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戦後農政の帰結と国際化への針路日本農業の生産構造と生産性

日本農業の生産構造と生産性 戦後農政の帰結と国際化への針路

A5判 584ページ 上製
価格:9,900円 (消費税:900円)
ISBN978-4-7664-2448-5 C3033
奥付の初版発行年月:2017年10月 / 発売日:2017年10月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼戦後40年にわたる日本農業の発展と停滞を描き、その要因を計量分析手法で包括的に分析した記念碑的著作。
グローバル競争時代における日本農業の再生に向け、「創意あふれる大規模農企業」育成への条件は整いつつある。
問題は、理論と実証に基づく合理的・効果的な政策形成と自由で効率的な農地・農産物市場の創出である。

▼TPP 問題を含め、今後の農業政策論議の基盤となる研究。

著者プロフィール

黒田 誼(クロダ ヨシミ)

筑波大学名誉教授
1966年愛媛大学文理学部卒業,68年九州大学大学院農学研究科修士課程修了,70年同博士課程中途退学,75年スタンフォード大学大学院博士課程(食糧経済学専攻)修了,Ph.D. in Applied Economics(応用経済学博士,スタンフォード大学)。1975~76年国連糧農業機関(FAO) 計量経済分析研究員,76~77年全米経済研究所(NBER)リサーチフェロー,78年1~2月スタンフォード大学フ-バー研究所リサーチフェロー,78年3月筑波大学社会工学系講師,87年同助教授,95年同教授,2006年定年退職(この間,1989~90年フルブライト奨学金によるスタンフォード大学客員研究員,1999~2001年筑波大学社会工学類長,2001〜2003 年筑波大学留学生センター長),2006年九州産業大学経営学部教授,2010年国際東アジア研究センター(2014年よりアジア成長研究所)客員研究員を兼務(ともに2013年退任)。また,日本農業経済学会理事,同学会機関紙編集長などを歴任。
主要業績に,『米作農業の政策効果分析』慶應義塾大学出版会,2015年(同書英訳 Rice Production Structure and Policy Effects in Japan: Quantitative Investigations, Palgrave Macmillan, 2016),“Impacts of Set-Aside and R&E Policies on Agricultural Productivity in Japan, 1965-97,” Japanese Journal of Rural Economics, Vol. 5, with Abdullah, N., 2003 ほか多数。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

本書の刊行に寄せて
はしがき

序章
 1 本研究の動機
  1.1 簡潔な歴史的背景
  1.2 分析方法の簡潔なサーベイ
 2 使用される主要なデータ資料および実証的推計の期間
 3 本書の概観

  第Ⅰ部 総費用関数による日本農業の生産構造分析

第1章 戦後日本農業の生産構造の実証分析
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 通常型多財トランスログ総費用(TC)関数モデル
  2.2 Stevenson-Greene(S-G)型多財トランスログ総費用(TC)
  関数モデル
 3 データおよび推計方法
 4 実証結果
  4.1 12本の帰無仮説の検定結果
  4.2 通常型およびS-G型多財トランスログ総費用(TC)関数に基づ
  く推計結果のいくつかの比較
 5 要約と結論
 付録 A.1 変数の定義

第2章 アレン,森嶋, マクファデン(シャドゥ)の代替の弾力性の推計
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 アレン,森嶋,およびマクファデン(シャドゥ)の代替の弾力
  性(AES,MES,およびSES)
 3 実証結果
  3.1  S-G型多財トランスログ総費用(TC)関数の推計値
  3.2 投入要素に関する自己価格需要弾力性の推計値
  3.3  AES,MES,およびSESの推計値
 4 要約と結論

第3章 戦後日本農業における「デュアル」および「プライマル」技術変化率
 1 序
  1.1 問題の設定および目的
  1.2 基礎データの観察
 2 分析の枠組み
  2.1 「デュアル」(「投入要素-節約的」)および「プライマル」
  (「生産物-増大的」)技術変化率(PGX およびPGY
  2.2 投入要素価格および生産物構成の変化がPGX に及ぼす効果
 3 実証結果
  3.1 「デュアル」の技術変化率(PGX )の推計
  3.2 投入要素価格変化のPGX への効果
  3.3 生産物構成の変化のPGX への効果
 4 要約と結論

第4章 投入要素バイアス効果とヒックス「誘発的技術革新」仮説
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 技術変化バイアス効果に関する過去の実証研究の簡潔なサーベ
  イ
  2.2 投入要素空間における技術変化バイアス効果の推計
  2.3 技術変化のバイアスとヒックスの「誘発的技術革新」仮説
 3 実証結果
  3.1 投入要素の「純」,「規模」,および「総」バイアス効果
  3.2 観測された投入要素費用-総費用比率と「修正された」投入要
  素費用-総費用比率
  3.3 観測された投入要素費用-総費用比率と累積投入要素バイアス
  効果の各年変化
  3.4 投入要素バイアスとヒックス「誘発的技術革新」仮説
 4 要約と結論

第5章 技術変化の生産物バイアス
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 生産物空間におけるヒックス技術変化バイアス
  2.2 投入要素の需要および代替の弾力性
  2.3 生産物構成変動の投入要素バイアスへの効果
 3 実証結果
  3.1 技術変化の生産物バイアス効果
  3.2 投入要素に関する生産物数量の需要弾力性
  3.3 生産物構成変動の投入要素バイアスへの効果
 4 要約と結論

