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尊厳と社会(上)

尊厳と社会(上)

A5判 454ページ 上製
定価:5,000円+税
ISBN978-4-588-15107-1 C1010
奥付の初版発行年月:2020年03月 / 発売日:2020年03月下旬

内容紹介

上巻では、「尊厳ある社会」を構想する上で、主に制度設計の基礎になる議論を提示する。概念史編は、日本や中国における「尊厳」という言葉をめぐる議論、文学表現における問題、そして内外の哲学・倫理学における最新の成果を紹介する。生命政策編は、特に日本の現状における生命倫理についての問題を指摘し、脳神経科学と道徳、動物の尊厳などを論じる。環境政策編は、環境問題だけでなく自然概念の問い直しを行う。

著者プロフィール

加藤 泰史(カトウヤスシ)

1956年生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。一橋大学大学院社会学研究科教授。哲学、倫理学。Kant’s Concept of Dignity, Berlin, Boston: De Gruyter, 2019(Gerhard Schönrichとの共編著),「尊厳概念史の再構築に向けて」(『思想』第1114号、2017年)、『思想間の対話』(分担執筆、法政大学出版局、2015年)、ほか。

小島 毅()

1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国思想史。『儒教の歴史』(山川出版社、2017年)、『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)、『宋学の形成と展開』(創文社、1999年)、『中国近世における礼の言説』(東京大学出版会、1996年)、『中国思想史』(共著、東京大学出版会、2007年)、ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

・執筆者・訳者紹介

清水正之(しみず・まさゆき)
1947年生まれ。聖学院大学人文学部特任教授。『日本思想全史』(筑摩書房、2014年)、『国学の他者像―誠実と虚偽』(ぺりかん社、2005年)、『甦る和辻哲郎』(共編著、ナカニシヤ出版、1999年)、ほか。

ジョン・C・マラルド(John C. Maraldo)
1942年生まれ。ノースフロリダ大学名誉教授。Crossing paths with Nishida, Chisokudō, 2017; Japanese philosophy: a sourcebook, University of Hawai‘i Press, 2011(J. W. HeisigとTh. P. Kasulisとの共編著),ほか。

高畑祐人(たかはた・ゆうと)
1961年生まれ。名古屋大学・南山大学非常勤講師。哲学、倫理学。「エコフェミニズムの批判的変換―─自然美学的読み替えの試み」(名古屋哲学研究会編『哲学と現代』第31号、2016年)、マルティン・ゼール『幸福の形式に関する試論―─倫理学研究』(法政大学出版局、2018年)、ほか。

ヘイキ・J・コスネキン(Heikki J. Koskine)
ヘルシンキ大学教授。Recognition and Religion: Contemporary and Historical Perspectives, Routledge, 2019(共編著); “Mediated Recognition and the Categorial Stance,” in Journal of Social Ontology, 3, 1, 2017; Editorial for the Topical Issue “Religious Recognition,” in Open Theology, 2, 1, 2016(共著),ほか。

徳地真弥(とくち・しんや)
1980年生まれ。ティートゥス・シュタール「社会正義と制度的権力」(田中拓道編『承認―社会哲学と社会政策の対話』、法政大学出版局、2016年)、ミヒャエル・クヴァンテ『人間の尊厳と人格の自律―─生命科学と民主主義的価値』(共訳、法政大学出版局、2015年)、アクセル・ホネット『自由であることの苦しみ―ヘーゲル『法哲学』の再生』(共訳、未來社、2009年)、ほか。

ゲアハルト・シェーンリッヒ(Gerhard Schönrich)
1951年生まれ。ドレスデン工科大学名誉教授。『カントと討議倫理学の問題―討議倫理学の限界と究極的基礎づけの価値/代償について』(晃洋書房、2010年)、Zeichenhandeln. Untersuchungen zum Begriff einer semiotischen Vernunft im Ausgang von Ch. S. Peirce, Frankfurt a. M.: Suhrkamp, 1990; Kategorien und transzendentale Argumentation. Kant und die Idee einer transzendentalen Semiotik, Frankfurt a. M.: Suhrkamp, 1981,ほか。

