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 歴史・発達・人権戦後教育学の再検討 上

戦後教育学の再検討 上 歴史・発達・人権

A5判 368ページ
価格:7,040円 (消費税:640円)
ISBN978-4-13-051351-7 C3037
奥付の初版発行年月:2022年05月 / 発売日:2022年05月上旬

内容紹介

「戦後教育学」の思想とは何を指すのだろう.発達,人権,教養,平和などのテーマごとに,一線の研究者・教育実践者が,その来し方をふりかえり自らの足元を掘り起こしつつ,次の日本の教育、近代のその先の社会を見据え,いまだ未完の課題に向けて進化してゆく方向を描く.

著者プロフィール

田中 孝彦(タナカ タカヒコ)

元武庫川女子大学教授

田中 昌弥(タナカ ヨシヤ)

都留文科大学教授

杉浦 正幸(スギウラ マサユキ)

麻布中学校・高等学校教諭

堀尾 輝久(ホリオ テルヒサ)

東京大学名誉教授/中央大学名誉教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 戦後教育学の何を受け継ぎ、これからを構想するのか(田中昌弥) 

第I部 歴史把握と教育

第1章 西欧近代と日本の教育――岩波講座『現代教育学』第四巻を中心に(寺崎弘昭・白水浩信) 
 はじめに――鏡としての「西欧近代」  
 一 「西欧近代」への問いを発条とする教育学  
 二 「公」教育の公教育への脱構築の「足場」としての「近代の教育価値」  
 三 トルソーによって開かれた問いのゆくえ  
 おわりに――ポジティヴィテの系譜学へ  

第2章 「戦後教育学」と教育の歴史的研究
     ――『日本近代教育史』(岩波講座『現代教育学』第五巻)の系譜(横畑知己) 
 はじめに  
 一 岩波講座『教育』(全八巻)の刊行『日本近代教育史』――「教育の自由」の問題  
 二 勝田守一「教育の理論についての反省」――教育の歴史的研究の意味  
 三 勝田ゼミ「大正・昭和の教育思想」(一九五五―五七年)
    ――「教育の自由」と「児童中心主義」  
 四 勝田守一・堀尾輝久「国民教育における『中立性』の問題」(一九五八年、一九五九年)――「教育の自由」概念の深まり  
 おわりに  

第3章 能力主義批判の思想――教育学的批判における人間観の問題へ(小林大祐) 
 はじめに  
 一 一九六〇年代における「多様化政策」  
 二 「多様化政策」の徹底と教育学の立場からの批判  
 三 「人間的成長」に関わる価値としての「教育的価値」  
 四 おわりに――続くべき探求へ向けて  

第4章 若者の大人への移行と社会・教育――大衆社会収縮期の構造変容のもとで(乾 彰夫)
 一 一九九〇年代以降の社会変容  
 二 若年非正規雇用の状況  
 三 不安定就労層の移行過程の実態  
 四 イギリスとの比較  
 五 教育と社会にとっての課題  

第II部 子ども観と発達観

第1章 子どもへの関心の質を問う教育学の一系譜(田中孝彦) 
 一 子ども・教育・教育学への私の関心  
 二 恵那の子どもたちの生活綴方作品との出会い  
 三 子どもの「自己」「時間」の感覚・意識の育ちの問題  
 四 世界の人間発達とその援助・教育についての新しい研究潮流  
 五 子どもへの関心の質をめぐる問題  

第2章 発達論と保育を受ける権利
     ――保育実践における〈学び〉での「ケア的関係性」に着目して(亀谷和史) 
 はじめに  
 一 「養護と教育の一体性」としての保育――「養護」と「ケア(care)」は同じか  
 二 「ケア(care)」の定義と「ケア的関係性」の発達論的理解  
 三 自己決定を促す〈学び〉での「ケア的関係性」――保育実践事例をとおして  
 四 〈学び〉のなかでの「ケア的関係性」の視点と「保育を受ける権利」  

第3章 発達教育学における「女性」と「家庭」(中嶋みさき) 
 はじめに  
 一 発達教育学における「家庭」――家庭教育を手掛かりとして  
 二 社会的諸関係と「女性」  
 三 発達教育学に学ぶジェンダー平等教育の課題  

第4章 発達における超越の視点――発達と脱発達の二重写し(西平 直) 
 一 発達の思想は「超越」の視点を含むか  
 二 ユング心理学の「個性化」を手がかりとして――発達の中に脱発達を見る  
 三 稽古の思想を手がかりとして――発達の中に脱発達が育つ  
 四 発達における超越の視点――発達と脱超越の循環の中に入り込む  

第5章 発達教育学の系譜――ドベス再考を中心として(横湯園子) 
 はじめに  
 一 発達教育学への道  
 二 日本における発達教育学への道  
 おわりに  

第III部 人権としての教育

第1章 「国民の教育権論」継承の視点
      ――堀尾輝久「国民の教育権論」と今日の教育学の課題(佐貫 浩) 
 一 堀尾「国民の教育権論」の意義  
 二 堀尾理論への批判の展開と継承の視点  
 三 政治と教育の関係認識をめぐって
    ――小玉重夫の戦後教育学認識と「教育の再政治化」論批判  
 四 おわりに――「国民の教育権論」との誠実な対話を  

第2章 子どもの権利――比較のなかの日本の子ども固有の権利論(世取山洋介) 
 はじめに 
 一 子どもの権利論の政治史的起点  
 二 子どもの権利論の政治的再生  
 三 日本の子どもの権利論の固有性と意義  
 四 子ども固有の権利論の到達点と現代的課題  
 おわりに  

第3章 親の教育権と参加 ――一九八〇年代以降の学校教育参加制度論(葛西耕介)
 一 本章の意図と対象の限定  
 二 父母参加原理論と制度原理論、その学説の思想的位置  
 三 一九八〇年代以降に出てくる父母参加制度の実定法化論  
 四 実定法による父母参加制度構想  

第4章 学習権思想と社会教育の自由(佐藤一子) 
 はじめに  
 一 教育の全体構造における社会教育の位置  
 二 「国民の学習権」論の体系と教育の権利主体の新たな形成  
 三 学習権と社会教育の自由  
 むすび  

座談会 戦後教育学の再検討(堀尾輝久+田中昌弥・田中孝彦・杉浦正幸) 
 座談会の趣旨
 第一ラウンドの論点「近代主義者」との批判に対して――近代教育の三重構造
 第四ラウンドの意味と憲法・教育基本法体制
 人間解放と近代
 「国民の教育権論者」と呼ばれて
 新自由主義と教師の専門性
 教育の自由と新自由主義の違い
 民衆的公共性と選択の自由
 教育的価値の意味と臨床教育学――宗像教育権論との違い
 教育的価値が教育学を孤立させたのか
 臨床的視点から社会を捉える
 教育実践者と教師教育者
 第二ラウンドの論点――「子ども」への関心
 青年期から子どもへ
 マルクス主義教育学への違和感
 東洋的生活感覚と老年期
 老年期と発達の思想
 「発達論」=「囲い込み」との批判に対して
 マルクスの人間観をどう理解するか
 発達論から再び権利論へ――Responseを求める権利
 未来との共生


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