大学出版部協会

 

ソーシャルワーク実習

ソーシャルワーク実習

B5判 204ページ 並製
定価:1,700円+税
ISBN978-4-924297-76-0 C2036
奥付の初版発行年月:2013年03月

出版部から一言

「実践なくして理論の検証はできない」。大正7年(1918)の社会事業研究室創設以来の基本理念である。これをうけ継ぐ本学社会福祉学科がソーシャルワーカーを目指す学生におくるテキストの決定版。福祉領域の学術トレンドを踏まえたうえで、事前学習・事後学習の意義や計画書・実習ノートの記入例など、何故それが必要なのかを説いた後に具体的な方法を示す。現場からの声もコラムとして収録。

前書きなど

大正大学人間学部社会福祉学科は、大正大学の前身にあたる宗教大学社会事業研究室の開室から数えて、2013(平成25)年に95周年を迎える。日本で随一の歴史をもつ社会福祉学科である。この『ソーシャルワーク実習テキスト』は社会福祉学科設立95周年を記念しての出版である。
 大正大学社会福祉学科は、これまで首尾一貫して現場で即戦力になるソーシャルワーカーの養成を目指してきた。ただ単に教養として、社会福祉を学ぶのではなく、社会福祉の現場で社会福祉援助者として働こうという、「現場指向型」の実践者の養成を目指してきた。こういった実践力を身につけるために重視してきたのが、実習教育である。
 2008(平成19)年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正に伴う、社会福祉士養成カリキュラムの大幅な見直しにおいても、実習演習科目の改善が大きな焦点となった。「相談援助実習」に限っていえば主に次のような改正がなされた。
・実習を担当する教員の員数が学生20人につき1人以上に規定された
・実習を担当する教員の要件が改善された
・実習中に実習担当教員による巡回指導を少なくとも週1回以上おこなうことが規定された
・相談援助実習の実習総時間数は180時間とこれまで通り変わらないが、相談援助実習の一連の過程を網羅的かつ集中的に学習できるよう、一つの実習施設において120時間以上の実習をおこなうことが規定された
・実習施設・機関の実習指導者について、社会福祉士の資格取得後3年以上相談援助業務に従事した経験を有する者であって、社会福祉士実習指導者講習会の課程を修了した者であることとの規定が加わった
 大正大学では、国の社会福祉士養成カリキュラムがこのように改正される前から、その主だった部分については既にスタンダードになっていたのである。例えば、1クラス20人以下の構成や、実習担当教員については現場の経験があり、社会福祉士・精神保健福祉士の有資格者が中心となって指導にあたっており、施設実習指導者についても、主だった実習施設・機関に大正大学が独自に委嘱した「実習指導講師」を配する等して、実習先と大学双方の連携協力による実習教育に努めてきた経過がある。
 一方で、大正大学の実習形態はこれまで、「フィールドワーク」と呼んできた大正大学独自の1週間実習を2年次に履修したうえに、3年次4年次と90時間ずつの資格実習を積み重ねて履修する「先修制」を採用してきた。学生は3回の実習体験に加え、その間に実習担当教員がきめ細かく指導することで、学生自身の現場指向性を醸成し高めるとともに、自らの志を次第に明確化し、社会福祉現場で働くソーシャルワーカーの養成に努めてきたのである。
 このような大正大学独自の実習形態のよさを活かすべく、新カリキュラムでは、2年次に1週間の入門実習を履修した後、3年次には3週間の本実習をおこなうことで180時間の実習を完成させる形にした。180時間を一つの実習先で実習するのと比べると倍以上の手間がかかるが、このような手数をかけながら、現場指向型のソーシャルワーカーの養成に努めてきたのが大正大学なのである。
 このような実習を重視して長年取り組んできた大正大学の、ソーシャルワーク実習教育の集大成として企画されたのが本書である。読者にとってこのテキストが、実践力のある有能なソーシャルワーカーになるための一助になることを願ってやまない。

