京都大学学術出版会

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設 立  1989年(平成元)年7月
組 織  一般社団法人
会 長  松本  紘(京都大学総長)
理事長  檜山為次郎(京都大学名誉教授)
副理事長 末原 達郎(農学研究科教授)
     他、理事計15名
     監事2名
専務理事・編集長  鈴木哲也
職員   12名

〈やや長い助走期から整備期へ〉

 大学出版部としては比較的遅く誕生した小会の歴史は18年に満たない。しかし、すでに2つの時期に区分できるほど、この間の変化は著しかった。設立から 1996年前半期までがその第一期にあたる。この時期は、大学設置基準大綱化(91年)を挟む、いわば国立大学改革の序章と重なっている。だが率直に言ってこの間の小会は運営面・態勢面で弱点を抱え、学術成果の旺盛な公開という大学院重点化に伴う強い要請に、十分応えることができなかった。企画面では、後の刊行物の柱になるいくつかのシリーズが準備される等、意義ある取り組みがなされたが、全体としては、刊行点数・売上共に低水準に終始した、いわば長い助走期として振り返るべきであろう。
 こうした状況は、1996年後半期からの取り組みによって急速に改善された。企画審査、編集・制作、販売管理、経営管理のすべての面で基準とシステムが整備され、学内の研究成果を広く募集しつつ、懸案であったいくつかのシリーズ企画を立ち上げることで、水準を低下させることなく、刊行点数を急速に引き上げた。96年には11点に過ぎなかった年間刊行点数は、翌年には倍化、2000年には3倍化し、現在では、年間40点強を刊行するに至っている。また、豪州の学術出版社と提携することで十分な校閲態勢と販売チャンネルをもった英文書の刊行システムを確立し、現在、最も積極的に英文書を刊行している出版部として注目されていることも特筆すべきであろう。
 それに応じて売上も順調に伸び、こちらの指標では五倍化した。周知のように、この時期書籍取次店が連続して倒産し、特に鈴木書店の倒産では小会も少なからぬ損失を被ったが、幸い、短期間にその損失を解消することができた。また、出版助成制度の積極的活用に加え、いくつかの売上良好書目にも恵まれたことで、急速な拡大に必然的に伴う資金繰り面での苦しさも、なんとか乗り越えることができた。結果的に、この6年で小会は大学出版部らしく整備されたと言える。

〈大学改革に呼応した充実を目指して〉

 2003年小会は5ヵ年中期計画を策定し、国立大学法人化に伴う改革の中で、より大きな役割を果たすべく取り組みを始めている。中心的には、(1)COEをはじめとする大型研究を基礎にした研究書群の充実等、研究成果の公開に引き続き取り組むと同時に、(2)これまで比較的弱かった学部学生〜一般読書人を対象にした、教養・啓蒙書の性格を持ったシリーズを立ち上げる、(3)そうした中で、工学・法経・生命科学等の書目を増やし、書目構成を充実させ、京都大学全体の成果公開組織らしく一層の拡大を図る、等である。また、英文書刊行システムをさらに整備することに加え、マルチメディア等の新技術を活用した成果公開に取り組む等、新しい事業分野では我が国の学術出版界を牽引する力量もつけたいと考えている。そのための態勢・財政を充実させ、懸案であった法人化を実現し、総じて、名実共に京都大学の出版部に相応しい規模を実現する計画である。

〈代表的書目分野〉

 現在小会は、西洋古典学、地域研究、東洋史学、生態学の分野で逐次刊行のシリーズをもち、関連書目と併せ、小会を印象づける書目群を構成している。また最近は、自然科学の領域への多面的展開に取り組んでいる。『生態学』、『科学論文の英語用法百科』が大きな話題を呼んだのがその転期となった。さらに 2005年度からは、心理学、諸文明の起源等のテーマを皮切りに、研究者以外にも役立つシリーズ『学術選書』を刊行する等、今後、数学、エネルギー科学、歴史、法経分野等、一段と広い領域で、まとまった書目群を創出する計画である。

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