦夷地警備
 五 『東蝦夷地海岸図台帳』に描かれた地域情報の特徴と絵画表現
 六 東蝦夷地見分と台帳の関係

第七章 松浦武四郎による地域情報の収集とアイヌ民族
 一 『天塩日誌』について
 二 松浦武四郎による天塩川調査
 三 松浦武四郎とアイヌの人びと
 四 描かれた天塩川の特徴

第八章 目賀田帯刀の風景画にみる蝦夷地/北海道像
 一 目賀田帯刀作製の風景画について
 二 『延叙・北延叙歴検真図』から『北海道歴検図』へ

第九章 植民都市・札幌の風景と植民地としての北海道像
 一 風景の歴史地理学と視覚的資料
 二 明治初期の札幌の都市建設
 三 「札幌市街之真景」と近代地図との関係
 四 「札幌市街之真景」と風景写真・歴史記述との関係

おわりに──日本北方地図史を再考する

あとがき
図表一覧
地図名索引
事項索引
人名索引


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