マティアス・シュロスベルガー(Mathias Schloßberger)
1972年生まれ。ベルリン・フンボルト大学助手(ドイツ研究振興会ハイゼンベルク・プログラム)、フランクフルト・ヴィアンドリア欧州大学文化哲学講座教授代理。Die Erfahrung des Anderen, Berlin: Akademie Verlag, 2005; Geschichtsphilosophie, Berlin: Akademie Verlag, 2013; Phänomenologie der Normativität, Basel: Schwabe Verlag, 2019,ほか。

岩田健佑(いわた・けんすけ)
1991年生まれ。「ヘーゲルの長編小説論―想像力による性格の描写」(『ヘーゲル哲学研究』、vol. 24、2018年)、「内面化される運命―ヘーゲル『精神現象学』における悲劇と喜劇」(上智大学哲学論集、第47号、2018年)ほか。

横山 陸(よこやま・りく)
1983年生まれ。中央大学総合政策学部准教授。現象学、倫理学専攻。「マックス・シェーラーの『感情の哲学』」(『現象学年報』第33号、2017年)、“Offenbarung und Glückseligkeit bei Max Scheler”(Selbstgebung und Selbstgegebenheit, Alber-Verlag, Freiburg, 2017)、“Liebe als Kommunikationsform in der Intimität”(Thaumàzein: Rivista Di Filosofia, Vol. 3, Verona, 2015)、ほか。

ギブソン松井佳子(ぎぶそん・まつい・けいこ)
神田外語大学外国語学部教授。「翻訳学と脱構築のはざまで考える「社会正義」」(『〈翻訳〉のさなかにある社会正義』、東京大学出版会、2018年)、“Re-examining Human Dignity in Literary Texts: In Seeking for a Continuous Dialogue Between the Conceptual and the Empirical Approaches”, Dialog: A Journal of Theology, volume 56, Number 1, 2017, 「生死をめぐるモラル・ディレンマ―『私の中のあなた』の物語世界から見えてくる〈自己決定〉の不可能性」(『自由と自律』御茶の水書房、2010年)、ほか。

陳 健成(Chan Kin Shing)
1984年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科死生学応用倫理センター特任研究員。「袁仁『砭蔡編』について─―明代における蔡沈『書集伝』に対する批判の特例」(伊東貴之編『「心身/身心」と環境の哲学─―東アジアの伝統思想を媒介に考える』、汲古書院、2016年)、ほか。

牧角悦子(まきずみ・えつこ)
1958年生まれ。二松学舎大学文学部教授。『経国と文章─―漢魏六朝文学論』(汲古書院、2018年)、『中国古代の祭祀と文学』(創文社、2006年)ほか。

中澤 武(なかざわ・たけし)
1963年生まれ。明海大学・東京薬科大学・長野大学等非常勤講師。翻訳家。Kants Begriff der Sinnlichkeit, Stuttgart: frommann-holzboog, 2009,『尊厳概念のダイナミズム』(分担執筆、法政大学出版局、2017年)、ディーター・ビルンバッハー『生命倫理学―─自然と利害関心の間』(共監訳、法政大学出版局、2018年)、マンフレッド・キューン『カント伝』(共訳、春風社、2017年)、ほか。

品川哲彦(しながわ・てつひこ)
1957年生まれ。関西大学文学部教授。哲学・倫理学専攻。『倫理学の話』(ナカニシヤ出版、2015年)、『正義と境を接するもの―─責任という原理とケアの倫理』(ナカニシヤ出版、2007年)、『科学技術と環境』(共編、培風館、1999年)、ほか。

香川知晶(かがわ・ちあき)
1951年生まれ。山梨大学名誉教授。『死ぬ権利―─カレン・クインラン事件と生命倫理の転回』(勁草書房、2006年)、『生命倫理の源流ヶ飲泉―戦後日本社会とバイオエシックス』(共編著、岩波書店、2014年)、『デカルト医学論集』(共訳、法政大学出版局、2017年)、ほか。

