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 野草と雑草魯迅

魯迅 野草と雑草

A5判 上製
定価:5,800円+税
ISBN978-4-7985-0191-8 C3098
奥付の初版発行年月:2016年11月 / 発売日:2016年11月上旬

内容紹介

「芸術的完成さでは魯迅のあらゆる作品中で第一位を占める」(竹内好『魯迅入門』)。この言葉に象徴されるように、散文詩集『野草(Ye-cao)』は中国近代文学史上最高の文学者たる魯迅の最高傑作として称えられてきた。本書は、その最高傑作が実際にはタゴールやツルゲーネフ、そして芥川龍之介や佐藤春夫等の日本文学からの模倣に支えられていた事実を緻密な調査によって跡づけ、真の近代的文人たる魯迅の意識の深層を明らかにする。次々に開示される新発見は極めて刺激的で、読者の知的好奇心を大いに満たしてくれる。文学研究も意外に面白い。


第7回 九州大学出版会・学術図書刊行助成対象作

目次

はじめに

序章 「野草(Ye-cao)」と「雑草」
一 日本語と中国語
二 魯迅における「野草(Ye-cao)」
三 「野草(Ye-cao)」の翻訳を通して

第1部 『野草』論

第1章 徐玉諾と魯迅
一 二人の関係について
二 散文詩人としての徐玉諾
三 人と「亡霊(鬼)」の狭間で
四 『野草』における徐玉諾
五 出会いそして別れ

第2章 「犬の反駁」「論を立てる」の位置

一 従来の評価
二 「犬の反駁」をめぐって
三 晨曦「新亡霊協会」
四 「犬の反駁」の素材
五 「論を立てる(立論)」をめぐって

第3章 北京『晨報副刊』

一 「ツルゲーネフ散文詩五〇篇」訳載
二 魯迅と『晨報副刊』
三 与謝野晶子「雑草」掲載

第2部 「影の告別」論

第4章 タゴール、徐志摩の影響
一 「インドを除く」―タゴール排斥の意味―
二 "詩人"徐志摩と魯迅
三 西洋との出会い

第5章 周作人の影

一 『野草』とエスペラント
二 『野草』とボードレール
三 佐藤春夫「形影問答」
四 詩人としての周作人

第6章 「行く」か「留まる」か
一 「住」の翻訳から
二 「往」か「住」か
三 「不愿住」の解釈について
四 "異端"の説

第3部 『野草』と日本文学

第7章 与謝野晶子
一 周作人訳「貞操論」
二 共有する「草」への情感
三 魯迅の愛した"植物"
四 魯迅と与謝野晶子

第8章 佐藤春夫
一 従来の認識
二 「影の告別」と「形影問答」
三 佐藤春夫「私の窓」と掲載誌『中央文学』
四 "詩人"佐藤の終焉

第9章 芥川龍之介
一 二人の出会い
二 魯迅『野草』と芥川『わが散文詩』―「秋夜」と「秋夜」「椎の木」―
三 魯迅『野草』と芥川『春服』―「旅人(過客)」と「往生絵巻」―
四 魯迅の芥川評価をめぐって
五 二人の「詩人」

第4部 「詩人」魯迅

第10章 「詩」への想い
一 魯迅の「想い」
二 芥川の「想い」
三 二人の遺した「詩」
四 詩人の別れ

第11章 「雑文家」への道

一 「詩人魯迅」の形成
二 "詩"集としての『野草』
三 魯迅の文学

第12章 「野草」の成立
一 魯迅と「『吶喊』の評論」
二 成仿吾「詩之防御戦」
三 『創造週報』をめぐって
四 『野草』の命名について

新訳 散文詩集『雑草』
題辞/秋夜/影の告別/乞食ぼくの失恋―古いにしえになぞらえた新しい戯れ歌/復讐/
復讐(その二)/希望/雪/凧/美しい物語/旅人/死火/犬の反駁/
失われたよき地獄/墓碑銘/崩れた線のふるえ/論を立てる/死後/このような戦士/
利口ものとバカと召使い/秋枯れの葉/
淡い血痕のなかで―幾人かの死者と生者といまだ生まれざる者とを記念して/目覚め/

魯迅『野草』関連年譜
魯迅『野草』関連文献目録
初出一覧
あとがき
人名索引


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