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 INF問題と西側の結束 1981-1987米ソ核軍縮交渉と日本外交

米ソ核軍縮交渉と日本外交 INF問題と西側の結束 1981-1987

A5判 522ページ 上製
定価:7,500円+税
ISBN978-4-8329-6818-9 C3031
奥付の初版発行年月:2016年02月 / 発売日:2016年02月中旬

内容紹介

米ソ間の中距離核戦力(INF)削減交渉に対し,中曽根内閣がとった外交政策や交渉妥結の方向が規定されるまでの過程を明らかにする。首脳外交の裏側で,首相以外の閣僚や外交当局者がアジア部のSS-20問題についてどのように考え,対応を検討したのか。日米間の核軍縮に関する生産的協議を可能にさせた当時の国際情勢や時代背景はどのようなものであったのか。一次資料の解析と当事者証言の分析に基づいて,当時の外務省と防衛庁の問題認識を含め,日本政府のSS-20に関する政策形成過程を検討し,その全体像を描き出す。本書は,米国が日本に提供し続ける拡大抑止の信頼性をどのように維持していくのかという戦略問題を考察する上でも,重要な歴史研究であるといえる。

著者プロフィール

瀬川 高央(セガワ タカオ)

1977年札幌市生まれ。
北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)
専攻:外交史、安全保障論

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

略語一覧  
序 章 本書の課題と構成
本書の主題/日本の論壇におけるINF問題/INF交渉に関する戦略的考察/INF全廃と日本の安全保障/INF削減交渉の外交史的研究/本書の課題と構成

第一章 中距離核戦力(INF)削減交渉の開始
一 アジア部のINF問題  
SS-20の実戦配備/アジア部SS-20配備の背景/NATOの二重決定/INF削減交渉とSTARTの開始/「森の中の散歩案」/政治的兵器としてのSS-20/鈴木首相の認識/櫻内外相の立場/鈴木内閣期─事務レベルの対応/歴代首相の問題認識/防衛庁の認識
二 中曽根内閣によるINF問題への対応  
中曽根内閣の成立/アンドロポフ構想─SS-20の極東移転案/ルンスNATO事務総長との協議/西欧諸国との連携/ゼロ・オプションをめぐる認識相違/暫定協定に関する日米協議/外務省による対応策の検討/外務省の「試論」/政治=事務レベル間の認識相違─「極東移転」と「極東既配備」/レーガン大統領の交渉戦略/中曽根=レーガン書簡─極東移転の否定/日米INF協議と暫定協定案公表/グロムイコ外相の回答/西側の結束に向けて/ソ連の対日圧力戦術─ハートマン駐ソ連米国大使の見解
三 ウィリアムズバーグ・サミット─西側安全保障の不可分  
村田経済局長によるサミット基本戦略/サミット個別会談─西側結束の立証/ミッテラン大統領との初会談/晩餐会での激論/再浮上したINF暫定協定案/東西外交の展開/東側結束の切り崩しを試みる日本/防衛庁における認識の変化/大韓航空機撃墜事件─国連安保理における攻防/INF交渉の継続/日独「東京声明」/米加首脳の訪日─グローバル・ゼロの確認/日中軍事情報交換の実質化/一九八三年の軍縮外交の意義

第二章 米ソ軍備管理交渉の中断と再開
一 米ソ軍備管理交渉の停滞  
INF交渉の中断/交渉再開努力の失敗/米ソの思惑/東西欧州の関心/中曽根内閣の側面協力/日米間の対ソ共同歩調/チェルネンコ書記長就任と安倍外相訪ソ
二 西側の対ソ共同歩調  
中曽根首相訪中とソ連の反応/レーガン大統領訪中と米中戦略対話/日欧の対ソ共同歩調/ロンドン・サミット/サミットの政治色をめぐって/ロンドン民主主義宣言/包括的核実験禁止のための提案─ステップ・バイ・ステップ方式/日米政策企画協議
三 米ソ関係改善の模索  
宇宙兵器禁止交渉/衛星攻撃兵器(ASAT)相互完全廃棄の狙い/ASAT禁止交渉に的を絞るソ連/ホワイトハウスの「条件付き受諾」/宇宙兵器禁止交渉に対するレーガン政権内の不一致/ウィーン交渉の挫折/ソ連のロサンゼルス五輪ボイコット/レーガン=グロムイコ会談/レーガン大統領再選/新デタント到来への期待/西側結束の信頼性強化とソ連の孤立