バート・ハインリクス(Bert Heinrichs)
1974年生まれボン大学教授。G. E. Moore zur Einführung, Hamburg: Junius, 2019; Moralische Intuition und ethische Rechtfertigung. Eine Untersuchung zum ethischen Intuitionismus, Münster: mentis, 2013,ほか。

フランク・ディートリヒ(Frank Dietrich)
デュッセルドルフ大学教授。Philosophie der Internationalen Politik zur Einführung [mit Véronique Zanetti], Hamburg: Junius, 2014; Sezession und Demokratie. Eine philosophische Untersuchung, Berlin: de Gruyter, 2010; Dimensionen der Verteilungsgerechtigkeit, Stuttgart: Lucius & Lucius, 2001,ほか。

小林道太郎(こばやし・みちたろう)
1974年生まれ。大阪医科大学看護学部准教授。「補い合うことと考えること──ある看護師へのインタビューの分析から」(『看護研究』49 (4)、2016年)、「ケア倫理は看護倫理にどう貢献しうるのか―─ケアの諸局面の倫理的要素から」(『日本看護倫理学会誌』6 (1)、2014年)、「フッサール現象学は臨床のコミュニケーション研究とどう関わるのか─―看護研究を中心に」(『Communication-Design』8、2013年)、ほか。

ベッティナ・シェーネ゠ザイファート(Bettina Schöne-Saifert)
ゲッティンゲン大学教授資格取得。ミュンスター大学教授。Grundlagen der Medizinethik, Stuttgart: Kröner Verlag, 2007; Neuro-Enhancement. Ethik vor neuen Herausforderungen, Paderborn: Mentis, 2009(D. Talbot他との共編著); Enhancement. Die ethische Debatte, Paderborn: Mentis, 2009(D. Talbotとの共編著),ほか。

ダヴィニア・タルボット(Davinia Talbot)
ミュンスター痛み治療センター医師。Neuro-Enhancement. Ethik vor neuen Herausforderungen, Paderborn: Mentis, 2009(B. Schöne-Saifert他との共編著); Enhancement. Die ethische Debatte, Paderborn: Mentis, 2009(B. Schöne-Saifertとの共編著);“Pharmakologisches Enhancement – Eine Einführung in nichtmedizinische Anwendungen von Arzneimitteln zu Verbesserungszwecken“, in Die Verbesserung des Menschen. MedR Schriftenreihe Medizinrecht, Berlin, Heidelberg: Springer, 2009(A.Wienke他編)、ほか。

高木駿(たかぎ・しゅん)
1987年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科特任講師。「醜さとは何か?─―『判断力批判』の趣味論に基づいて」(『哲学』第71号、日本哲学会、2020年)、「趣味判断における不快の感情の生成―─カント美学と醜さ」(『日本カント研究』第19号、日本カント協会、2018年、日本カント協会濱田賞)、ほか。

ディーター・ビルンバッハー(Dieter Birnbacher)
1946年生まれ。デュッセルドルフ大学名誉教授。『生命倫理学―─自然と利害関心の間』(法政大学出版局、2018年)、Analytische Einleitung in die Ethik, Berlin: De Gruyter, 2003; Verantwortung für zukünftige Generationen, Stuttgart: Reclam, 1988,ほか。

岩佐宣明(いわさ・のぶあき)
1976年生まれ。愛知学院大学教養部准教授。「デカルト認識論における自己認識の問題」(『理想』第699号、2017年)、「コギトの特権性」(『フランス哲学・思想研究』第12号、2007年)、「歪められたコギト」(『哲学』第56号、2005年)、ほか。

アンゲーリカ・クレプス(Angelika Krebs)
バーゼル大学教授。『自然倫理学―─ひとつの見取図』(みすず書房、2011年)、Arbeit und Liebe. Die philosophischen Grundlagen sozialer Gerechtigkeit, Frankfurt am Main: Suhrkamp Verlag, 2002, ほか。

