大学出版部協会

 

 創造社会の学びと教育クリエイティブ・ラーニング

リアリティ・プラス
クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育

井庭 崇:編著, 鈴木 寛:著, 岩瀬 直樹:著, 今井 むつみ:著, 市川 力:著
四六判 672ページ 並製
定価:3,600円+税
ISBN978-4-7664-2572-7 C3336
奥付の初版発行年月:2019年02月 / 発売日:2019年02月下旬

内容紹介

つくることで学ぶ、創造的な社会へ!

▼クリエイティブ・ラーニング(創造的な学び)は、「つくることで学ぶ」という新しい学びのスタイルである。「自ら知識を構成する」学習観は、「アクティブ・ラーニング」や「プロジェクト型学習」「探究学習」のように、学び手自身による活動がベースとなるが、クリエイティブ・ラーニングは、何かを「つくる」ことをより一層重視する。そして、これからの学校は、創造的に学ぶための「つくる」経験を積む場となり、教師は、生徒が「つくる」ことを支援するだけでなく、一緒に問題に挑戦し、一緒につくることに取り組む仲間、「ジェネレーター」となる。

▼本書では、子どもたちの創造力を育む、クリエイティブ・ラーニングの可能性について、気鋭の研究者・井庭崇が、鈴木寛、岩瀬直樹、今井むつみ、市川力という教育界のフロントランナーを迎え、徹底討論。読者のリアリティに新たな知をプラスする!

▼「リアリティ・プラス」(Reality+)
「プラス」は何かを加えるという意味であるが、「リアリティ」には二重の意味を込めてある。第一に、読者がもっている物事の見方のレパートリーに、新しい要素――アカデミックな分野での最先端の知と方法――を加えることで、それまで抱いていたものとは異なる現実感(リアリティ)を得られるようになることを支援したい。第二に、本書で提示される知と方法を踏まえた仕組みや道具、制度、組織をつくることで、現実(リアリティ)を変える力をもつことを支援したい。このような思いが、「リアリティ・プラス」という名称に込められている。

著者プロフィール

井庭 崇(イバ タカシ)

慶應義塾大学総合政策学部教授。
1974年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、同大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。専門は、創造実践学、パターン・ランゲージ、システム理論。株式会社クリエイティブシフト代表、および、パターン・ランゲージの国際学術機関 The Hillside Group 理事も兼務。2009 年にはマサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員、2018年にはオレゴン大学カレッジ・オブ・デザイン Portland Urban Architecture Research Laboratory (PUARL) 客員研究員として研究に従事。著書に、『複雑系入門』(NTT 出版、1998 年)、『社会システム理論』(慶應義塾大学出版会、2011 年)、『パターン・ランゲージ』(慶應義塾大学出版会、2013 年)、『プレゼンテーション・ パターン』(慶應義塾大学出版会、2013 年:グッドデザイン賞受賞)、『旅のことば』(丸善出版、2015 年:オレンジアクト認知症フレンドリーアワード大賞、グッドデザイン賞受賞)、『プロジェクト・デザイン・パターン』(翔泳社、2016 年)、『対話のことば』(丸善出版、2018 年)、『おもてなしデザイン・パターン』(翔泳社、2019 年)等。

鈴木 寛(スズキ カン)

1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、1986年通商産業省に入省。慶應義塾大学SFC助教授を経て2001年参議院議員初当選(東京都)。12年間の国会議員在任中、文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化、科学技術イノベーション、IT政策を中心に活動。参議院憲法審査会幹事、超党派スポーツ振興議連幹事長、東京オリンピック・パラリンピック招致議連事務局長、超党派文化芸術振興議員連盟幹事長や日本ユネスコ委員も歴任。2012年4月一般社団法人社会創発塾を設立。社会起業家の育成に力を入れながら、2014年2月より、慶應義塾大学政策・メディア研究科兼総合政策学部教授と東京大学公共政策大学院教授に同時就任。10月より文部科学省参与、2015年2月より2018年まで文部科学大臣補佐官を5期務める。日本でいち早く、アクティブ・ラーニングの導入を推進。現在、OECD教育スキル局Education2030ビューローメンバー、Teach for ALL グローバルボードメンバー、日本サッカー協会理事なども務める。

岩瀬 直樹(イワセ ナオキ)

1970年、北海道生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。埼玉県の公立小学校教諭として、4校で22年間勤め、学習者中心の授業・学級・学校づくりに取り組む。2008年度埼玉県優秀教員表彰。2015年に退職後、東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創成講座准教授に就任。学級経営、カリキュラムデザイン等の授業を通じて、教員養成、現職教員の再教育に取り組んだ。2018年3月に退職し、一般社団法人軽井沢風越学園設立準備財団副理事長に就任。2020年4月に幼小中混在校の軽井沢風越学園の開校を目指している。教師教育学会所属。大3、高1、小5の3児の父(2018年現在)。
主な著作に、『せんせいのつくり方――“これでいいのかな”と考え始めたわたしへ」(旬報社、2014年)(共著)、『最高のチームになる! クラスづくりの極意』(農文協、2011年)、『最高のクラスのつくり方』(小学館、2010年)他多数。

