大学出版部協会

 

日本語活字印刷史

日本語活字印刷史

A5判 358ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-0795-5 C3021
奥付の初版発行年月:2015年02月 / 発売日:2015年02月上旬

内容紹介

西洋式活版印刷術に内在する論理とのせめぎあいのなか、漢字と仮名による多様な書字活動は、どのように活字化されたのか。技術のみならず文字の性質や書記様式・言語生活等に注目し、嵯峨本など古活字版から、宣教師らによる明朝体活字の鋳造を経て、近代日本の活字組版まで、グローバルな視野で描きだす力作。


目次

序 章 活字の論理 —— 日本語活字印刷史への視角
     1 アコスタの世界認識の方法
     2 印刷出版による階層化
     3 REDUCIR の論理
     4 木版印刷という選択
     5 日本イエズス会版の位置
     6 朝鮮の鋳造活字 —— 活字の東と西
     7 本書の構成

  第Ⅰ部 古活字版のタイポグラフィ —— 活字・組版・異版

    導論 漢字仮名交り文の古活字版を論じる理由

第1章 嵯峨本 『伊勢物語』 の活字と組版
     1 資料と分析方法
     2 仮想組版の試み
     3 木活字について
     4 慶長13年初刊本の異版問題と部分異植字
     5 慶長13年再刊本の活字と組版
     6 異版の制作方針
     7 まとめ

第2章 古活字版の仮名書体
     1 仮名を活字に載せるということ
     2 キリシタン版と古活字版の連続活字
     3 漢字仮名交り文古活字版の活字規格と組版 —— その諸相
     4 嵯峨本 『伊勢物語』 のタイポグラフィ
     5 変容する印刷書体

    小括 古活字版と近世木活字版の間

  第Ⅱ部 漢字鋳造活字の開発 —— その歴史と背景

    導論 終点としての起源

第3章 ヨーロッパ東洋学・聖書翻訳と漢字活字の開発
     1 『廻国奇観』 の木活字
     2 活字の 〈政治〉 性
     3 フランス王立印刷所の木活字
     4 レミュザの 『漢文啓蒙』
     5 セランポール・トリオと聖書印刷
     6 イギリス東インド会社所有の彫刻活字
     7 マラッカ英華書院の彫刻活字
     8 イギリスにおける漢字活字制作の先駆

第4章 中国プロテスタント伝道印刷所の漢字活字
     1 ダイアの試み
     2 分合活字の開発と中国プロテスタント伝道印刷所への導入
     3 上海墨海書館と香港英華書院の活字書体
     4 もうひとつの分合活字 —— ベルリン・フォント
     5 漢字統計調査の意味
     6 明朝体と活版印刷術

    小括 そして、日本へ

  第Ⅲ部 近代日本における印刷表現様式の成立

    導論 明朝体活字の導入がもたらしたもの

第5章 開化の軋み —— 揺籃期の日本語タイポグラフィ
     1 川崎道民の選択
     2 書体の意味論
     3 仮名書体が表象するもの
     4 字間が表現するもの —— 活字による韻文の印刷表現様式

第6章 テクストを分節するもの —— 句読法の意味
     1 テクストの分節と階層化
     2 息継ぎと句読点
     3 出版と句読点
     4 使い分けられる句読点
     5 組版と句読点
     6 句読点による意味解釈の統御

    小括 〈声〉 の行方


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。