中央大学社会科学研究所研究叢書31
うごきの場に居合わせる 公営団地におけるリフレクシヴな調査研究
価格:7,370円 (消費税:670円)
ISBN978-4-8057-1332-7 C3336
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年03月下旬
その公営団地は、インドシナ難民、日系、南米系、帰国者、移民、地方出身者などが居合わせ、衝突と出会いをくり返す「生きた吹き溜まり」となっていた。郵便受けや集会所の廊下や階段、ストリートに埋め込まれた「抹殺不可能な願望」と「創意にみちた混沌」、移動民の子どもたちの声、大人たちのまなざし、居合わせたひとたちの間に生起した生々しいうごき。「3.11以前」に、「国際化」「治安強化」「排除」の波にさらされながらも、したたかに生き延びようとしたひとたちの「草の根のどよめき」、異質なものを含み込んだコミュニティ、困難と痛苦をやわらげる「網の目」の構築の試みをめぐる、長期のフィールドワークによる作品。
新原 道信(ニイハラ ミチノブ)
中央大学文学部教授・中央大学社会科学研究所研究員
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
〈主要目次〉
序 うごきの場に居合わせ,ゆっくりと,やわらかく,深く,切り結び,ふりかえる 新原 道信
理論篇 惑星社会のフィールドワークにむけてのリフレクシヴな調査研究 新原 道信
実践篇(モノグラフ) うごきの場に居合わせる
プロローグ この「街」の世間師と移動民の子どもたち 新原 道信
第1章 湘南市の概況と「研究委員会」のうごき 鈴木 鉄忠・新原 道信
第2章 「湘南プロジェクト」の胎動―不協の多声のどよめき― 新原 道信
第3章 「湘南プロジェクト」・前夜―「入る」という困難,「入る」ことの困難 中里 佳苗
第4章 生きた「吹き溜まり」―「湘南団地日本語教室」の創造まで― 中里 佳苗
第5章 「教師」のいない「教室」
―「治安強化」なかで苦闘し葛藤する学生ボランティア― 鈴木 鉄忠
第6章 「聴け!プロジェクト」のうごき―『聴くことの場』ふたたび― 新原 道信
第7章 乱反射するリフレクション―実はそこに生まれつつあった創造力― 新原 道信
エピローグ 中村 寛
むすびにかえて 野宮大志郎