第6章 全要素生産性成長に及ぼす規模の経済性および技術変化の効果
 1 序
 2 総生産(TO),総投入(TI),および全要素生産性(TFP)
 3 分析の枠組み
  3.1 全要素生産性(TFP)および生産の理論
  3.2 「デュアル」の技術変化率と費用弾力性
 4 実証結果
  4.1  S-G型多財トランスログTC関数のパラメータ推計値
  4.2 TFP成長率の要因分解分析
 5 要約と結論

第7章 労働生産性成長率の要因分解分析に対する新手法による試み
 1 序
 2 背景データの観察
 3 分析の枠組み
  3.1  S-G型単一財トランスログTC関数アプローチ
  3.2 労働生産性成長率の諸貢献要因への分解分析
 4 データおよび推計方法
 5 実証結果
  5.1  S-G型単一財トランスログTC関数の推計
  5.2 3本の帰無仮説の検定結果
  5.3 投入要素需要の自己および交叉価格弾力性
  5.4 技術変化の投入要素バイアス
  5.5 労働生産性成長率変化の要因分解分析
 6 要約と結論
 付録A.7 変数の定義

  第Ⅱ部 可変費用関数による日本農業の生産構造分析

第8章 生産構造の分析に対する総費用関数アプローチと可変費用関数アプローチ
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 総費用(TC)関数によるアプローチ
  2.2 可変費用(VC)関数によるアプローチ
 3 データおよび推計方法
 4 実証結果
  4.1 総費用(TC)および可変費用(VC)関数モデルの推計結果
  4.2 総費用(TC)関数モデルの妥当性のインフォーマルな検定
  4.3 9本の帰無仮説の検定結果
  4.4 TC関数およびVC関数モデルに基づく一部の推計結果の比較
 5 要約と結論

第9章 土地のシャドゥ価格の推計と土地移動の可能性
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 土地のシャドゥ価格(PSB ),規模の経済性(RTS ),および
  投入要素-「節約的」技術変化率(PGX )と生産物-「増大的」技
  術変化率(PGY
  2.2 土地移動可能性の基準
  2.3 諸外生変数変化の土地シャドウ価格(PSB )に及ぼす効果
 3 データおよび推計方法
 4 実証結果
  4.1 土地シャドウ価格(PSB )の推計結果:1957-97年
  4.2 現行と「最適」の土地費用-総費用比率の推計および土地の
  「最適」生産弾力性の推計
  4.3 小規模農家から大規模農家への土地移動の可能性
  4.4 緩慢な土地移動の要因
  4.5 各種農業政策の土地シャドウ価格(PSB )への効果
 5 要約と結論

第10章 規模の経済性と構造変化
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 作物および畜産物の結合生産における規模の経済性(RTS )の
  推計
  2.2 規模の経済性(RTS )に対する農業諸政策の効果
 3 データおよび推計方法
 4 実証結果
  4.1 可変費用(VC)関数モデルに基づく規模の経済性および範囲の
  経済性の推計
  4.2 規模の経済性(RTS )に対する農業諸政策の効果
 5 要約と結論

  第Ⅲ部 戦後日本農業における諸政策効果の分析

第11章 戦後日本農業における生産物価格支持政策の効果
――可変利潤(VP) 関数による接近
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 可変利潤(VP) 関数モデル
  2.2 生産技術構造の帰無仮説の検定
  2.3 生産物供給および可変投入要素需要の価格弾力性の推計
  2.4 規模の経済性(RTS )の推計
  2.5 土地のシャドウ名目価格(wS'B )の推計
  2.6 生産物価格変化の生産物供給量,可変投入要素需要量,名目可
  変利潤(VP′) ,規模の経済性(RTS ),および土地のシャドウ名
  目価格(wS'B )に対する効果
 3 データおよび推計方法
 4 実証結果
  4.1 可変利潤(VP)関数のパラメータ推計結果
  4.2 帰無仮説の検定結果
  4.3 生産物供給弾力性および可変投入要素需要弾力性の推計
  4.4 生産物価格支持政策の効果の定量的評価
 5 要約と結論
 付録 A.11 変数の定義

第12章 減反政策と土地移動
――可変利潤(VP) 関数モデルによるアプローチ
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 土地投入要素(ZB )の変化が5個の経済指標に及ぼす効果
 3 実証結果
  3.1 減反政策の効果
 4 要約と結論

第13章 公的農業R&E政策と構造変化
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 公的農業技術知識資本ストック(ZR )の5個の経済指標に及ぼ
  す効果
 3 実証結果
  3.1 可変利潤(VP)関数のパラメータ推計結果
  3.2 公的農業技術知識資本ストック(ZR )変化の5個の経済指標に
  及ぼす効果
 4 要約と結論

第14章 投入要素補助金政策が農業構造変化に及ぼす効果
 1 序
 2 分析の枠組み
  2.1 可変投入要素価格変化が5個の経済指標に及ぼす効果
 3 実証結果
  3.1 可変利潤(VP)関数のパラメータ推計結果
  3.2 可変投入要素名目価格(wk' )変化が5個の経済指標に及ぼす効果
 4 要約と結論

第15 章 要約と結論


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