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北海道・緑の環境史

北海道・緑の環境史

A5判 428ページ
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-8329-6677-2 C3025
奥付の初版発行年月:2008年04月 / 発売日:2008年04月下旬

内容紹介

この自然、残せるか? 長らく北海道自然保護協会会長を務めた著者が,自らの体験を踏まえ,北海道の自然の象徴である「緑の環境」がどのような特徴をもち,19世紀後半から20世紀の間に,いかに開発され,どう守られてきたのかをまとめた,渾身のライフワーク。

著者プロフィール

俵 浩三(タワラ ヒロミ)

1930年 東京生ま
1953年 千葉大学園芸学部卒業
1953〜1983年 厚生省国立公園部,北海道林務部,北海道生活環境部に勤務し,自然公園・環境行政に従事
1983〜2001年 専修大学北海道短期大学教授,造園林学科で造園学を担当
1984〜2008年 (社)北海道自然保護協会理事(1994〜2004年会長)
現在 専修大学北海道短期大学名誉教授,学術博士
著書 牧野植物図鑑の謎(平凡社新書,1999)
    緑の文化史—自然と人間のかかわりを考える(北海道大学図書刊行会,1991)
    北海道の自然保護—その歴史と思想(北海道大学図書刊行会,1979)
    北海道の自然美を訪ねて(山と渓谷社,1963年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 「緑の環境史」は北海道を考える原点
第一章 緑の環境情報・蝦夷から北海道へ
一 蝦夷地の自然
 1 松前から伝わる自然情報
 2 蝦夷の奥地への関心と調査
 3 松浦武四郎の偉大な足跡
二 函館開港時の外国人による自然調査
 1 ペリーの黒船による動植物調査
 2 函館で植物を調査したマクシモヴィッチ
 3 ブラキストンが動物分布境界線を提唱
第二章 北海道開拓の光と影
一 北海道にアメリカを見たお雇い外国人
 1 ケプロンは植物から北海道の風土を判断
 2 クラーク博士の森林観
 3 アメリカの野牛と北海道のシカ
 4 オオカミを殺し尽くすため
二 開拓の進展と土地の荒廃
 1 明治の国策として北海道を開く
 2 荒っぽい開拓の仕方とその反省
 3 北海道の農産物──百年の変遷
第三章 森林資源の利用と管理
一 北方林の位置づけを探った先人たち
 1 森林植物調査の先駆者、田中壌
 2 本多静六の森林植物帯区分
 3 吉良竜夫が「暖かさの指数」を提唱
 4 舘脇操が「北海道は移行帯」と提唱
二 北海道の林業──百年の軌跡
 1 北海道の国有林・道有林などの成立
 2 天然資源を掠奪的に利用した開拓期の林業
 3 育てる林業への転換、そして拡大造林へ
 4 新たな森林施業、そして赤字経営
 5 「国民の森林」に脱皮
第四章 都市林の保全と公園づくりの原点
一 身近な森林の公益的機能を自覚
二 都市公園の事始め
 1 北海道の公園はゼロからの出発
 2 明治初期に住民がつくった函館公園
 3 開拓時代の町づくりと公園──名寄公園など
 4 札幌都心部の公園は明治の遺産
 5 原野の都市──旭川と帯広の公園
 6 港湾都市──小樽と釧路の公園
 7 惜しくも消滅した公園
 8 公園の温故知新に学ぶこと
第五章 優れた自然環境の保全
一 天然記念物などの保護
二 自然公園の保護と利用
 1 国立公園と道立公園の成立
  (1) 石狩川上流を「国立公園」に
  (2) 大沼が第一号の道立公園へ
  (3) 国立公園の一六候補地と阿寒・大雪山
  (4) 利用重視で選ばれた支笏洞爺
  (5) 一八景勝地の選定とその発展
  (6) 原始的自然を守る知床国立公園
  (7) サロベツと釧路湿原はウェットランド
 2 国立公園の保護開発と北海道の国立公園の可能性
  (1) 国立公園の保護と開発への期待
  (2) 地域制公園と営造物公園
  (3) 営造物公園に近づける北海道の国立公園
第六章 「民唱官随」で前進する自然保護
一 北海道自然保護協会四〇年の足跡
二 知床の森林伐採問題から世界自然遺産へ
三 バブルに踊ったリゾート開発と地域活性化の幻
四 三〇年前の価値観で迷走した士幌高原道路
五 工学的価値観だけで突きすすんだ千歳川放水路計画
六 日本一の原始境を分断しようとした日高横断道路
終 章 多様な価値観と自然保護



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