2013年4月1日
大正大学人間学部社会福祉学科


目次

発刊にあたって
第1章 ソーシャルワーカーをめざして
第1節 ボランティアからソーシャルワーカーへ
  1 地域社会における社会福祉実践の課題
  2 ソーシャルワーク実践から理論化への歩み
  3 ボランティアとソーシャルワーカーの位置づけ
第2節 ソーシャルワーカー国家資格への歩み
  1 社会福祉主事から多様な福祉専門職の展開
  2 社会福祉士制度と精神保健福祉士制度の成立と歩み
  3 ソーシャルワーカーと関係職種の位置づけ
第3節 社会福祉士と精神保健福祉士の役割
  1 社会福祉士の仕事
  2 社会福祉士の職場
  3 精神保健福祉士の仕事
  4 精神保健福祉士の職場
第4節 ソーシャルワーカーに求められる役割
  1 社会福祉士の役割 
  2 精神保健福祉士の役割
  3 社会福祉士と精神保健福祉士への期待
第2章 ソーシャルワーカー養成カリキュラムにおける
実習の位置づけ
第1節 相談援助実習の位置づけ
  1 社会福祉士養成カリキュラムの改正
  2 精神保健福祉士養成カリキュラムの改正
第2節 国のシラバスと3段階実習プログラムの考え方
  1 国の定める教育内容
  2 3段階実習プログラムの考え方
第3章 ソーシャルワーク実習の意義とその概要
第1節 ソーシャルワーク実習の意義
  1 本学における社会福祉教育の理念
  2 社会事業研究室開設と歴史的展開
  3 本学科におけるソーシャルワーク実習の方針
第2節 ソーシャルワーク実習の概要
  1 ソーシャルワーク実習の学習システム
  2 1年次の学習について
  3 2年次の資格実習について
  4 3年次の資格実習について
  5 4年次の学習と実習について
  6 精神保健福祉士の資格実習について
第4章 実習の基本的姿勢と留意点
第1節 実習を成り立たせているもの
  1 理論と実践の往復は実習教育に始まる
  2 大学の代表選手として臨む実習
  3 様々な人の協力で成り立つ実習
第2節 実習生が守るべき義務と心得
  1 福祉現場を重視する態度
  2 他者に知られたくない秘密を守る
  3 出会った人々を大切にすることから始まる人権の尊重
  4 自己管理(セルフ・コントロール)ができている状態を保つ
第3節 実習に関する留意点
  1 実習前の留意点
  2 実習中の留意点
  3 実習後の留意点
第4節 実習契約と事務手続き
  1 実習は実習施設・機関と大学の契約に基づいて実施される
  2 実習中の万一の事故に備える(健康診断・傷害保険)
コラム 実習指導講師から一言
    児童養護施設で実習をされる皆さんへ         石田 芳朗
    大学における実習経験が将来の糧に!         小野 文人
第5章 実習の事前学習
第1節 事前学習の意義
第2節 対象理解(彼を知る)
  1 ジェネラリスト・ソーシャルワークの視点
  2 施設やサービスが規定されている制度(マクロレベル)
  3 実習先の機関機能や実習機関がある地域を知る(メゾレベル)
  4 実習先の利用者とそこで行われている支援(ミクロレベル)
第3節 自己覚知(己を知る)
  1 自らを知るとは
  2 Motivation:動機
  3 Capacity:能力
第4節 ソーシャルワークの基盤
第5節 まとめ
コラム 実習指導講師から一言
    実習にあたって、皆さんに考えていただきたいこと   工藤 正樹
    障害のある人が「お師匠さん」            三石 麻友美
第6章 実習計画書の作成について
第1節 実習計画書の意義
  1 主体的な学びのための実習計画書
  2 実習プログラムを望ましいものにするために
  3 日々の実習を振り返り、改善点を知る
  4 実習計画作成は援助計画作成の基礎を学ぶことにつながる
第2節 実習計画書の作成と活用方法
  1 アセスメント(情報収集と分析)
  2 実習目標の設定
  3 具体的な課題の設定
  4 計画の実行とモニタリング
  5 日々の目標の取り組み方
  6 計画の終了と実習の評価
第3節 実習計画書の実例
  1 ソーシャルワーク実習Ⅰ(1週間実習)の実習計画書の実例
  2 ソーシャルワーク実習Ⅱ(3週間)の実習計画書の実例
第7章 実習オリエンテーション(実習事前訪問)
第1節 実習オリエンテーションの意義
  1 実習オリエンテーションの時期
  2 実習指導者とはじめて会う機会である
  3 実習指導者と実習に必要な事項を確認する機会である
第2節 実習オリエンテーションでの確認事項
  1 実習指導者およびその他の学習担当者の確認
  2 実習期間(実習時間数・実習日数・帰校日)の確認