今井 むつみ(イマイ ムツミ)

慶應義塾大学環境情報学部教授。専門は認知心理学、発達心理学、言語心理学。1989年、慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。1994年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。慶應義塾大学環境情報学部助手、専任講師、助教授を経て2007年より現職。認知科学のもっとも大きな国際学会であるCognitive Societyにおいて、アジアではじめてFellowに選出され、運営委員も務める。著書に『学びとは何か――〈探究人になるために〉』、『ことばと思考』(いずれも岩波新書)など。訳書に『科学が教える、子育て成功への道』(扶桑社)。

市川 力(イチカワ チカラ)

1963年生まれ。探研移動小学校主宰。探究ジェネレーター。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士前期課程修了。アメリカで日本人駐在員の子供が通う学習塾を運営。英語環境下での日本語習得の最前線で教育に携わる。2003年に帰国後、2004年~2016年まで東京コミュニティスクール(東京都中野区)という小学生対象のオルタナティブスクールの初代校長を務め、認知科学の知見を活かした、探究する学びを開発・実践してきた。現在は、学校外で大人と子どもがともに探究して学ぶ場づくりに取り組んでいる。NHK for School メタモル探偵団、NHK E テレ高校講座「総合的な探究の時間」に出演及び監修。著書に『英語を子どもに教えるな』(2004年)、『探究する力』(2009年)、翻訳書に『科学が教える、子育て成功への道』(キャシー・ハーシュ=パセック、ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ著、今井むつみと共訳、邦訳2017年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

プロローグ

序 章 構成主義の学びと創造――クリエイティブ・ラーニング入門(井庭 崇)
 ピアジェの「構成主義」における「認識の構成」/ピアジェの構成主義
 における学びと教育/パパートの「コンストラクショニズム」/レズニ
 ックの「クリエイティブ・ラーニング」/ヴィゴツキーの「社会的な構
 成主義」と「記号」/ヴィゴツキーの「ことば」と「意味の発達」/
 ヴィゴツキーの「生活的概念」と「科学的概念」/ヴィゴツキーの「発
 達の最近接領域」/ヴィゴツキーの「想像力」と「創造性」/デューイ
 の「経験の連続性」と「経験の再構成」/デューイの「共同体としての
 学校」/デューイの「内省的思考」と「探求」/コルブの「経験学習の
 ラーニング・サイクル」/コミュニケーションと創造のシステム理論/
 創造実践を支援するパターン・ランゲージ

 付録 クリエイティブ・ラーニングを支援するパターン・ランゲージ

第1章 これからの時代に求められる教育(鈴木 寛 × 井庭 崇)
 グローバルな教育改革――G7倉敷教育大臣会合/「卒近代」に向けて
 の社会実践/つくることによる学び――デバッグの思想/社会的に創
 造性を発揮する時代/ミスを恐れず最善を尽くす/状況に応じたより
 よい個別暫定解を求める/アクティブ・ラーニング/ラーニング・パ
 ターンと学びの対話ワークショップ/ラーニング・パターンによる学
 びの経験の可視化/共通パターンを発見する力

第2章 自ら学ぶ学級をつくる(岩瀬直樹 × 井庭 崇)
 自分たちで自分たちの学びの場をつくる/子どもたちが自ら学び始める
 ようにする/書くことで主体性を育てる/内発性を生み出す言葉/自分
 で選ぶということ/変化を生み出すアプローチ/ジェネレーターという
 新しい教師像/凝集性と流動性/パターン・ランゲージによる内発的な
 足場かけ/新しい教育評価の方法に向けて

第3章 認知科学から見た学びと創造性(今井むつみ × 井庭 崇)
 言葉を学習するということは、概念を学習するということ/知識とは何
 か――知識=事実ではない/言葉による世界の分節の仕方は文化によっ
 て異なる/知識は常に暫定的なものである/認識の枠組みは無意識に働
 く/アナロジーから学ぶ/人はアブダクションする生き物である/何度
 も失敗して修正する経験/情報を切り捨てることで熟達する/一人ひと
 りが探求人・熟達人になる

第4章 創造的な学びをつくる(市川 力 × 井庭 崇)
 30年後の自分を演じるテーマ学習「個の尊厳」での即興劇/探求し行
 動することによって信念が更新される――プラグマティズム/パパー
 トのコンストラクショニズムとデバッグの力/発達の最近接領域と二
 つの「意味」――ヴィゴツキー/創造的な学びのジェネレーター/ジ
 ェネレーターは内側からちゃぶ台をひっくり返す/発見の拡がりの段
 階/「好奇心」の最近接領域(ZPC)と冒険的探求/先生自身が自分
 のプロジェクトを持つ/パターン・ランゲージによる創造的な学びの
 支援/パターン・ランゲージをつくることによる学び

エピローグ
文献案内
索引


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