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レヴァーナ あるいは教育論[新装版]

レヴァーナ あるいは教育論[新装版]

A5判 362ページ
定価:7,400円+税
ISBN978-4-7985-0251-9 C1098
奥付の初版発行年月:2018年09月 / 発売日:2018年09月下旬

内容紹介

フランス革命、ナポレオンの時代に、ドイツの活路を終始考えていたドイツの作家ジャン・パウル(1763-1825)の教育論。初版は1806年。題名の「レヴァーナ」とは、古代ローマにおいて新生児認知の際に祈られた女神の名前である。

ルソーの『エミール』に影響されながら、自らの家庭教師や作家としての知見を生かしたものであり、教育するものとして一方に全人類、民衆、時代を置き、他方に直接の師として親や教師を置いている。『エミール』の教師が全知で透明人間の如く子供の成長を見守り、支配する傾向があるのに対し、ジャン・パウルはともかく自分のコピーとして子供を育ててはいけないと説く。機知を推奨し、教師と子供の間の風通しの良さが特徴である。無常を知った人間として、子供時代のかけがえのなさ、神聖さを説いている。

よく引用される言葉に、「最初の幼年時代が最も大事である」、「恵まれた子供時代があれば、後半生の冷たい世間をしのいでいける」、「誰もが自らの中に理想的人間を持つ」等。また宗教教育、王子教育、言語教育、女性教育等様々な面で歴史的に興味深く、現代においても参考になろう。 なお2014年以降現在のドイツの教育学会長ハンブルク大学のコラー教授は『レヴァーナ』で博士論文を書いている。

著者プロフィール

ジャン・パウル(Jean Paul)

ジャン・パウル(1763-1825)はドイツの作家。ドイツ文学史上印税だけで生活し得た最初の作家とされる。本名はヨハン・パウル・フリードリヒ・リヒター(Johann Paul Friedrich Richter)であるが、筆名は敬愛したジャン・ジャック・ルソーにちなむ。それ以上に敬愛した作家は英国のスウィフトやスターンであり、諷刺家と感傷家の両面性を有する。バイロイト侯国の田舎の地で牧師の息子として生まれ、父の死後は家庭教師をしながら作家を目指した。『見えないロッジ』でモーリッツに見いだされ(1792年)、成功して行ったが、生誕の地や牧歌的子供時代への憧れは終生消えることがなかった。

恒吉 法海(ツネヨシ ノリミ)

1973年、東京大学大学院独語独文学修士課程修了。
九州大学名誉教授。

著書
 『ジャン・パウル ノート』(九州大学出版会、1984)
 『続 ジャン・パウル ノート』(九州大学出版会、2003)

主要訳書
 ジャン・パウル『ヘスペルス あるいは四十五の犬の郵便日』(九州大学出版会、1997)第35回 日本翻訳文化賞受賞
        『ジーベンケース』(九州大学出版会、2000)
        『彗 星』(九州大学出版会、2002)
 ヘルマン・グラーザー、ヨーハン・シュレンク『ジャン・パウル エッセンス』(共訳、同学社、2012)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

   第一小巻

 バイエルンの王妃カロリーネ陛下に対する献辞
 第二版の序言
 第一版の序言

第一断編

 第一章 教育の重要性
 第二章 ヨハネス・パウル学院での就任演説、あるいは教育はほとんど効果のないことの証明
 第三章 〔教育の効果を肯う退官演説〕

第二断編

 第一章 教育の精神と原理
 第二章 理想的人間の個性
 第三章 時代精神について
 第四章 宗教の涵養

第三断編

 第一章 人間の教育の発端についての脱線
 第二章 子供の喜び
 第三章 子供の遊び
 第四章 子供の踊り
 第五章 音楽
 第六章 命令、禁止
 第七章 処罰
 第八章 子供の叫び声、泣き声
 第九章 子供の信心について

   第二小巻

第三断編の付録
 身体の教育について

第一小巻の喜劇的付録兼エピローグ
 故ゲレルト教授宛に著者が家庭教師を依頼して書いた夢の中での手紙

第四断編 女性の教育

 第一章 ジャクリーヌのなした教育の告解
 第二章 女性の使命
 第三章 少女の本性
 第四章 少女の教育
 第五章 ある公爵が娘の教育係典侍宛てた内密の指示

第五断編

 第一章 公爵の教育(王子の教育係、宮廷顧問官のアーデルハルト氏への公爵教育についての手紙)

   第三小巻

第六断編 少年の倫理的涵養

 第一章 倫理的強さ、肉体的強さ
 第二章 正直さ
 第三章 愛の涵養
 第四章 倫理的涵養の補足

第七断編 精神的形成衝動の発展

 第一章 形成衝動の詳しい規定
 第二章 言語と文学
 第三章 注意力と明示力
 第四章 機智の涵養
 第五章 反省、抽象、自己意識の涵養と行為感覚、世俗感覚についての付録の節
 第六章 キオクではなく想起の育成について

第八断編 美的感覚の養成

 第一章 外的感覚による美と内的感覚による美
 第二章 古典の涵養

第九小断編あるいは要石

 注
『レヴァーナ』解題
 あとがき

関連リンク

『続 ジャン・パウル ノート』(九州大学出版会、2003)
『ヘスペルス あるいは四十五の犬の郵便日』(九州大学出版会、1997)
『ジーベンケース』(九州大学出版会、2000)
『彗 星』(九州大学出版会、2002)


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