  3 実習費用、食費、その他の経費についての確認
  4 実習形式の確認(宿泊型、通勤型)
  5 実習初日の出勤日や集合場所等の確認
  6 実習開始までに準備することの確認
第3節 実習オリエンテーションでの留意点
  1 あいさつ
  2 話を聴く態度
  3 服装や身だしなみ
  4 礼儀
第4節 実習施設・機関の地域性への理解
第8章 実習ノートの書き方
第1節 記録の意義
  1 はじめに
  2 実習記録の意義
第2節 実習ノートの留意点と書き方
  1 実習ノートに関する留意点
  2 実習ノートの書き方
第3節 場面の再構成の書き方
  1 実習記録との違い
  2 具体的な書き方
第4節 実習のまとめの書き方
  1 実習のまとめの書き方
  2 実習終了レポートの書き方
第9章 配属実習
第1節 配属実習の留意点
第2節 職員や利用者と円滑な人間関係を形成する
  1 実習生が感じる不安
  2 ボランティアや入門実習の体験を活かす
  3 実習生としてかかわれる限度を知る
  4 十分な事前学習をおこなう
第3節 実習計画の修正と変更
第4節 配属実習での学びを深めるために
  1 寄り添う支援の大切さ
  2 ソーシャルワークの過程を理解する
第5節 スーパービジョンを活用する
  1 施設実習指導者のスーパービジョンを受ける
  2 実習指導教員のスーパービジョンを活用する
第10章 個別支援計画の基礎と立案
第1節 アセスメントの実施とプランニング
第2節 個別支援計画の立案と実習プログラム例
1 高齢者領域におけるプランニングとその例
2 障害者領域におけるプランニングとその例
3 児童家庭領域におけるプランニングとその例
第11章 実習スーパービジョン
第1節 ソーシャルワーク・スーパービジョン
  1 ソーシャルワーク・スーパービジョンの意義
  2 スーパービジョンと実習スーパービジョンの位置
  3 実習スーパービジョンの機能と役割
  4 実習スーパービジョンの展開と焦点
第2節 実習スーパービジョンの仕組み
  1 自己理解(自己覚知)と実習スーパービジョン
  2 利用者理解と実習スーパービジョン
  3 施設・機関の機能とスーパービジョン
  4 福祉専門職とスーパービジョン
第3節 実習指導者と実習教員の役割
  1 実習指導教員のスーパービジョン
  2 実習指導職員のスーパービジョン
  3 職員と教員の相互スーパービジョン
  4 実習スーパービジョンの留意点
第4節 実習教育と実習スーパービジョンの展開
  1 実習教育と実習スーパービジョンの概要
  2 実習巡回とスーパービジョン
  3 帰校日とスーパービジョン
  4 実習後の評価におけるスーパービジョン
第12章 実習の事後学習
第1節 事後学習の流れと事務手続き
  1 事後学習の進め方
  2 提出書類の準備
  3 事務手続きと留意点
第2節 実習終了レポートの書き方
  1 実習終了レポートを書くにあたって
  2 何のために書くか、何を書くか
第3節 実習報告会の意義と準備
  1 実習報告会の実施と準備
  2 実習報告書の作成の留意点
  3 事例
第4節 実習の評価
  1 「評価」という実習体験
  2 自分自身と向き合う先に
第13章 実習場面の再構成をもちいた実習の振り返り
第1節 実習の体験を語る
  1 場面再構成をもちいて実習を振り返る意義
  2 実習体験を語る意味
第2節 振り返りの実際
  1 具体的な進め方
  2 「場面再構成」の実際例
第14章 インターンシップと専門実習
第1節 インターンシップの意義と目的
  1 インターンシップと専門実習
  2 インターンシップの種類
  3 インターンシップの意義
  4 インターンシップの目的
第2節 実施上の留意点
  1 社会人としての自覚をもった行動を心がける
  2 働くことの責任を意識する
  3 「自分にとって」を意識する
  4 問題や困難に直面したときは担当者に連絡する
第3節 計画書の作成
  1 インターンシップ計画書の書き方
  2 時期ごとの課題と活動
第4節 記録と報告書の作成
  1 記録の取り方
  2 報告書の書き方
第5節 専門実習
  1 スペシャリストを志向する
  2 専門実習を履修するにあたって
  3 スクールソーシャルワーク実習
  4 コミュニティーソーシャルワーク実習
  5 メディカルソーシャルワーク実習
第15章 社会福祉士・精神保健福祉士を目指して
第1節 実習を通して得た社会福祉士・精神保健福祉士像
第2節 ソーシャルワーカーの使命
第3節 今後の学習課題
参考資料


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。