大学出版部協会

 

変わりゆく海辺の森の生態系マングローブ林

学術選書
マングローブ林 変わりゆく海辺の森の生態系

四六判 284ページ 並製
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-8140-0088-3 C1345
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年03月中旬

内容紹介

エビの養殖や炭焼き産業、スズの採掘で荒廃してきた生物多様性の宝庫「マングローブ林」は再生できるのか。原生林が残る時代からほぼ全域が二次林化した時代、荒廃地を植林で再生する時代へ、海辺の森の変貌を35年にわたって見つめてきた著者によるマングローブ研究の集大成。後戻りはしない自然とのつきあい方を探り、これからの地球環境を考える。

著者プロフィール

小見山 章(コミヤマ アキラ)

1951年 京都市に生まれる
1971年 京都大学農学部入学、同修士課程を修了した後に、農学研究科博士後期課程を単位取得退学し、1989年に農学博士(京都大学)。専門は森林生態学と造林学。
 現職、岐阜大学・応用生物科学部・教授。元応用生物科学部・学部長および元岐阜大学理事(学術研究・情報・国際戦略担当副学長、図書館長)。
 著書に『森の記憶―飛騨・荘川村六厩の森林史』(京都大学学術出版会)、『岐阜から生物多様性を考える』(監修、岐阜新聞社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章……マングローブ林に魅せられて
1 マングローブ林に魅せられて
2 マングローブ林について
3 海水に対抗するマングローブ
4 根と泥の奇妙な関係
5 生態系が実感できる森林
6 マングローブ林に生きる人々
7 根掘りがきっかけ
ボックス1 「森林の一次生産力を調べる方法」

第2章……かつて南タイにマングローブ原生林があった
1 憧れの熱帯林
2 南タイに世界最大級のマングローブ林があった
3 森林調査のプロトコル
4 地上の現存量を調べる
5 はじめて根を掘った
6 泥と格闘の日々
ボックス2 「根の分布から現存量を求めるモデル」

第3章……マングローブ原生林の不思議な構造
1 ウォレスの地、はるかなるモルッカ諸島へ
2 ワラセアにたどり着く
3 カウ村上陸作戦
4 ソソボックのマングローブ原生林
5 帯状分布の不思議
6 根系の違いが帯状分布に関係する?

第4章……マングローブ原生林の地下に眠る怪物
1 根だらけ仮説
2 相対成長式の分離に悩まされる
3 再び原生林で根を掘る
4 マングローブの根の張り方
5 マングローブ林の地下に眠る怪物
6 ハルマヘラ島を去る
ボックス3 「地の果て」

第5章……そしてマングローブ林は二次林と化した
1 変貌するマングローブ林
2 巨大災害とマングローブ
3 七五%の現存量が消えた!
4 深刻だった三大産業の影響
5 森林管理のシステム
6 炭焼きシステムを検証してみたら

第6章……マングローブ二次林は炭素の貯蔵庫となるか
1 二次林の炭素固定機能の研究へ
2 新しい調査地を求めて
3 世界共通式の作成に挑む
4 樹形のパイプモデル
5 二次林の炭素吸収速度
6 まるで炭素の貯蔵庫
ボックス4 「マングローブの成長に海水は邪魔?」

第7章……マングローブの植林と再生に関する問題
1 マングローブ林経営のお手本
2 意外に難しいマングローブの植林
3 タネ不足が起こる
4 水流散布の意外な性質
5 標高の僅差で苗の運命が決まる
6 植林密度と間伐の問題

第8章……二次林世界の再構築
1 原生林の死
2 再訪、三三年後のハッサイカオ
3 何年待つと原生林は甦るか
4 後戻りしない自然
5 二次林世界の再構築
ボックス5 「生物多様性考」

おわりに
引用文献
用語解説
索引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。