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科学的実在論を擁護する

科学的実在論を擁護する

A5判 356ページ 上製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-0801-3 C3010
奥付の初版発行年月:2015年01月 / 発売日:2015年02月下旬

内容紹介

科学的知識は信頼できるのか? 科学技術の負の側面は様々に指摘されるが、科学の営み自身は否定しにくい。ではそれはどう正当化されるのか。科学の核心にわだかまる問題を、諸説を見事に整理しつつ知識のあり方を捉え直すことで解決。新たなスタンディングポイントを示す渾身の書。


目次

序 章 科学的実在論論争とは何か —— 論争の原型
     1 科学的実在論論争とは何か
     2 科学的実在論論争の起源

  第Ⅰ部 論争はいかにして始まったか

第1章 還元主義と消去主義
     1 論理実証主義はいかに科学をモデル化したか
     2 還元的経験主義とその破綻
     3 消去的道具主義の栄光と没落
     4 結局、論理実証主義とは何であったのか

第2章 奇跡論法による実在論の復興
     1 実在論的展開と奇跡論法
     2 奇跡論法のいくつかのバージョン
     3 EDRへの批判とそれへの応答
     4 科学の成功を安上がりに 「説明する」 試み

第3章 悲観的帰納法による奇跡論法批判
     1 悲観的帰納法
     2 いくつかの事例の説明
     3 悲観的帰納法に抵抗する

第4章 ケーススタディ —— 熱素説
     1 熱理論史の概略 (1) —— 熱素説と熱運動説
     2 熱理論史の概略 (2) —— 熱力学の成立とエネルギー保存則
     3 熱素説は 「成功していたがラディカルに間違っていた理論」 なのか

第5章 構成的経験主義からの実在論批判
     1 不可知論的経験主義と観察・理論の区別
     2 洗練された不可知論的経験主義としての構成的経験主義
     3 構成的経験主義を批判する

第6章 決定不全性概念への反省
     1 デュエム・クワインのテーゼ
     2 決定不全性は反実在論の支えとなるか
     3 スタンフォードの 「新しい帰納法」 は新しいのか

  第Ⅱ部 論点は多様化し拡散する

第7章 対象実在論
     1 カートライトの 『物理法則はいかにして嘘をつくか』
     2 ハッキングの介入実在論
     3 対象実在論へのコメント

第8章 構造実在論
     1 構造実在論とは何か
     2 認識的構造実在論への批判
     3 存在的構造実在論
     4 存在的構造実在論への批判
     5 構造実在論はそもそも悲観的帰納法を回避できないのではないか

第9章 半実在論
     1 これまでの選択的懐疑論に対する不満と学ぶべき教訓
     2 構造とは何かを考え直す
     3 半実在論とはいかなる立場か
     4 半実在論と悲観的帰納法
     5 まとめと残った問題

  第Ⅲ部 論争を振り返り未来を展望する

第10章 公理系アプローチからモデル中心的科学観へ
     1 科学理論についての公理系アプローチ
     2 科学におけるメタファーとモデルへの注目

第11章 モデル中心的科学観と実在論論争
     1 理論の意味論的捉え方
     2 科学の多様な表象戦略と意味論的捉え方の拡張
     3 ギャリーの構成的実在論と観点主義

第12章 擁護に値するミニマルな実在論
     1 構成的実在論をさらに展開する
     2 構成的であることの意味
     3 構成的実在論は実在論なのか

終 章 科学的実在論論争とは何であったのか、また何であるべきか
     1 懐疑論論駁としての実在論論争
     2 科学的実在論論争の存在そのものが説明されるべき事実である


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