船木祝(ふなき・しゅく)
札幌医科大学医療人育成センター准教授。Kants Unterscheidung zwischen Scheinbarkeit und Wahrscheinlichkeit, Frankfurt am Main: Peter Lang Verlag, 2002; 『サイエンスとアートとして考える生と死のケア―─第21回日本臨床死生学会大会の記録』(分担執筆、エム・シー・ミューズ、2017年)、『判断力の問題圏』(分担執筆、晃洋書房、2009年)、ほか。

マルティン・ゼール(Martin Seel)
1954年生まれ。フランクフルト大学教授。Nichtrechthabenwollen. Gedankenspiele, Frankfurt am Main: S. Fischer, 2018; 『幸福の形式に関する試論―─倫理学研究』(法政大学出版局、2018年)、『自然美学』(法政大学出版局、2013年)、ほか。


■お詫びと訂正──────────────────────────────────────────────

『尊厳と社会』(上)に、下記の誤りがございました。
読者の皆様ならびに執筆者、関係各位の皆様に謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。

目次・読書案内コラム3の書名
(誤)
小松美彦『「自己決定権」という罠──脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって』、『生権力の歴史──ナチスから相模原障害者殺傷事件まで』
(正)
小松美彦『生権力の歴史──脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって』、『「自己決定権」という罠──ナチスから相模原障害者殺傷事件まで』

2020年3月
法政大学出版局 編集部

目次

編者前書き「人間の尊厳を守る社会」の構築に向けて(加藤泰史)

第Ⅰ部 概念史編
第1章 日本の思想における尊厳と尊貴──世界における人間の位置(清水正之)
第2章 尊厳概念の再概念化──和辻哲郎の視点から(ジョン・C・マラルド/高畑祐人 訳)
第3章 先行する承認──概念自体がもつ教育上問題のある含意(へイキ・J・コスキネン/徳地真弥 訳)
第4章 カントの価値論?──再構成のための一試論(ゲアハルト・シェーンリッヒ/高畑祐人 訳)
第5章 尊厳と羞恥──尊厳の毀損と辱めについて(マティアス・シュロスベルガー/岩田健佑+横山陸 訳)
第6章 文学の経験表現から考究できる〈尊厳〉の諸相(ギブソン松井佳子)
第7章 伝統中国における梅の表象(陳健成+小島毅)
第8章 中国近代の尊厳概念──魯迅の小説を通して(牧角悦子)

◎読書案内コラム
1 西野基継『人間の尊厳と人間の生命』(中澤武)
2 高橋隆雄編『ヒトの生命と人間の尊厳』(品川哲彦)
3 小松美彦『生権力の歴史──脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって』、『「自己決定権」という罠──ナチスから相模原障害者殺傷事件まで』(香川知晶)

第Ⅱ部 生命政策編
第1章 現代日本の生命倫理学と尊厳の問題・序説(加藤泰史)
第2章 脳神経科学・道徳生理学・行為の根拠(バート・ハインリクス/高畑祐人 訳)
第3章 苦を感じる能力のない生物の保護されるべき価値についての考察(フランク・ディートリッヒ/小林道太郎 訳)
第4章 (神経)エンハンスメント(ベッティナ・シェーネ゠ザイファート+ダヴィニア・タルボット/小林道太郎 訳)

◎読書案内コラム
4 盛永審一郎『人受精胚と人間の尊厳──診断と研究利用』(高木駿)
5 松田純『安楽死・尊厳死の現在──最終段階の医療と自己決定』(品川哲彦)

第Ⅲ部 環境政策編
第1章 自然保護における取り換え可能性に対する制限(ディーター・ビルンバッハー/岩佐宣明 訳)
第2章 「時折、家の外に出ていって木々を見ていたい」──自然の固有価値についての哲学的考察(アンゲーリカ・クレプス/船木祝 訳)
第3章 自然を承認する次元(マルティン・ゼール/徳地真弥 訳)

執筆者・訳者紹介


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