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ジュディット・ゴーチエの自然と人間詩のジャポニスム

プリミエ・コレクション21
詩のジャポニスム ジュディット・ゴーチエの自然と人間

A5判 500ページ 上製
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-87698-229-5 C3398
奥付の初版発行年月:2012年07月 / 発売日:2012年07月上旬

内容紹介

ジャポニスム全盛のパリで西園寺公望が下訳し、ジュディット・ゴーチエが韻文訳した和歌翻訳集『蜻蛉集』(挿絵は山本芳翠)。東西文化の出会いはジュディットの自然観や文学に何をもたらしたのか。彼女の展覧会評や中国詩翻訳集『白玉詩書』、散文詩なども精読する。蜻蛉集所収和歌の仏語全文と和訳、白玉詩書・散文詩の和訳も収録。

第30回(2013年度) 渋沢・クローデル賞 受賞

著者プロフィール

吉川 順子(ヨシカワ ジュンコ)

1977年生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒業。フランス・ストラスブール第二大学文学研究科DEA課程修了。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。京都大学文学博士(2011年)。現在、同志社大学非常勤講師。専門は、19世紀フランス文学、日仏文化交流史。主な著作に、« L’évolution des idées sur la danse chez Théophile Gautier »(Études de langue et littérature françaises, no 84, 2004)、「『蜻蛉集』における実りと萌芽―和歌とフランス詩の接点」(宇佐美斉編『日仏交感の近代』、京都大学学術出版会、2006年)、« Le Livre de Jade de Judith Gautier, traduction de poèmes chinois―le rapport avec sa création du poème en prose »(Études de langue et littérature françaises, no 96, 2010)、« Poèmes de la libellule de Judith Gautier―un cas d’interprétation du Japon à l’époque des Goncourt »(Cahiers Edmond et Jules de Goncourt, no 18, 2011)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口絵

はじめに―『蜻蛉集』という一冊の本から

【研究篇】

序 章 文学を通じた東西の出会いを夢みて
   女流作家ジュディット・ゴーチエ
   ジュディット・ゴーチエの生涯
   東洋趣味に彩られた著作
   ジュディット・ゴーチエ研究と『蜻蛉集』
   本書の構成

第一章 書評・美術批評・音楽批評―ジュディットと自然
 一 執筆活動初期の書評
   フローリク『主の祈り』とフィギエ『大地と海』
   ボードレールの翻訳によるポー『ユリイカ』
 二 一八六〇・七〇年代の美術批評
   国民美術協会展―自然というモチーフの変奏
   一八六四年の官展(彫刻部門)―芸術家の魂を通した作品
   一八六五年の官展―風景画の詩情と生気
   一八六六年の官展―バルビゾン派礼賛
   一八七六年の官展―自然の特別な美
 三 一八七〇年前後の音楽批評
   バーデン劇場、『ローエングリン』―無限旋律による本質の表現
   リヒャルト・ワーグナーと批評家―森の震えのごとき音楽
   ミュンヘン劇場、『ラインの黄金』―声を与えられた自然
 コラム1 ♪「秘密を明かすガット弦」

第二章 中国詩翻訳集『白玉詩書』と散文詩―翻訳と創作
 一 これまでの『白玉詩書』研究
   ジュディットと中国詩
   『白玉詩書』以前の中国詩翻訳
   二つのアプローチ―比較文学研究と散文詩研究
   ジュディット研究としての課題
 二 ジュディットと散文詩の流行
   『白玉詩書』出版直後の評価
   散文詩流行の立役者とジュディット
   当時のジュディットの詩観
   『白玉詩書』の散文訳―当時の散文詩との比較
 三 『白玉詩書』の成立過程
   原詩の調査―翻訳の非忠実性をめぐって
   プレオリジナルから『白玉詩書』に至るまで
   プレオリジナルへの加筆〈文体と構造〉―散文詩的な創作性
 四 『白玉詩書』の散文訳から散文詩の創作へ
   七つの章の主題
   プレオリジナルへの加筆〈内容〉―もう一つの主題
   頻出するアナロジー―地上のただ一つの法則
   散文詩作品群の形式と主題―宇宙に融け込む人間
 コラム2 ♪『白玉詩書』をメロディにのせて

第三章 和歌翻訳集『蜻蛉集』―詩のジャポニスム
 一 これまでの『蜻蛉集』研究
   西園寺公望伝で語られた『蜻蛉集』
   山本芳翠の挿絵からみた『蜻蛉集』
   ジュディット・ゴーチエの作品として―訳詩へのアプローチ
 二 『蜻蛉集』制作の背景
   ジュディットと極東
   『蜻蛉集』以前の和歌翻訳
   韻文訳の着想―極東の短詩に対する詩人たちの興味
   ジュディット・西園寺・山本の出会い
 三 作品としての『蜻蛉集』
   「トンボの詩篇」という書名
   挿絵のなかにひそむ詩
   選ばれた和歌〈出典〉―仮名序に始まる八代集歌
   選ばれた和歌〈主題〉―詩の比喩としての花
 四 『蜻蛉集』の翻訳手法
   和歌の韻律による韻文訳
   ジュディット訳の文体―声高な詩
   自然に語りかける詩
   翻訳に込められた主張―自然から教えられる
 コラム3 ♪詩人と音楽の幸せ

結 び 自然と人間をめぐりながら
    ジュディット・ゴーチエにおける東西の出会い
    詩のジャポニスムの実り

主要参考文献
あとがき
索引


【訳詩篇】

『蜻蛉集』Poëmes de la libellule
   献辞/序文/訳詩/付記 

『白玉詩書』Le Livre de Jade
   献辞/恋人たち/月/秋/旅人たち
   酒/戦/詩人たち

散文詩作品群Poëmes en prose


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