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 南スーダン・ヌエル社会における予言と受難の民族誌エ・クウォス

エ・クウォス 南スーダン・ヌエル社会における予言と受難の民族誌

A5判 420ページ 上製
定価:5,200円+税
ISBN978-4-7985-0222-9 C3039
奥付の初版発行年月:2018年03月

内容紹介

南スーダンについて
長年にわたる内戦の末、2011年、南スーダンは悲願であった独立を達成した。しかし、さまざまな機関による平和構築や開発支援もむなしく、独立後には各地では武力衝突が相次ぎ、新国家はふたたび内戦状態へと陥った。

予言者について
スーダン地域の政治軍事情勢と密接にかかわりあってきたのは、地域社会に存在する「予言者」をはじめとする宗教的職能者たちである。彼らは、時代の権力者に「魔術師」や「呪医」などとみなされ迫害されながらも、地域社会の平和を構築しようと試み、時として人々を紛争へと動員していった。

本書について
本書は、スーダン地域における「予言者」の歴史的生成過程を明らかにするとともに、ヌエル社会において語り継がれてきた予言が、人びとの紛争経験や出来事をどのように形づくってきたのかを、約19か月の現地調査に基づき明らかにしようとするものである。19世紀に存在したヌエルの予言者ングンデンによってつくられた予言の歌は、現在に至るまで歌い継がれ、ヌエルの人びとが苦難の経験を語るすべとなってきた。「エ・クウォス」とは、ヌエルの人びとがさまざまな出来事に直面した際に「予言が成就した」という意味合いで用いる表現である。本書は、内戦、平和構築、悲願の国家独立、そして再び内戦へと突入する南スーダンの動乱の時代に、予言者への信念と疑念の間で揺れるヌエルの人びとが、さまざまな想像力とともに不幸や不条理を語る技法を探究したものである。


目次

はじめに

序 章 動乱の時代と予言

 第1節 予言を語る人びと
 第2節 社会変動と予言的な力
 第3節 生と他者を想像する方法
 第4節 調査の概括
 第5節 本書の構成

  第 Ⅰ 部 「予言者」の歴史的生成過程

第1章 予言者/魔術師の成立

 第1節 植民地支配とアフリカの宗教的指導者
 第2節 反乱者マフディーの影響
 第3節 植民地行政官の想定と現実
 第4節 亡霊との対峙
 第5節 ヌエルの人びとの解釈
 第6節 想像力の範型

第2章 内戦・平和構築と予言者

 第1節 複数の想像力と予言者
 第2節 第一次・第二次スーダン内戦とヌエル社会
 第3節 内戦・平和構築期における予言者の影響力
 第4節 予言者をめぐる複数の想像力のずれ
 第5節 外来のカルトから内在的伝統へ

  第 Ⅱ 部 経験の配位

第3章 多産と時間

 第1節 「タウンに暮らすヌエルはいない」
 第2節 他者に出会うことは自己を辿ること
 第3節 循環する媒体と人間の生
 第4節 「食べ物」の交換と他者との関係構築
 第5節 「血」の脆弱性の克服と自己の不滅性

第4章 不妊と予言

 第1節 真実を語る狂人  予言者ングンデンの奇跡
 第2節 予言の歌と複製技術
 第3節 ングンデン教会の歴史と実践
 第4節 祖先の過ちを現在に見出す
 第5節 奇跡の経験と主体の発見
 第6節 内なる他者の可視化

  第 Ⅲ 部 クウォスの顕現

第5章 「予言の成就」としての国家の誕生

 第1節 予兆
 第2節 国家独立の予言
 第3節 「成就」の物語とプロット

第6章 「エ・クウォス」の経験をめぐる真と偽

 第1節 独立後の脅威と新たな「予言者」の登場
 第2節 独立後南スーダンの武力衝突と紛争主体
 第3節 「自称予言者」
 第4節 再び見いだされた敵
 第5節 交叉するまなざし
 第6節 人間のことばを話す者は誰か
 第7節 「エ・クウォス」と開かれた問い

第7章 存在の別様式への気づき

 第1節 闖入者の想像力
 第2節 予言者の娘
 第3節 戦争と神話

終 章 隠された経験の領域

 第1節 これまでの議論のまとめ
 第2節 クウォスの存在論  外在する自己と内在する他者
 第3節 経験をもたらすエージェント

 参考文献
 索 引

関連リンク

『信念の呪縛』 2014年1月刊


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