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 ――塗りかえられた自画像アメリカのナボコフ

アメリカのナボコフ ――塗りかえられた自画像

四六判 360ページ 上製
定価:2,800円+税
ISBN978-4-7664-2522-2 C0098
奥付の初版発行年月:2018年05月 / 発売日:2018年05月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

これが、『ロリータ』の内幕だ――

 新大陸に移住後、『ロリータ』によってスキャンダラスな形で知られたナボコフは、いかにアメリカの大作家へと上りつめたのか。芸術家、文学者へと意図的に自己イメージを操作しながら、亡命者から「世界文学」への道程を歩んでいった作家の姿を、本邦初公開となる膨大な新資料を通じて描きだし、従来のナボコフ像を一新する。図版多数。

著者プロフィール

秋草 俊一郎(アキクサ シュンイチロウ)

1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、ハーヴァード大学研究員、東京大学教養学部専任講師などを経て、現在、日本大学大学院総合社会情報研究科准教授。専門は比較文学、翻訳研究など。著書に、『ナボコフ 訳すのは「私」――自己翻訳がひらくテクスト』。訳書に、クルジジャノフスキイ『未来の回想』、バーキン『出身国』、ナボコフ『ナボコフの塊――エッセイ集1921-1975』(編訳)、モレッティ『遠読――〈世界文学〉への挑戦』(共訳)、アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(共訳)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 ナボコフと読者たち(オーディエンス)
 1 ナボコフ、アメリカ上陸/2 新天地でのロシア語活動/3 「ロシ
 ア詩の夕べ」/4 『ロリータ』以後/5 ケンブリッジ凱旋/6 各章
 について/7 亡命者の自画像

第一章 亡命の傷――アメリカのロシアで
 1 亡命、二言語使用、翻訳/2 亡命文学史上の「V・シーリン」/
 3 亡命者たちの英語作家ナボコフ評/4 アメリカのなかのロシア
 で/5 プニンたち/6 ハーヴァード・ヤードの青い芝生/7 「『ロ
 リータ』と題する書物について」は誰のために書かれたか/8 『ドク
 トル・ジバコ』の波紋/9 優雅な生活が最高の復讐である/10 賞と
 名声と/11 自己翻訳の果て/12 「翻訳」という仮面/13 ナボコ
 フは世界文学か?/14 亡命の神話

第二章 ナボコフとロフリン――アメリカ・デビューとモダニズム出版社
 1 アメリカ作家になる方法/2 ただ愛のために/3 パウンドの「啓
 示」とニューディレクションズ誕生/4 セバスチャン・ナイト――近
 代世界の殉教者として/5 ロフリンの歓迎/6 ニューディレクショ
 ンズの販売戦略のなかで/7 ボーン・モダン――アルヴィン・ラステ
 ィング/8 バニー&ヴォロージャ vs 「あのJのやつ」/9 文学とい
 うビジネス/10 送りつけられた「時限爆弾」/11 「時限爆弾」の
 爆発/12 書きかえられた『セバスチャン・ナイト』/13 フェンシ
 ングの親善試合/14 出版界の変革の波にさらされて/15 消えた風
 景/16 「ニューディレクションズの作家」から「アメリカの作家」
 へ

第三章 注釈のなかのナボコフ――『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注から自伝へ
 1 『エヴゲーニイ・オネーギン』翻訳と注釈/2 埋めこまれた記
 憶/3 自己言及癖のある語り手/4 注釈――第四章十九連四-六
 行/5 決闘の謎/6 三冊の「回想記/伝記」/7 二度はゆけぬ場所
 の地図/8 記憶の索引(インデックス)/9 「眼鏡」から「貝のか
 たちをしたシガレットケース」へ/10 バトヴォの森で/11 『記憶
 よ、語れ』第三章二節/12 「回想」から「伝記」へ

第四章 フィルムのなかのナボコフ――ファインダー越しに見た自画像
 1 被写体としてのナボコフ/2 「捕虫網をもった芸術家」/3 「愛
 妻家ナボコフ」/4 ぼく自身のための広告/5 そしてアイコンへ/
 6 ナボコフ朝時代/7 「変人」から「セレブ」へ/8 自己移植の時
 代錯誤(アナクロニズム)/9 鏡の国の囚われ人

第五章 日本文学のなかのナボコフ――戦後日本のシャドーキャノン
 1 円城塔――蝶に導かれて/2 ナボコフ日本上陸とその周辺/
 3 丸谷才一 ――モダニズムと私小説批判/4 「樹影譚」――「捏
 造」された「起源」/5 大江健三郎――晩年の傾倒/6 『美しい
 アナベル・リイ』――『ロリータ』を書きかえる/7 隠匿された
 「告白」、「悪霊」憑きのテクスト/8 「マイクロキャノン」と
 しての私小説/9 性と文学――谷崎/川端/ナボコフ/10 ソフ
 ト・パワー戦略の掌中のなかで/11 『ロリータ』を超えて

第六章 カタログのなかのナボコフ――正典化、死後出版、オークション
 1 「欲望」の対象としての『ロリータ』/2 世界一高価な『ロリー
 タ』/3 正典化されるナボコフ/4 売り払われる遺産/5 ドミトリ
 イ・ナボコフ――父の代理人/6 ヴェラの蝶/7 ドミトリイの蝶/
 8 『ローラのオリジナル』のオリジナル/9 刊行ラッシュ/10 在
 庫一掃セール/11 息子の死/12 プライヴェートからパブリックへ

おわりに

アメリカ到着後の年譜と地図
引用元クレジット一覧
図版一覧
索引


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