大学出版部協会

 

20世紀日本における漫画・アニメの歴史社会学サブカルチャーを消費する

サブカルチャーを消費する 20世紀日本における漫画・アニメの歴史社会学

四六判 608ページ 上製
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-472-40601-0 C0032
奥付の初版発行年月:2021年12月 / 発売日:2021年12月上旬

内容紹介

20世紀、年少者たちは様々な方法で「家族」のなかに囲い込まれ、「消費社会」から遠ざけられていった。彼・彼女らは、漫画・アニメを大量に消費することで、大人たちを批判し、家族へ反抗した。「消費社会」を超える夢や妄想を受け止め、越えていくまったく新しいサブカルチャーの姿が見えてくる。

著者プロフィール

貞包 英之(サダカネ ヒデユキ)

1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、現在、立教大学社会学部現代文化学科教授。専門は社会学、消費社会論、歴史社会学。
著書に『地方都市を考える:「消費社会」の先端から』(花伝社、2015年)、『消費は誘惑する 遊廓・白米・変化朝顔:一八、一九世紀日本の消費の歴史社会学』(青土社、2015年)、共著に『自殺の歴史社会学:「意志」のゆくえ』(青弓社、2016年)、『多様な子どもの近代:稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社、2021年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 なぜ漫画やアニメが分析されるのか
1 言説としての漫画・アニメ
2 方法論としての漫画・アニメ
3 「消費社会」の現在

第1章 映画を消費する
─―「サブカルチャー」の形成とミッキーマウスの誘惑
1 「共通の場」としての活動写真・映画
(1) 年少者と活動写真
(2) 年少者の退却
2 映画を遠ざける
(1) 映画を「高度」化する
(2) 映画を検閲する
3 映画と家族
(1) 消費される映画/消費する年少者
(2) 小家族の形成
(3) こづかいという問題
(4) 年少者と活動写真・映画
4 年少者向け映画の編成
(1) 学校で観る映画
(2) アニメーションの流行
(3) ミッキーマウスの約束
(4) メディアの交差:越境するミッキーマウス
5 消費社会の模造
(1) 消費の摸像・サブカルチャーの形成
(2) 手塚治虫という通路

第2章 戦争を消費する
─―年少者の消費と戦記漫画の変容
1 叢生する漫画、追放される漫画
(1) 映画の戦後
(2) 年少者向けの消費の産業化
(3) こづかいの定額化
(4) 「悪書追放」という抗争
2 戦記漫画の興隆
(1) 戦後の戦争
(2) 戦記物の「改変」
(3) 年長者への反抗
3 戦記漫画の変容/戦争を消費する
(1) こづかいの「権利」化
(2) 趣味の拡散と読者の高年齢化
(3) 年長者向け化する戦記漫画:水木しげる、松本零士、望月三起也
(4) 戦記漫画から戦争アニメへ

第3章 性差を消費する
─―バレエ漫画の展開と「戦後家族」の結託
1 漫画のジェンダー化
(1) 女性たちの追放
(2) 密室の形成
(3) 折り重なるジェンダー
2 戦後と家族の物語
(1) 「戦後」を否定する
(2) 「豊かさ」を消費する
(3) 「捨て子」を望む
3 恋愛を消費する
(1) 家族の物語から抜け出す
(2) 恋愛物語の「完成」
4 消費社会のなかの恋愛
(1) 恋愛のその後
(2) 消費社会の恋
(3) 性差の乗り越え、他者の乗り越え
(4) 「戦後家族」抜きの「消費社会」

第4章 都市を消費する、年少者を消費する
─―20世紀のサブカルチャーの終焉と対抗的消費
1 年少者が消費する
(1) サブカルチャーの成長
(2) システムへの従属
2 コミックマーケットの膨張
(1) 対抗贈与の可能性
(2) 理念を再編する
(3) 年少者という問題
3 秋葉原という場
(1) 秋葉原の変貌
(2) 東京の冷却
(3) 他者を排除する
(4) 秋葉原の制度的起源
(5) 見知らぬ場所
4 あらたな「消費社会」
(1) 模像としてのサブカルチャー
(2) 「消費社会」の可能性


文献
あとがき


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。