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美学

美学

A5判 480ページ
定価:5,500円+税
ISBN978-4-13-012064-7 C3010
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年09月中旬

内容紹介

美学は18世紀半ばに作られた哲学的学問であり,「感性」「芸術」「美」という主題が収斂するところに成立した.美学の古典といえるカント『判断力批判』(1790年)を題材にし,そこでの重要なテーマをめぐって,古代ギリシアから21世紀までの美学史を概説する.美学を深く学ぶための決定版.

著者プロフィール

小田部 胤久(オタベ タネヒサ)

東京大学大学院人文科学系研究科教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序文
  本書の狙い――三重の構成
  近代美学とカント
  本書の構成について
  『判断力批判』第一部の構成について
  「美的」ならびに「適意」という訳語について

第I章 美の無関心性
  A 美しいものの分析論――質に即して(第一―五節)
    1 美的判断の一般的特質(第一節)
    2 〈美の無関心性〉説について(第二節)
    3 「美しいもの」と「快適なもの」「善いもの」との対比(第三節―五節)
  B カント『判断力批判』前史
    1 バウムガルテンによる「美学」の定義
    2 『判断力批判』における「美学」の不在
    3 『純粋理性批判』におけるÄsthetik
    4 『実践理性批判』におけるÄsthetik
    5 メンデルスゾーンによる刷新
  C 実践的無関心と美的関与
    1 仮象への関心(ハイデガー,シラー)
    2 日常生活と無関心(ショーペンハウアー)
    3 「視覚的無関心」あるいは「無感覚状態」(デュシャン)

第II章 趣味判断の普遍妥当性
  A 美しいものの分析論――量に即して(第六―九節)
    1 趣味の公共性(第六―七節)
    2 客観性と普遍性との関係(第八節)
    3 判定と快の感情の前後関係(第九節)
    4 認識諸能力の活動の美的意識と快(第九節)
  B 趣味の普遍性ならびに快の本性
    1 自然主義的趣味論のアポリア(バーク)
    2 「生きていることの感覚」と「快」(アリストテレス)
  C 二〇世紀の趣味論
    1 趣味の社会性(ブルデュー)
    2 趣味と理想的共同体(ガーダマー)

第III章 目的なき合目的性
  A 美しきものの分析論――関係に即して(第一〇―一七節)
    1 趣味判断を支える「合目的性の形式」ないし「目的なき合目的性」について(第一〇―一ニ節)
    2 魅力の排除と包摂(第一三―一四節)
    3 完全性と美との区分(第一五節)
    4 自由な美と附属する美(第一六節)
    5 美の理想(第一七節)
  B 美と合目的性
    1 有用性からの美の解放(バーク)
    2 目的と適合性の峻別(アダム・スミス)
  C 目的なき合目的性のゆくえ
    1 「なぜ」なき「とどまり」(ハイデガー)
    2 美的意識の抽象性(ガーダマー,ダントー,ウォールトン)

第IV章 趣味判断の範例性
  A 美しいものの分析――様相に即して(第一八―二二節)
    1 共通感官による判断の実例としての趣味判断(第一八―二二節)
    2 包摂の規則の不在(第三八節)
  B 範型・実例・模範
    1 paradeigmaとその二義性(プラトンおよびアリストテレス)
    2 exemplarとexemplum(ラテン中世から近世まで)
    3 範型の平準化(バウムガルテンおよびマイアー)
    4 規則と模範の峻別(三批判書公刊前のカント)
  C 範例性のゆくえ
    1 事例的歩行器とパレルゴン(デリダ)
    2 範例性の言語行為論的展開(ハーバーマース)

第V章 感性の制約と構想力の拡張
  A 崇高なものの分析論(第二三―二九節)
    1 「崇高なものの分析論」への導入(第二三―二四節)
    2 数学的崇高について(第二五―二七節)
    3 力学的崇高について(第二八―二九節)
  B 言語の崇高さから自然の崇高さへ
    1 想像力の快と偉大なもの(アディソン)
    2 無限性への喜悦に満ちた恐怖(バーク)
  C 崇高論のその後
    1 認識規則に背く自然としての世界史(シラー)
    2 最小なものから作動する崇高(リオタール)

第VI章 構想力と共通感官
  A 美的判断の演繹論(第三〇―四〇節)
    1 把捉と感性化の能力としての構想力(第三五節ならびに『純粋理性批判』「演繹論」)
    2 共通感官(第四〇節)
  B 共通感覚論の系譜
    1 〈諸感覚に共通のもの〉〈諸感覚を跨ぐ感覚〉〈感覚の感覚〉(アリストテレス『魂について』)
    2 〈他者の存在の感覚〉(アリストテレス『ニコマコス倫理学』)
    3 カントにおける共通感官の問題圏
  C 二〇世紀の共通感覚論
    1 実在性の感覚としての共通感覚(アーレント)
    2 共通感官の発生(ドゥル-ズ)

第VII章 美しいものから道徳的なものへ
  A 美しいものへの関心(第四一―四二節)
    1 美しいものへの経験的関心(第四一節,第六〇節)
    2 美しいものへの知性的関心(第四二節
  B 社交人・未開人・隠遁者
    1 イロクォイ人と〈高貴なる未開人〉
    2 ロビンソン・クルーソーと〈隠遁者〉
  C 自然の暗号文字
    1 精神のオデュッセイアとしての自然(シェリング)
    2 自然のロマン化(ノヴァーリス)
    3 自然の観相学(ゲルノート・ベーメ)

第VIII章 「美しい技術」としての芸術
  A 美術論(その一)(第四三―四八節)
    1 技術と芸術(第四三―四四節)
    2 自然のように見える芸術――制作論的視点から(第四五節)
    3 天才の技術としての芸術(第四六―四七節)
    4 芸術と進歩(第四七―四八節)
  B 芸術の誕生
    1 技術とハビトゥス(アリストテレス,ダランベール)
    2 自然のように見える技術・技術のように見える自然(伝ロンギノス,アディソン)
  C 範例的独創性
    1 最後のホメロス(シェリング)
    2 歴史への呼びかけ(メルロ=ポンティ)

第IX章 「美的理念」と芸術ジャンル論
  A 芸術論(そのニ)(第四九―五三節)
    1 美的理念の表現としての美(第四九節)
    2 芸術のジャンル(第五一―五三節)
  B ライプニッツ的感性論の系譜
    1 微小表象(ライプニッツ)
    2 含蓄のある表象(バウムガルテン,マイアー)
    3 魂の諸力の調和的活動(メンデルスゾーン)
  C カント的芸術論のゆくえ
    1 形式主義から唯名論へ(グリンバーグ,ド・デューヴ)
    2 質料的なメタ美学(ドゥルーズ)

第X章 美しいものと超感性的なもの
  A 美的判断力の弁証法(第五五―五九節)
    1 二律背反の提示(第五六節)
    2 二律背反の解消(第五七節)
    3 自然の合目的性と美(第五七節,序論第五・九節)
    4 道徳性の象徴としての美について(第五九節)
  B 認識・感情・欲求
    1 無関心性と快不快(バウムガルテン,マイアー)
    2 認識と生命(バウムガルテン,マイアー,メンデルスゾーン)
  C 美的なものと生
    1 美的生と過剰(シラー)
    2 芸術の美的体制における生と芸術(ランシエ-ル)

あとがき
用語解説
読書案内


Aesthetics
Tanehisa OTABE


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