第三章 戦略防衛構想(SDI)と日本
一 米ソ軍備管理交渉の再開  
レーガン大統領再選後の課題設定/ロサンゼルスでの日米首脳会談─SDI研究参加への布石/日本の軍縮外交に対する米側の見方/日欧間の軍縮問題協議/ゴルバチョフ書記長就任/中曽根=ゴルバチョフ会談
二 SDI推進による西側結束の補完  
西欧INF配備の進展/協力合意なきSDI研究への参加/SDI研究への「理解」を貫く日本/技術供与を求める米国/ソ連の不安/日・西独間の認識一致/SDI五原則/レーガン=ミッテラン会談/ボン・サミット政治宣言/先送りされたSDI協力合意/ミッテラン大統領の不満/SDI研究「理解」の本質/SDI実験の加速/米議会のSDI予算承認と対日協力要請/西側諸国の動向─ユーレカとの両立
三 核・宇宙交渉(NST)開始後の米ソ対立  
暗礁に乗り上げたNST/NSTを阻むSDI/レーガン=ゴルバチョフ書簡─防御兵器の概念をめぐって/応酬の原因/シェワルナゼ外相の就任─ソ連の外交理念の変化
四 ジュネーブ米ソ首脳会談への道のり  
日仏首脳の対ソ観/日仏間の対米認識/第一次SDI調査団の米国派遣/強気姿勢の中の苦悶/第五回日ソ事務レベル協議/ソ連提案に対するレーガン大統領の反応/ニューヨーク・サミット/ジュネーブ米ソ首脳会談
五 西側諸国のSDI研究参加  
英国・西独のSDI参加決定/第二次および第三次SDI調査団の米国派遣/SDI関係閣僚会議/SDI研究参加方針の決定/日米SDI協定交渉/SDI研究参加の政治的意味

第四章 米ソ妥結案を拒否した日本
一 ソ連の核廃絶提案と日本のINF削減案  
米ソ首脳によるメッセージ交換/ゴルバチョフの核兵器廃絶提案/レーガン政権の対ソ妥結案を拒否した日本/日米協議の成功
二 SS-20削減をめぐる米ソの緊張  
SS-20移転を拒むソ連/キャンプ・デービッドでの日米首脳会談/東京サミット─影を落としたリビア問題/米国によるSALT―Ⅱ遵守の破棄/日ソ外相協議/ゴルバチョフの平和攻勢/SDI計画の頓挫/核軍縮交渉での譲歩/ウラジオストック演説/日ソ関係の停滞/米ソ実務協議の成果 三 レイキャビク米ソ首脳会談─暫定合意に向けて  ゴルバチョフ書記長の譲歩/ゴルバチョフ訪日の可能性/米ソ首脳会談への期待/レイキャビク米ソ首脳会談/ラウニー顧問とカピッツァ外務次官の訪日/キャリントンNATO事務総長との接触/暫定合意を可能にした日本の提案

第五章 INF交渉の妥結
一 中曽根首相の北欧・東欧諸国訪問  
北欧・東欧諸国訪問の背景/ホーネッカー議長との会談─レイキャビク会談の評価/均衡に立脚した核軍縮/ベオグラード大学での講演─平和と軍縮への献言/ヤルゼルスキ議長との会談─宇宙軍事化への反発/米国のINF削減方針─日本案の採用
二 ゴルバチョフ書記長のパッケージ解除  
ABM条約の再解釈問題/パッケージ解除の背景/西側の反応とINF交渉の会期延長/INF条約草案/米ソの利害と打算/INFと短距離核戦力(SNF)の同時削減/西欧の困惑と再結束
三 短射程中距離核戦力(SRINF)削減への対応  
シュルツ=ゴルバチョフ会談/NATO閣僚会議/INF全廃への不安/パーシング・のSRINF換装問題/パーシングⅠaの近代化計画/西欧諸国のコンセンサス形成
四 ベネチア・サミット  
日米首脳のサミット基本方針/コール首相の政府声明─パーシングⅠaを交渉の外へ/ベネチア・サミット開幕/SRINFをめぐる激論/東西関係に関する声明/NATOのダブル・ゼロ受諾とNSDD-278/アラスカ州へのINF配備支持/均衡に立脚した核軍縮の戦略的重要性─性急な核廃絶への懸念
五 INF条約の調印  
ソ連のグローバル・ダブル・ゼロ提案/グローバル・ダブル・ゼロへの反応/パーシングⅠa近代化問題の再燃/パーシングⅠa近代化の放棄/米側の歓迎とソ連の反発/米ソ外相会談─INF基本合意/INF基本合意の歓迎/GLCM配備中止と対ソ強硬派の失脚/ロン・ヤス憲章/INF交渉の総仕上げ/シェワルナゼ外相訪米─ソ連の譲歩/中曽根=レーガン書簡─INF全廃実現への祝意/外務省によるINF条約の評価/INF条約の調印/核軍縮をめぐる日米協力の意義

終 章 核軍縮交渉に関する側面協力をめぐって
参考文献  
あとがき  
人名索引  
事項索引  


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